これらは、感覚や体験で判断してしまっている経営者や、
この通り指導する世の中のコンサルタントの言葉です。
これらは正しいのでしょうか?
もちろん、上手くいっている方も
いらっしゃると思いますが、それはたまたまです。
論理的、本質的に考えるとすべて間違っています。
これからわかりやすく詳解していきます。
間違った経営感覚①
デパ地下現象
「デパ地下の食品売り場で、1片2,000円の高級ケーキに100人の行列が出来た!」というニュースを見て「不況の世の中でも美味しい高級品を作れば売れるんだ!」と考えました。そして、スーパーや町の惣菜屋でも1片2,000円の高級ケーキを販売しました。
〔結論:〕
残念ながら失敗です。
この問題は、商圏人口と支持人口から論理的に数値で判断する問題です。
一般的な商圏人口は、以下の通りです。
【一般的な商圏人口:】
デパートの商圏人口 ⇒ 100万人
スーパーマーケット ⇒ 2〜3万人
下町のお惣菜屋さん ⇒ 3,000人
商圏人口から考えるとデパートの100人の行列は、商圏人口の0.01%しか満たしません。
つまりデパートの100人の行列は他の商圏で考えると・・・
【商圏人口から考える100人の行列:】
デパートの商圏人口 ⇒ 100万人 ⇒ 100人(0.01%)
スーパーマーケット ⇒ 2〜3万人 ⇒ 2、3人(0.01%)
下町のお惣菜屋さん ⇒ 3,000人 ⇒ 0.3人(0.01%)
ということになります。
高額商品はどの時代においても100人のうち2人か3人は買う人がいます。
なので「品質の高い商品(サービス)は、値段が高くても売れる」という考えは、
根拠のない感覚的判断であり、大きな間違いです。
間違った経営感覚②
多様化に対応すべき?
「これからは、多様化の時代だ!多様化に対応していかなければならない!今の消費者はいろいろな嗜好な人に分かれてきているから、それに対応しないのいけないのだ!」
〔結論:〕
完全に間違いです。
今、伸びている会社のほとんどは『画一化』を考えてます。
(多様化に対応していないということです)
世の中に目を向けてみましょう。
マクドナルドは、多様化に対応しているでしょうか?
基本的には、ハンバーガー中心の商品が多いです。
多様化に対応するならば、サンドイッチ、サラダ、フライドチキン、
ピザ、パスタ、お好み焼き、たこ焼き、牛丼を置いても良いですよね。
別の例を話します。
ユニクロは、多様化に対応しているでしょうか?
一見、多様化しているように見えますが、
実は品種はとても絞られています。(ここがユニクロの上手なところです)
〔なぜ、多様化に対応すべきではないのか?:〕
多様化に対応すると、様々な商品やメニュー、
様々なサービスを作ることになります。その結果、コストが増加し、ロスも発生します。
しかし、全体の利益が変わらないので利益が出なくなります。
また、多様化に対応すればするほど、お客さんも減っていきます。
もともと100人いたお客さんが、対応すればするほど細かくなり
50、25、10…と減っていくわけです。
〔消費者が多様化しているとは?:〕
この言葉の本質は「1人の消費者が持つTPOS(Time・Place・Occasion・Style)『=時・場所・状況・ライフスタイルに応じた生活の行動や目的』が増えている」ということです。
〔TPOS:〕
用途〔シチュエーション:〕のこと
顧客が購買行動を起こす用途、条件、動機をT・P・O・Sの4つのカテゴリーで定義したもの。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
T:time(どんな時に)
P:place(どんな場所で)
O:occasion(どんな場合に・目的で・必要に迫られて・契機に…)
S:life style(誰かと一緒に・1人で・家族と・友だちと…)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
これら4つの組み合わせで生まれるものがニーズ商品やウォンツ商品であり、それを具体化したものが使う人、食べる人、サービスを受ける人の立場で、買う人の立場に立った商品。
顧客が多様化しているのではなく、1人の顧客が持っているTPOSが多様化しています。
大手はこのことを理解しており『多様化』という曖昧な言葉に惑わされずに売上・利益を確保するには、多様化したTPOSの中から『誰もが何度も必要とするTPOSに絞って商品・サービスを扱う』ことが正解です。
間違った経営感覚③
広告・販促を使うべき?
