防災グッズとしてだけじゃ、もったいない
ねえ、聞いてくださいよ。最近、なんだか妙に気になることがあるんです。友人の家に遊びに行けば、リビングの隅っこに鎮座してるじゃないですか。インスタを見てみれば、おしゃれなキャンプギアに混じって写ってるじゃないですか。そう、あの四角い箱。ポータブル電源ってやつです。
一昔前なら、こういうのって一部のガジェット好きとか、ガチのキャンパーさんとか、そういう人たちの持ち物だと思ってました。うん、たぶん多くの人がそう思ってたはず。でも、ですよ。最近じゃ、ごくごく普通の、なんなら「機械とか苦手で…」なんて言ってたような友達の家にも、普通にある。え?なんで?流行ってんの?
「これ、どうしたの?」って聞くと、みんな口を揃えたように言うんですよ。
「いやー、防災用にね」って。
防災。
ぼうさい。
その言葉を聞いた瞬間、僕の頭の中には、数年前に体験したあの夜がフラッシュバックするんです。
あれは確か、9月の終わり頃。大型の台風が直撃するってんで、まあ、一応懐中電灯と電池くらいは確認して、スマホもフル充電して、「ま、大丈夫っしょ」なんて高を括ってたわけです。テレビのニュースキャスターが神妙な顔で「最大級の警戒を」とか言ってるのを聞きながら、ポテチ食ってましたからね。我ながら、平和ボケの極み。
そして、その夜。
ゴウゴウと地鳴りのような風の音、窓ガラスがビリビリ震える音。だんだん不安になってきたな…と思った、まさにその瞬間でした。
「プツンッ」
え?
一瞬、何が起きたかわからなかった。テレビが消え、部屋の明かりが消え、エアコンが止まり、世界から一切の音が消えた。いや、違う。家の外の、風と雨の“本物の音”だけが、耳に突き刺さってきたんです。
停電だ。
マジかよ。どうすんだよ、これ。
慌ててスマホのライトをつけました。その小さな光が照らし出す部屋は、さっきまで見慣れていたはずの自分の部屋なのに、まるで知らない場所みたいに不気味で。心臓がドクドクうるさい。窓の外は、本当に漆黒の闇。近所の家の明かりも、街灯も、なにもない。世界に、自分たち家族だけが取り残されたような、とんでもない孤独感。
「パパー、こわいー」
当時まだ小さかった娘が、泣きながら僕の足にしがみついてきました。妻も不安そうな顔で僕を見てる。ここで僕がしっかりしなきゃ。そう思うのに、自分自身が一番パニック寸前。
「だ、大丈夫だよ。すぐつくだろ」
根拠のない言葉で家族をなだめながら、必死で考えました。スマホの充電、あと80%。これをどう使う?ニュースを見たい。でも、バッテリーが減るのが怖い。誰かに連絡を取りたい。でも、電波が不安定。懐中電電…。あ、あったあった。でも、この光、なんか心細いんだよな…。
一番きつかったのは、情報が全く入ってこないこと。そして、次に「暑さ」でした。9月の終わりとはいえ、まだまだ蒸し暑い夜。エアコンが止まった部屋は、あっという間に蒸し風呂状態。窓なんて開けたら、暴風雨が吹き込んできますからね。じっとりと汗をかきながら、ただただ闇の中で耐えるしかない。
冷蔵庫の中、どうなってんだろ…。明日の朝、牛乳とか卵とか、全部ダメになってるかもな…。冷凍庫のアイス…ああ、俺のとっておきのピスタチオのアイス…(泣)。
そんな、どうでもいいような、でも切実なことが頭をよぎるんです。
結局、電気が復旧したのは、丸二日後のことでした。たった二日間。でも、その二日間は、本当に地獄でした。スマホの充電はとっくに切れ、コンビニはどこも品切れ、冷蔵庫の中身は異臭を放ち始め…。近代的な生活っていうのが、いかに電気という細い糸一本で成り立っているのかを、骨の髄まで思い知らされましたね。
復旧して、家の明かりがついた瞬間、マジで声出して泣きましたもん。「うおおお!文明!!」って。妻と娘と三人で抱き合って喜びました。あの時の安堵感は、多分一生忘れない。
…おっと、ごめんなさい。つい、自分の体験談に熱くなってしまいました。
でも、これが言いたかったんです。最近、ポータブル電源を持つ家庭が増えている理由。それは、僕みたいな経験をした人が、日本中にたくさんいるからなんじゃないか、って。
地震、台風、ゲリラ豪雨、大雪。
