避難所救援物資のあるあるQ&A

救援物資はすぐそこまで来ています
避難所での救援物資の混乱をなくしましょう

過去の災害経験から救援物資も確実に届くようになってきました
避難している場所や人数などを把握できれば、1次集積所、2次集積所を通して避難所まで届けられます
 
救援物資は届いたけど、必要なものが探せない
救援物資があるのに、同じものを届けるように再度依頼した
せっかく届いた救援物資も腐らせてしまった
救援物資に必要なものが不足して、不要なものが多いというアンバランスが目立った
我々は過去の教訓に学びました
① 災害発生から数日間は避難所の人数も大きく変化します(この段階は物資よりも救援が優先されます)
  この時は必要と思われるものを、届けられたカテゴリー別の箱のまま、余る状態で送ります
  奪い合わずに、1度に大量のものを取りに来るのではなく、少しづつ何度も避難所に取りに来てください

② 少し落ち着いてくると、総人数から世帯別、男女別、年齢別、持病や介護の必要性などの情報をもとに、徐々に必要なものを届けるようにします
   この段階で大勢の方が要求しているものと、個別の方が要求しているものが混載されます
   すべて自分のものを優先して取り出すのではなく、理路整然と保管することが必要になります
   何が必要になるかを個別にオーダーするのではなく、まとめて類似品やカテゴリー単位でオーダーすることが重要です

③ 救援物資は徐々に必要なもの、オーダーされたものしか届かなくなります
   この段階は救援物資で在庫に残っているものを整理します
   この段階から在庫管理(何がいくつどこにあるのか、何がいくつ必要なのか)が必要になります
   救援物資が届く間隔(何日に1回)、発注してから届くタイミング、集積所に在庫があるかどうかの確認などが必要になります。(このサイトでは不慣れな人でもできる方法を紹介します

はじめに

2016年熊本地震発生

日本は残念ながら災害リスクの多い国です
しかし、阪神淡路震災、中越地震、東日本大震災を経験してきて、救援物資を届ける仕組みが少しづつ定着してきました

熊本地震の時は避難所の一歩手前まで救援物資はスムーズに流れていました
最後の課題は避難所での救援物資の受取から消費までの何がどこにあるのか、何が必要なのか、などのバタバタの解消です
 

救援物資の整理と見える化が必要です 

私たちは物流専門家です。専門家の立場で救援物資の整理整頓から見える化まで専門家の視点でお役に立ちたいと思いました

そこでこのサイトでは、普段物資の扱いが不慣れな方を対象に、バタバタしなくてもすむように、Q&A方式でポイントを整理しました
 

1 誰に聞けばいいの?

1‐①まずは避難所でのまとめ役の人たちを確認してください

避難してくる人たちの人数や怪我、持病などの把握をします
まとめ役は数人で運営を決めます
その中にSNSを使える人を必ず選出してください(この人が物資集積所との連絡になります)

このまとめ役の方から、避難所の人数や状況をまとめて報告できるようにしてください
この際に、電話よりもSNSが役に立ちます

1‐② 役所

県、市、地域の防災ページを確認して、実際に連絡できるか確認してください
病院、消防署、薬局、学校なども被災していると思いますが、そこの連絡先も確認してください

まずは救援物資は必要と思われる物資が送られていきます
そのために避難所での人数(避難所内では世帯別、男女、年代、持病や介護の必要性などを記録して下さい)

ホワイトボードや壁に模造紙などを張って、避難民の人への連絡ページに使ってください

2 何から始めればいいの?

2‐①救援物資の通り道を確保します

駐車スペースに関しては、斜めに駐車することで真ん中の通路幅を確保できます。
この写真の上下にメイン通路(一方通行でもよい)、これで流れを確保できます
同様に救援物資が大型車両で搬送されます。災害時に通行できる道路は限られています。その限られた道路に避難民の方が無造作に駐車しますと、せっかくの救援物資も届かなくなります。この救援物資道路の駐車も斜め駐車にご協力ください

2‐②避難所のレイアウト

図のように真ん中にまずは通路を確保して、それぞれの空間を区切ってください

避難所に到着した順番に、好きな場所を確保するのではありません

まずは通路の確保と区画ブロックを守らせるようにしてください
救援物資の保管場所は、責任者と相談して決めてください
可能なら建屋内の入り口近くにします

3 救援物資を転倒、落下させないために
どうすればいいの?

3‐①トラックから分担して、物資を下ろして、トラックは早く返してください

物資を運んだトラックは次の場所に移動しなければなりません
1カ所の避難所に長く滞在していたら、複数の避難所を回れなくなります
少しでもほかの避難所に回れるように、トラックは到着してから30分で返してください

3‐②救援物資を運び入れるのに、マテリアルハンドリング機器(運搬用の資機材)を活用しましょう

トラックの近くにブルーシートを敷いて、まずは物資をおろします
この段階でトラックは返します

次に建屋内に運ぶときに、最初は写真のような運搬用の資機材がない場合、複数人のリレー方式で建屋内に運びましょう

次回からの救援物資に写真のような運搬用の資機材が届くようにオーダーしてください

3‐③物流で困る事は、段差、傾き、凹凸、などで転倒する事

災害時の救援物資は皆さんの善意で届いたものです

転倒、落下、乱雑な取り扱いなどで、破損したり、使えなくなったらお互いの損です
丁寧に、やさしく、扱うには写真のような段差プレートがあると便利です(板や鉄板などのものでも代用できます)

なお、物資を直置きせずにスノコの上にあげるとか、やむを得ず外で保管する場合ブルーシートで覆ってください
 

3‐④送ってくれた人の声を聞いて

熊本震災以降、個人から個人への救援物資を禁止しています

供給してくれる企業、団体から効率的に救援物資を送る仕組みが出来てきました
ただし十分に行き届く避難所と行き届かない避難所があります
届けられた物資が転倒、落下などで使用できなくなったら送ってくれた人、行き届かない避難所の人たちに申し訳ない

大切に取り扱ってください
 

4 箱の中に何があるのか、どうやって分かるの?