「会社の売上が落ちてきた!今すぐ広告を使って、販売促進をしよう!そして、お客さんをたくさん集めて、ガンガン売っていこう!!」
〔結論:〕
違います。
これは、もっと売上を落としてしまう原因に繋がります。
広告の営業マンは言います。
「我社の広告を使えば、赤字状況を脱出できますよ!前月比+130%になります!
健康食品会社Aの事例では…デジタルコンテンツ販売会社Bの事例では…」
これは完全に“営業トーク”です。
売上が落ちてくると「もっと広告や販促を行い売上を上げないといけない」
と考える経営者は多く、この営業トークに釣られて広告を打ってしまいます。
ですが、これは完全に誤りであり【広告の原理原則】から外れています。
〔商品が売れない本質的な原因:〕
商品が売れない本質的な原因は、
お客さまが欲しい商品を、欲しい価格で販売していないからです。
また、広告や販促をしないからではなく、
商品・サービスの内容、品質、価格などに問題が出てきているからです。
もしくは、我社に変化が無くとも、他社の商品が良くなったり、
価格が安くなったりしたからです。
逆に、商品が売れる理由は以下の通りです。
【商品が売れる理由:】
お客さまが欲しい商品を、欲しい価格で販売
〔DRM=集客→教育→販売?:〕
巷のネット起業家は言います。
「商品を売るなんて簡単だ!DRMすればいい!
「集客」→「教育」→「販売」をすれば、誰でも簡単に売れる!
これは完全に間違いです。
良い商品(=売れる商品)とは、
お客さまが欲しい商品であり、欲しい価格であるものです。
つまり、教育(≒洗脳)しないと売れない商品は欠陥商品であり、ガラクタです。
原理原則に従えば本来、DRMには『教育』は不要であり『集客→販売』のみです。
ですが、この場合は『顕在見込み客』のみのアプローチとなります。
顕在見込み客とは、すでに自分のニーズを理解している方のことです。
対となるのが『潜在見込み客』です。
潜在見込み客とは、まだニーズを理解していないが、実はニーズがある人のことです。
商品やサービスに対し、興味や関心がないわけではないが、
存在を知れば利用や購入に至る人々です。
売上を最大化する場合は、後者にもアプローチする必要がありますが
「教育(洗脳)」するのではなく『告知』をします。
『告知』とは、不特定多数の人に我社の魅力を過不足無く“伝達”することです。
本当のDRMは、大量の見込み客をかき集め、
我社の魅力を過不足なく伝達し、販売することです。
〔広告の正体:〕
告知、広告、営業にはそれぞれ定義があります。
〔告知とは:〕
我社の存在を〝不特定の顧客〟に知らせること
〔広告とは:〕
我社の魅力を〝不特定の顧客〟に過不足なく伝達すること
〔営業とは:〕
我社の魅力を〝特定の顧客〟に過不足なく伝達すること
言葉の定義から考えると・・・
売上が落ちているタイミングで「広告」を打つというのは
「悪くなった会社を見てください」「売れない商品を扱っています!」
と悪いところを宣伝しているようなものです。
しかも、お金を使って・・。
広告の結果、お客さまは集まってきますが
「この会社はダメだ」とレッテルを貼られ、広告を打つ前よりも悪い結果になります。
原理原則で考える広告の最適なタイミングは
『我社の問題点を解決し、売上が伸びている』ときです。
売上が落ちた原因を発見し、手術し、少しずつ上ってきたところで、
良いところが増えてきた!そのタイミングで広告と販促を行います。
『良くなったから見にきて!』
これが、正しい広告・販促を行うタイミングです。
「広告」とは【我社の魅力を伝えること】であり
「販促」とは【売れているものをもっと売れるようにすること】です。
良さもなく、売れているものもない時に、
広告・販促を行うは原理原則に当てはまりません。
間違った経営感覚④
感性・アイディアが必要?