もうね、日本のどこに住んでたって「うちは安全」なんて場所、ないんですよ。マジで。「なんとかなる」は、なんともならない。被災してから「ああ、あの時…」って後悔したって、もう遅いんです。通販サイトのボタンをポチることすらできないんだから。
だから、友人が「防災用に」ってポータブル電源を見せてくれた時、僕は心から「うん、それ、正解!」って思ったんです。
◇
…と、まあ、ここまで怖い話ばっかりしちゃいましたけど、ちょっとここで一息。
実はこのポータブル電源、防災グッズとしてだけじゃ、もったいないんですよ。これがまた、普段の生活をめちゃくちゃ豊かにしてくれる、最高のオモチャにもなるんです。
いきなりですけど、ベランダで焼肉ってやりません?やりたいですよね?でも、ホットプレート使うのに、家の中から長〜い延長コードを引っ張ってきて…って、なんか面倒だし、見た目も悪いじゃないですか。
そこで、ポータE…(もう略しますね)の出番ですよ!ベランダにポタ電とホットプレートを持ち出すだけ。はい、そこはもうプライベート焼肉レストラン。最高かよ。
あと、キャンプ。もうね、ポタ電があるかないかで、キャンプの快適度は天と地ほど変わります。マジで。
焚き火を眺めながら、スマホをガンガン充電できる。夜はLEDランタンでサイト全体を明るく照らせる。小型のプロジェクターを持っていけば、テントをスクリーンにして即席の野外映画館の完成。夏はサーキュレーターを回して涼しく、冬は電気毛離でぬくぬくと眠れる…。え、これ、もうホテルじゃない?
防災グッズって、どうしても「いざという時のためのもの」だから、押し入れの奥にしまい込んじゃって、いざ使おうとしたら「あれ、使い方どうだっけ?」とか「電池切れてるじゃん!」ってなりがちじゃないですか。僕もそうでした。防災リュックの中身なんて、賞味期限とか絶対切れてる自信がある(笑)。
でも、ポタ電は違う。普段からこうやってレジャーでガンガン使っていれば、自然と使い方にも慣れるし、充電の管理もするようになる。これって、すごく大事なことだと思うんですよ。防災を「特別なこと」じゃなくて、「日常の延長」にできる。これぞ、一石二鳥、いや三鳥くらいの価値があるんじゃないでしょうか。
…おっと、また話が逸れましたね。ついつい楽しくて。
そう、防災の話に戻りましょう。防災。
じゃあ、いざという時、この四角い箱が家にあると、具体的に何ができて、どう「助かる」のか。
まず、何よりも、スマホが充電できる。
これ、もう現代人にとってはライフラインそのものですよね。情報収集、家族や友人との安否確認、暇つぶし(これも意外と大事!)、子どものための動画再生…。スマホが使えるだけで、精神的な安心感が段違いなんです。あの停電の夜、バッテリー残量を気にしながら過ごした恐怖を思えば、いつでも充電できるという事実だけで、神に見えます。
次に、明かり。
スマホのライトもいいけど、やっぱり心もとない。でも、ポタ電にUSB接続の小さなLEDライトを一つ繋ぐだけで、部屋全体がぼんやりと明るくなる。それだけで、家族の顔が見える。夜、トイレに行くのも怖くない。子どもが不安で泣き叫ぶことも減るかもしれない。この「暗闇からの解放」は、想像以上に心を落ち着かせてくれます。
そして、季節によっては生死を分けるかもしれないのが、暑さ・寒さ対策。
夏場の停電で、熱中症で亡くなる方、毎年いますよね。悲しいことに。そんな時、消費電力の少ないDCモーターの扇風機やサーキュレーターを一台回せるだけで、全然違う。
冬なら、電気毛布。一枚あるだけで、凍える夜を乗り越えられるかもしれない。体温を維持するって、人間の生存にとって基本中の基本ですから。
他にも、テレビが見られたり、ラジオが聴けたりすれば、社会から孤立せずに済みます。リアルタイムで正確な情報を得られるのは、本当に重要。
もちろん、冷蔵庫みたいな大型家電をずっと動かすのは、家庭用のポタ電では難しいです。でもね、数時間おきに少しだけ動かして、庫内の冷気を保つ、なんていう使い方はできるかもしれない。どうしても冷やしておかなければならない薬がある人にとっては、まさに命綱です。
どうです?