4‐①箱に色分け(例、赤は食品、青は生活必要小物品など)

最初に救援物資として送られてくるときは、カテゴリー別の箱詰めになっています
この段階では箱に色を付けておくと、誰でもが分かるようになります
シールやマジックなどで色分けします

次の段階から箱に複数のカテゴリーが混載されていることが多くなります
この段階では避難所で箱に色分けのシールを張るとよい

4‐②箱単位に明細記入の紙を貼る

この箱には何がいくつあるか、記入した紙を貼る
何日、何をいくつ誰が取り出したか、その結果残数はいくつか
これらを記入できる用紙を用意してください

大切なことは商品区分は詳細は不要です(サイズや色など)
在庫管理が煩雑になります

保管場所の狭いところでは、箱の中身が少なくなったら、同一中身の箱を一緒にして管理する事も必要になります

5.一目で箱の中身がわかる方法はないの?

5-① 救援物資を置く場所にテープで層別します

上の写真は救援物資が到着した順番に、空いているスペースに置いた写真です

これではどこに何があるのか、すべての箱を開けないと分かりません

下の写真は救援物資をカテゴリー別にパレットに置いた写真です

これなら欲しいものがどこにあるか、分かりやすいと思います

パレットがない場合、床面にテープを張って区切り線をつくってください

区画ごとにカテゴリーを分けておけば、探しやすくなります

5-② 中身を出して裸で見えるようにする

救援物資のいろいろの段階があります

最初に送られてくる救援物資は、サイズ、色、男女関係なく、必要と思われるものを余るくらいに送ります

その後徐々に必要なものが送られるようになります

その段階では送られた救援物資を箱から出して、裸で並べておくと、遠目にも分かります

5-③ 中身を書き出した紙を貼る

最初に送られた救援物資は、箱の中に入っています
ほぼ1箱同一の物資が入っています
この箱の側面を利用して、何が入っているかを
記載すれば箱を開けなくても探せます

取り出したときに数を消し込むことを忘れずに

下の写真は食品関係で、箱の上蓋を開けて商品が見えるようにしています

これが衣類だと箱の横面を開けて、横から見れるようにします
 

6.欲しいものはどうやって依頼すればよいの?

6-① 持病や介護用品、ベビー用品などはどうすればよいのか?

最初の避難所では、怪我や緊急病気の発生などの人命救助が優先されます

最初の救援物資は概略の人数を想定して、必要と思われる物資を届けます(救助物資)

その次の救援で必要と思われる物資が届きます
それでも不足する物資はリーダーの人にお願いして、届けてもらえるように依頼してください
決して個人で依頼されても、届きませんのでご注意ください

 

6-②インフラの確認をします

電気、ガス、水道、トイレ、着替え、風呂などのインフラは最初は何もありませんが、必要と思われる物資は送られてきます

そのインフラがいつ届くのか、すでに依頼しているのか、個人別に行わず避難所単位で遂行されます

掲示板などに、いつからどんなことができるようになるのかを掲示すると、イライラも解消されます

電源などの共有化できるものは、独占しないようにお願いします

避難所の生活は何かとストレスが溜まります
個人で体を動かすことはもちろん、全員でラジオ体操などをして、体をほぐすことに努めてください

 

7.あると便利なグッズ

7-① 初期に必要なもの

非常食、水、おかず、お菓子
ヘルメット
マスク
保護メガネ
安全靴
救急セット
タオル、三角巾
担架 救助工具

7-② あると便利

備蓄ラジオ
メガホン
発電機、蓄電池
加熱材、燃料
カセットコンロ、食器
簡易トイレ
衛生・消毒品
寝袋、エアーマット、毛布、間仕切りパーテーション
 

提供企業

一般社団法人 日本マテリアルフロー研究センター(JMFI)
https://ryuken-jmfi.or.jp/

設立趣旨

JMFIは会員により支えられる一般社団法人です
非営利組織として推進することで,関連省庁や学界との連携を強化し, 活動の幅と質を大きく拡充して参ります

研究会

その活動の一環として、各種研究会を立ち上げ産業界の声を吸収しています
https://ryuken-jmfi.or.jp/research/

災害強靭化
プロジェクト

淡路阪神、東日本、新潟中越、熊本と災害が発生するたびに、救援物資が届かない、必要なモノが届かないといった声を聞きます
私たちは産業界有志で避難所の緊急物資の仕組みをここに提言していくつもりです

https://ryuken-jmfi.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/09/JMFI%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9_1705%E7%81%BD%E5%AE%B3%E5%BC%B7%E9%9D%AD%E5%8C%96-1.pdf
 

プロジェクト
リーダー

川野信夫(元ワコール流通/社長)
r.f.sensin@nifty.com