〔結論:〕
否定はしませんが、シチュエーションによって異なります。
「感性」とは、その人が置かれた環境に宿り、人によりバラツキがあります。
経営戦略を行う経営トップには、
感性やアイディアが必要になる場面が出てきますが、基本的には不要です。
感性で仕事をしろ!と言うと、感性のない人は仕事ができないことになります。
また、感性やアイディアを重視すると、その人にしかできない仕事、作業が無数に発生し、
仕事内容・品質・結果にバラツキが出てしまいます。
特定の人にしかできない仕事も発生してしまいます。
〔情報商材が稼げない理由①:〕
感性・アイディア重視
世の中の情報商材で稼げない理由も、ここに集約されています。
販売者は販売時に感性やアイディアを駆使していますが、
購入者に感性やアイディアを求めるのは好ましくありません。
前述の通り、人によって感性やアイディアは異なるので、
実践するノウハウにおいて感性やアイディアが重視されるのであれば、
結果が出る人と出ない人に分かれてしまうのは当然です。
なので、人を多く使う組織的なビジネス〔=会社経営、スクールビジネス〕では
感性・アイディアに任せることは不向きです。
ですが、コンサルタント、芸能人、職人などの
タレントビジネス〔=才能ビジネス〕では感性・アイディアが必要です。
この場合は、ビジネスを大きくすることは困難であると覚悟しておいた方がいいです。
間違った経営感覚⑤
差別化が必要?
「商品には、差別化が必要だ!」
「発信には、差別化が必要だ!」
果たして、本当にそうでしょうか?
実際、こういう発信をしている方はどのくらいいるのでしょうか?
その時点で“差別化”が作れているのでしょうか?
〔結論:〕
“ゆくゆく”は必要です。
「必要」であるのと『“現時点で”可能』であるのとでは別問題です。
零細企業・中小企業(≒ナノインフルエンサー・零細起業家)は
今までに“差別化”をしようとしてこなかったのか?
いえ、巷の零細企業も、零細起業家も差別化しようと切磋琢磨しています。
でも、できなかったんです。
残念なことを言います。
1万社に1社は差別化ができたとしても、零細レベルでは無理です。
資金も、人材も、技術もない零細レベルでは簡単に差別化することはできないです。
本人にとっては差別化だと思うことでも、
まったく差別化ではなく『ただの量産型』です。
Twitterしかり、Facebookしかり、
同じような人がたくさんいるように見えるのは、そのためです。
では、どうすれば良いのか?
差別化を諦めて、ビジネスを引退すべきか?
大丈夫です、安心してください。
差別化ではなく・・・
ひたすら優良企業(≒大型インフルエンサー・大物起業家)を『真似る』戦略が有効的です。
真似て成功し、売上100億円になったら初めて本当の差別化を行うことができます。
なので、最初は差別化できる体力作りのために『真似』すべきです。
間違った経営感覚⑥
売り方を学ぶ?
「DRMをすれば売れる!」
「電話営業すれば売れる!」
「広告を使って、販促でフィニッシュだ!」
「営業は断られてからが、本当の営業だ!」
〔結論:〕
営業の勉強の前に、商品の勉強をすべきです。
ビジネスの原点は「物々交換」です。
物々交換とは「欲しいものと欲しいもの」を「等価」で交換する時に成り立ちます。
貨幣ができてからは、欲しいものと欲しいものの間に貨幣が介在するようになりました。
が、「等価で」という意味では原理は変わりません。
売上は、お客さまが欲しい商品を、
欲しい価格で見つけた時に、初めて生まれます。
売り方、営業力、コピーライティング、煽り、説得といった
売り手の努力はお客さまには無関係です。
お客さまは、欲しい商品でないと買わない。
お客さまは、欲しい価格ではないと買わない。
ただそれだけです。
この論理を知らずに「どう売るか?」という売り方を学ぶのは、間違っています。
大事なのは「何を、いくらで、売るか」という商品の勉強を行うことです。
お客さまの要らないものを「営業力」で売ることは、ただの押し売りです。
「営業は、断られてからが本当の営業だ!」
と根性論を述べる人もいますが、完全に間違っています。
9回断られたけど10回目で買ってもらったとしたら、
それは“お情けビジネス”であり、商品を買うことであなたの営業から逃れたいだけです。
「断られたら、潔く引く」のが大切です。
売れるまで引き下がらないのは、一時は売れても長くは続かず、
コストばかりかかり利益は出ません。
また、潔く引くことでお客さまからの印象も良いです。
クドクドしていないので、また次回、
お話しを聞いてもいいかなと思ってくださります。
そして、あなたは次回のタイミングまでに
お客さまの欲しい商品を開発したり、探し出したりし、
欲しい価格で提供すればいいのです。
そしたら売り方を学ぶ必要はなくなります。
〝破壊的創造〟
「感覚経営」から『論理経営』へ
ここまでで伝えた通り、人は、ものごとをイメージ、感性、倫理観など
心地よい響きの表現でオブラートに包まれたり、
マスコミなど影響力の大きいものから発信されたりすると、
ついそれが正しいと信じてしまいがちです。
また、その方向にも流されたりするものです。
ですが、少し立ち止まって現状を疑い、冷静に考えてみてください。
経営とは、結果がすべて数値で表現される世界です。
数字の世界である以上、すべての基本的な思考と行動は『論理的』である必要があります。
イメージ、感覚、感性、パッション、精神論に頼っていては、
不確実性が多く成功の確率はガクッと落ちてしまいます。
また、新聞、ニュースといったマスコミが流す情報や
SNSの情報にも気をつけた方がいいです。
「なぜ、ニュースになるのか?」を考えてみてください。
〔問題:〕
次のうち、ニュースになるのはどちらか?