こうやって想像してみると、停電という絶望的な状況の中に、ポータブル電源という「小さな希望の光」があるだけで、やれること、助かる可能性が、めちゃくちゃ広がると思いませんか?
「でもさ、ぶっちゃけ、お高いんでしょう?」
ええ、聞こえてきますよ、その声が。
はい、正直に言います。安くはないです。決して、ポケットマネーで気軽にポイっと買えるような値段じゃない。数万円から、高性能なものだと十数万円、あるいはそれ以上します。
でもね、ちょっと考えてみてほしいんです。
その数万円って、本当に「高い」んでしょうか。
例えば、最新のスマートフォン。10万円以上しますよね。僕も買いました。でも、それって、基本的には自分一人のためのもの。
じゃあ、ポータブル電源は? 家族全員の「もしもの時の安心」を守るための投資です。スマホ一台買うくらいの値段で、災害時に家族が少しでもマシな環境で過ごせる権利が手に入るとしたら…?
被災して、真っ暗でクソ暑い部屋の中、スマホの充電も切れて、腐りかけの食材を前に、「ああ、あの時、なんで数万円をケチったんだろう…」って後悔する自分を想像してみてください。その時の後悔の値段と、今、清水の舞台から飛び降りる(ってほどでもないか)値段、どっちが重いですかね?
もちろん、いきなり一番デカくて高いやつを買え、なんて言うつもりはありません。そんなことしたら、奥さんに怒られて家庭内不和という別の災害が発生しますからね(笑)。
大事なのは、「自分や家族が、最低限何をしたいか」を決めること。
「欲張らず、まずはスマホの充電と小さな明かり。これだけは絶対に確保したい!」
そう決めるだけでも、選ぶべきポータルの容量(大きさ)はグッと絞られます。最近は、本当にコンパクトで、女性でも片手で持てるようなモデルもたくさん出ていますから。
まずは、そこから。小さな一歩でいいんです。
ここまで、なんだか暑苦しく語っちゃいましたね。別に、僕はポータブル電源メーカーの回し者でもなんでもないですよ(笑)。
ただ、あの真っ暗で、心細くて、何もできなかった夜を、もう誰にも味わってほしくない。特に、この記事をここまで読んでくれているあなたには。本当に、心の底からそう思うんです。
「備えあれば憂いなし」なんて、もう耳にタコができるくらい聞き飽きた、使い古された言葉ですよね。でも、これほどまでに真実を突いていて、重い言葉も、なかなかないんじゃないかなあ、なんて思います。
防災グッズを揃えるのって、正直、面倒くさいです。お金もかかるし、場所もとる。わかる。すっごくわかります。
でも、その面倒くささの先に、守れる日常があるかもしれない。
まあ、色々と言いましたけど、最終的にどうするかを決めるのは、もちろんあなた自身です。
でも、もしよかったら。今日の僕のこの暑苦しい話を、ちょっとだけ頭の片隅にでも置いといてもらえたら嬉しいです。
で、もし、気が向いたら。
次の週末にでも、ふらっと近所の家電量販店とか、アウトドアショップとか、覗いてみませんか?
実物を見ると、またちょっと、考えが変わるかもしれませんよ。
Jackery ポータブル電源 2000 Newの口コミレビューはどう?