A:道路で、犬に噛みつかれ、怪我をした。
B:道路で、犬に噛みつき、怪我させた。
ニュースにはなるのは【B】です。
なぜなら、Aは特異ではなく日常だからです。
反対に、Bは特異性が高く非日常なのでニュースになります。
ニュースは珍しく特異だからトピック(話題)として選択し、記事にしてきます。
なので、経営情報(=起業情報)として取り込む時には、
数字と事実のみを客観的情報として取り込むべきです。
反対に、意見、感動などの主観的な情報は排除すべきです。
そして「その現象の本質は何なのか?」を常に考えて受け入れることが大事です。
経営とは、博打〔ギャンブル:〕ではありません。
大きな失敗をするとクライアントの生活、
従業員の生活、取引先の経営に影響を及ぼします。
なにより、あなた自身の人生を台無しにすることになりかねません。
成功確率を高め、失敗しない経営をする『論理性』と『客観性』が求められます。
経営感覚の〝Change〟
【(1)“経営”の定義】
①経営の意味
〔経営とは:〕
『持続した投資、回収のしくみと活動』
「利潤追求」「社会貢献」「顧客満足」など色々と言われますが、
本質を一言で述べると『持続した投資、回収のしくみと活動』です。
ーーーーーーーーーーーーーー
〔経営サイクル:〕
資金(資本・元手)を何かに投資
↓
その利益を回収
↓
また何かに投資
↓
そして回収
ーーーーーーーーーーーーーー
これが繰り返され、再投資、再回収が大きくなると、
会社(個人事業主、学生起業含む)は成長します。
反対に、この輪が小さくなることは衰退を意味します。
そして、再投資が止まる=倒産を意味します。
これにより、経営者にとっての経営判断の最重要課題が決まります。
『どんな商売に投資し、どうやって回収するか?』
これが最重要課題であり、
経営者の仕事の本質は「投資と回収の決定」です。
〔資本主義社会で企業を成長させる原理原則:〕
いかに多くの資金を調達し、それを投資し、より多くの資金を回収し、
それをまた資金を生み出す商売に投下し続けることができるか。
近年の日本の経営者では、孫正義氏がいい例です。
巨額の資金を調達し、その時々の成長分野に企業買収などを通して、
企業の成長拡大を図っています。
②経営構図と経営の目的
経営の目的を簡単な損益計算書から考えます。
企業の損益計算書は図のような構図になっています。
これらの項目から経営の目的を照らし合わせると、
上から順に「売上高」とは消費者に様々な商品やサービスを提供している見返りです。
これによって人々の生活に貢献していると考えます。
〔売上高が高い:〕
人々の生活・暮らしに貢献している。
〔売上高が低い:〕
人々の生活・暮らしに貢献していない。
「売上原価」である仕入れや外注費は、これらの調達先の売上なので、
取引業者に貢献していることになります。
情報販売であるなら、情報の提供元から情報の仕入れ額が
「売上原価」であり「調達先の売上」です。
そして「売上高」から「売上原価」を引いた金額が
『売上純利益(粗利益)』です。
次に「販売費一般管理費」は、まずこの中には
役員(経営者)の給料、社員の給料が含まれるので
役員と社員の暮らしと資産形成に貢献しています。
また、その他の様々な経費の消費を通し、国全体の経済に貢献しています。
そして「法人税等」の税金の支払いは、社会貢献を表しています。
厳しい言い方をすると、赤字の個人事業主、
赤字の企業で税金を払っていない場合は、
社会貢献ができていないと言わざるを得ないです。
企業の成長(個人事業主の成長)とは、
損益計算書の項目の金額が大きくなることで、
さらに売上が増え、取引先も増え、
社員(外注先)の雇用も増え、支払う税金も増え、
全体的に社会への貢献が大きくなることを表しています。
③目的実現の順序
経営の目的のうち、経営者(個人起業家含む)として
特に零細・中小企業(起業家含む)やナノインフルエンサーが、
最初に実現すべき目的は何か?
それは、経営トップの暮らしと資産形成です。
会社は社長の独占物ではないと叱られそうですが、
現実駅にはトップの欲求が満たされない会社は成長しないです。
経営のトップとして企業を成長させ、多くの社員を引っ張っていくためには、
トップ個人の安定した暮らしと、必要十分な資産の確固とした基盤が必要です。
(そうではないという人は、それに越したことはないです。
が、本気で経営を行うには、本音が必要です。)
次に満たすべきは、社員のより良い暮らしの創造。
次に税金による社会貢献、株主への配当による貢献です。
が、損益計算書を見るとわかりますが、これらを満たすための“大前提”として、
売上とそれに伴う売上総利益(粗利益)が十分に確保されている必要があります。
この意味から、企業は売上を通して
人々の生活・暮らしに貢献できていなければ、
すべての目的は果たすことができません。
④経営戦略とは?
〔経営戦略:〕
『時流に乗るために策定される作戦』のこと
【目的:】企業規模を拡大
経営戦略の善し悪しの影響は、売上の8〜9割に及びます。
そのため、トップマネジメントの重要決定事項です。
時流は環境変化によりどんどん変わっていくため、
経営戦略はそれに応じ、5年〜10年ごとに変更されます。
経営戦略は、例えるなら「どんな乗り物に乗るか?」ということです。
江戸時代は、籠に乗っていました。
それが、自転車、自動車、新幹線、ジェット機、という風に進化しています。
新幹線よりジェット機が速ければ、そっちに乗れないのか?
と作戦を立てるのが、経営戦略です。
ビジネスで置き換えて考えてみます。
薬局は、時流に合わせて「ドラッグストア→スーパードラッグストア」と変遷してきました。
スクラップアンドビルド〔創造と破壊:〕や
業態の変更で経営戦略を変えて生き残ってきた例です。
スーパードラッグストア自体も破壊されつつあり、
一部地域ではコンビニエンスストアとスーパードラッグストアの融合店舗ができつつあります。
いつでも通える24時間のドラッグストアということです。
経営戦略を時流に合わせて変更できなかった町中の薬局は、
消滅に向かってしまいました。もう町では薬局をあまり見ないですよね。
〔戦略と経営戦略と戦術との違い:〕
〔戦略:〕
【目 的】基盤づくり
【定 義】20〜30年後のための長期作戦
【変 化】10年間以上は変化しない
【重 点】①資金量と資産の種類
②人材の質と量
【実行者】ごく少数者
【起案者】目標=トップのみ
プロジェクト=スタッフ
【急 所】①集中主義
②トップ決裁
【落し穴】①方針が曖昧
②逸脱の摘発がない
③制度がない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【失敗原因】①守旧本能 ②自信過剰(我流) ③的確情報の不足
〔経営戦略:〕
【目 的】規模拡大
【定 義】時流に乗るための5〜7〜10年ごとの変更戦略
【変 化】5〜15年間の中で、ガラリと転換
【重 点】①スクラップアンドビルド
②フォーマット
【実行者】比較的少数者
【起案者】トップマネジメント
詳細は、ラインスタッフ
【急 所】①先制主義
②マネジメント
(数字根拠が明確なこと)
【落し穴】①風俗との混合
②アメリカ情勢への無知・無関心
③過大投資と過大借入
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【失敗原因】①守旧本能 ②自信過剰(我流) ③的確情報の不足
〔戦術:〕
【目 的】マネジメント力(収益性)
【定 義】課題(タスク)解決のための具体的方法
【変 化】毎年、毎月と少しずつでも確実に向上
【重 点】①教育の内容と方法
②現場での普及システム
③評価尺度
【実行者】多数の人々
【起案者】スペシャリスト(管理職)
実行は、本人たちそれぞれ
【急 所】①一番主義
②経営技術の入手と徹底
【落し穴】①努力・精神力主義でごまかす
②見学(ストアコンパリゾン)の不足
③ハードウェア依存
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【失敗原因】①守旧本能 ②自信過剰(我流) ③的確情報の不足
〔戦略:〕
企業の基盤作りのために、大局的な視野で20年〜30年という長期的な作戦を立てること。「ずっと変わらない作戦」
〔経営戦略:〕
変わらない「戦略」を実現するため、時流に合わせて作戦を変えること。
〔戦術:〕
「経営戦略」を実現するためのマネジメント力で、その時々の課題解決の具体的な方法、技術を指す。
戦術は、経営戦略が変われば、変えていく必要がありますが、
それ以外に、従業員数・店舗数が増える度にも変えていく必要があります。
インターネットビジネスに置き換えるなら、
アカウント数・媒体数が増える度にも変えていく必要があります。
5大主義
〔5大主義:〕
伸びている会社(大企業)が必ず取り入れている思考基準・行動基準
①一番主義
②集中主義(重点主義)
③先制主義
④理論主義(経験主義)
⑤計画主義(ヴィジョン主義)
〔①一番主義:〕
【一番主義:】
▶「何を」一番にするか。
▶「どこで」一番にするか。
▶「何のために」一番にするか。
競争時代、寡占が進行する時代では、
ある分野で一番になることが必要です。
一番主義とは、何を、どこで、何のために、一番にするかを決めることです。
●何を一番にするか?
ビジネスの武器を何にするかを決めて、
武器にした商品・サービスで市場を寡占化できる状態を作ることです。
そのために顧客のTPOSに合わせて、
どんな商品ラインを寡占するかを決めます。
武器になるのは、顧客が求めているものであり、
自分が売りたいものではないです。
「○○屋さん」といった業種は武器になりません。
業態化することが必要です。
●どこで一番にするか?
戦う場所を決めることです。
小売、飲食業では商圏や商勢圏の決定で、
営業会社では販売エリアの決定ということです。
ドミナントエリアを設定して、
集中的に資源を投入することが重要です。
●何のために一番になるのか?
一番になる目的は、競争に圧勝するためです。
競争社会は生きるか、死ぬかの社会なので
二番手に圧勝して優位な地位を築く必要があります。
二番手と三番手の売上高やシェアの合計を上回ることが理想です。
以上、3つをまとめると、商圏内で競合に圧勝するために、
顧客のTPOSに絞った商品ラインで圧倒的支持率を獲得することです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
【参考】
〔HUNNN株式会社の一番主義:〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━
▶「何」
給与受給者(会社員、主婦、学生、フリーターetc...)が
自宅完結で、能率・効率的に1日3時間のスキマ時間で
月収30万円稼げるようになる『5万〜15万円の商品』
▶「どこで」
まずは、Twitter(商圏エリア)
▶「何のために」
100億円企業へと成長させ、競争に圧勝するため。
そして、社会貢献(飢餓の減少化など)を行うため。
〔②集中主義:〕
【集中主義:】(重点主義)
▶『何をやめるかを決めること』
一番影響力のある課題に絞り、それだけを完全に実現することが目的
集中主義は、一番主義と表裏の関係にあります。
一番主義を実現するために、限りある経営資源を重点的に使う必要があります。
そのために、一番影響力のある課題に絞り、
それだけを完全に実現することを目的にします。
その本質は「何をやめるかを決めること」です。
やめることを決めない限り、
ひとつに集中して、それで一番にはなれないからです。
たとえば「我社は価格で勝負する(一番を取る)から、
店の設備や装飾には金をかけないし、
少々汚くても掃除のために人件費をかけないぞ」という感じです。
回転寿司は、価格と気軽さで一番を取るために、品質は諦めました。
コンビニは、便利さ(近い立地、24時間営業)に集中して、
それ以外の価格や品揃えは諦めました。
その代わり、便利さではどの業態よりも一番になりました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
【参考】
〔HUNNN株式会社の集中主義:〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━
コンテンツ(テキスト・音声・ビデオ)で一番になるために、
セミナーや対面コンサルティングはやらない。
〔③先制主義:〕
【先制主義:】
▶『先んずれば人を制す』
成功事例を我が商圏で誰よりも先に行うこと。
他の国や地域、他の業界で成功した事例を、
誰よりも早く我が地域や業界に持ち込むこと。
先制主義とは、成功事例を我が商圏で誰よりも先に行うことで、
他の国や地域、他の業界で成功した事例を、
誰よりも早く我が地域や業界に持ち込んで先に行うことです。
真っ先に市場に出ることのアドバンテージは何にも勝るものです。
『先んずれば、人を制す』ということです。
〔史上初!を作ればいいのか?:〕
日本初、世界初の商品を作ればいいのか?と思われがちですが、
零細(中小)企業や個人起業家が行う「○○初!」はだいたい失敗します。
自分のアイディアで考えたビジネスモデルではなく、
すでにある成功例を「パクる」のがポイントです。
つまり【経験主義】に基づくことです。
そのために、日本中、世界中のビジネスの成功例を
リサーチ〔分析・調査〕やストアコンパリゾン〔観察〕などによって、
常に広く収集することが大切です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
【参考】
〔HUNNN株式会社の先制主義:〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━
Mr.X、村上宗嗣さんの考え方をTwitterに初めて持ってきた。
資本主義150年で受け継がれる【原理原則】を
インターネットビジネス業界に初めて持ってきた。
〔④経験主義:〕(理論主義)
【経験主義:】(理論主義)
▶成功事例をパクること
経験主義は、先制主義と表裏の関係です。
先制主義で他に先んじて行うビジネスは、
経験主義によってすでに成功が証明された事例であるべきだからです。
零細(中小)企業、個人起業家では、
特別能力のある一部の人間や企業以外、
自分の創意工夫・アイディアで優れたビジネスモデルを見つけるのは無理です。
経験主義(理論主義)によって謙虚に成功事例をパクり、
資金や人材のない零細レベル、個人レベルでも
理論的・科学的な経営を行い、成功の確率を高めるのが大事です。
〔経験主義のケーススタディー:〕
大企業も、パクりから始まりました。
ユニクロ → GAP
ビデオレンタルのTSUTAYA → アメリカのブロックバスター
GU(ユニクロの子会社) → ネイビーオールド(GAPの子会社)
トヨタ → アメリカのGM
富士通、NEC → アメリカのIBM
パナソニック → アメリカのGE
日本のマクドナルドとセブンイレブンに関しては、
アメリカにあるものをそのまま日本に持ってきています。
セブンイレブンは、本家を子会社にするまでに至りました。
〔⑤計画主義:〕(ビジョン主義)
【計画主義:】
▶ビジョンを持ち、あらかじめ計画を立て、その通り実行して成功すること
企業経営は、計画的に投資・回収のサイクルを実現することが必要であり、
偶然性や賭博性〔ギャンブル性〕があっては困ります。
すべてを狙い通りに遂行するのが企業経営であり、
計画50%発見50%ではあってはいけません。
あらかじめ計画を立てて、その通り実行して成功するのが「計画主義」です。
ゴールだけ決めて、社員みんなで頑張ってできた、というのは「結果主義」です。
「結果主義」ではビジネスが賭博(ギャンブル)になってしまいます。
がんばったけど残念ながら失敗した、また来年頑張ろうとか、
この商売は運良く当たったが、来年はわからないではダメです。
〔ビジョン主義:〕
計画主義の出発点に「ビジョン主義」があります。
ビジョン主義とは、長期的な視点を持って、
実現したい総合的、最終的な目標を持つことです。
ロマンは実現できるかどうかわからない夢なので、
たとえ実現しなくても良いものです。
が、ビジョンとは実現させるために挑戦する目標です。
自分の代ではなくても、三代先、100年かけて実現させる!という目標です。
〔ロマン:〕
・実現できるかわからない夢
・たとえ実現しなくても良いもの
〔ビジョン:〕
・実現させるために挑戦する目標
・自分の代ではなくても、100年後でも実現させる目標
そのような目標には自ずと国民の暮らしをより良い方向へ変え、
貢献するという信念があり、経営者の生きがいとなります。
ゆえに、ビジョン主義における数値目標は
売上10%アップ、30%アップという計画ではダメです。
最低、今の100倍を目指す必要があります。
現在、売上が100万円なら1億円、1000万円なら10億円、
1億円なら100億円の目標を持つことです。
なぜならば、10%、20%、30%アップという計画は、現状の延長線上に過ぎず、
達成可能な計画であり「現状肯定」に繋がってしまうからです。
ですが、100倍の計画(100倍ビジョン)は
絶対に今のやり方では達成できない数字です。
すると、やり方を変えるしかない「現状否定」をせざるを得ない計画となります。
〔ビジョン主義:〕
常に現状を否定し続け、最終目標のために変革し続けること
これにより競争社会でも会社は存続し、社長の人生も充実したものといえます。
また、ビジョンがある企業(個人起業家含む)は永続的に続きます。
ビジョン達成のために、その精神、考えが継承され、経営の方向性が定まっているからです。
〔計画主義と成長曲線:〕
ビジネスの成長度合いと経過年数をグラフに表すと次の『成長曲線』のようになります。
【成長曲線】
左図のようにスタート後、すぐに成長するビジネスは一般的に長続きしません。
長期的に見て成長するビジネスは右図のように当初の何年か、
場合によっては十数年間成長が鈍いか、ほとんどない期間があり、
その後、ある時に急成長するパターンです。
成長過程には必ず停滞期と飛躍期がありますが、この組み合わせが関係します。
左図は、計画性がなくとにかく実行するタイプです。
このタイプは停滞期に何をしているかと言うと、
実行して失敗したことの「後始末」を行っています。
走っては後始末の繰り返しで、
当初は勢いよく伸びますが、やがて止まり、ジリ貧となります。
一方、右図は、じっくり計画を立て、考え、検討してから実行するタイプです。
この場合の停滞期は、次の行動の「準備」を計画立てて行っています。
こちらのタイプは、最初は準備に時間が取られますが、
準備によって人材、技術が蓄積されると、準備期間は徐々に短くなり、
成長の幅が大きくなり、資金も蓄積されて、ある時点で爆発的に成長します。
〔両者の違い:〕
はじめに「目標」があり「計画」を持っていたかどうかということです。
〔計画主義のケーススタディー:〕
スターバックスコーヒーは、1971年の創業から34年目で8,000店舗を越えました。
そして、38年目で16,600店舗を越えました。創業34年目が爆発点です。
それまでの期間は資本と人、経営技術を準備している期間だったのです。
資本が蓄積されて優秀な人材が育ち、
技術も蓄積されたところで、爆発的に出店が進みました。
〔計画:〕(Plan)………………「行動」の計画とは
次に中期、短期的な「行動」の計画についてです。
計画というと、目標として売上はいくら、経費はどれだけ、
そして利益はいくらというように、結果が数字で表されます。
それを達成するための計画は「数字」ではなく
「行動」の計画であるべきです。
「行動」の結果が数字として表れるので、目標数字を達成するために、
どのような「行動」をするかあらかじめ決定するのが計画です。
1年間の計画なら、52週、365日、どんな計画をするかの計画が必要であり、
少なくとも週ごとの目標で50ページ余りの計画書となるはずです。
(1日300ページの計画書があれば、素晴らしい)
ですが、これはなかなかハードです。
まずは、超短期間で考えて、社員1人ひとりの1週間の行動予定表を作って、
その後、それを1日ごとに落とし込んで行動計画書を作ってみることをおすすめします。
その後、月次計画、四半期計画、年間計画と移っていけばいいと思います。
〔5大主義まとめ:〕
以上の5大主義は、企業が成長するための基本的な行動基準であり、
成長企業はほとんどこれに基づいて成長しました。
〔5大主義のケーススタディー:〕
〔セブンイレブン:〕
①一番主義・・・・出店をドミナントエリアで行い、
商品は高購買頻度と季節商品で寡占
②集中主義・・・・出店しない地域、扱わない商品の決定。
(2009年時点で10県に未出店。
沖縄県への出店は2019年7月11日)
③先制主義・・・・日本で初めての業態。
④経験主義・・・・アメリカのセブンイレブンをそのまま持ってきた
(理論主義)
⑤計画主義・・・・始めから12,000点を目標
(2007年度に達成。2020年4月末時点で20,938店舗)