知識も、人脈も、資金も全てゼロ。
無い無いづくしで起業した私にとって
10年前、起業当時の先生は『本』でした。
ネット情報は無数にありましたが
偽物情報も腐るほどにあり
チュートリアル以外はアテにならない。
だとしたら…
妊婦起業から、ゼロ歳児を育てながらの
ビジネス構築は、傍に置いておける
『本』が、私の一番の先生でした。
おかげさまで、こうして10周年を迎えて
いられるのも、あの時の何十冊もの
先生のおかげです。
本当に、感謝しています。
人生における低迷期にも
何度も『文字』に、救われて来ました。
14歳。
私に、愛と生きる喜びを教えてくれた人は
空のかなたに旅立ちました。
そんな私の、真っ暗なトンネルを
ひとすじの光で照らしてくれたのは
とあるアーティストの音色
そして、そこにのせられた『言葉』でした。
強張った心が、ほどける感覚…
冷たかった指先に
血が通うような温かさ…
私が、命を取り戻した瞬間でもありました。
そして、私が、19歳の時。
母が突然、余命1ヶ月と告げられました。
“事前に、残り時間を告げられる”
想像していた以上の重圧が、そこには
ありました。
家族の何気ない毎日は
完全に狂っていき…
ここがどこなのか、今がいつなのか
えも知れぬ時間感覚に陥っていった
闘病と死を受け入れる準備期間でした。
結局、どれだけ寄り添おうと、私は母では
無く、本当の意味での辛さや孤独は
いち家族としても、知り得ないところでした。
残された時間で、より良いプロセスは
何なのか、知識を持つ必要がある、と
当時、臨床心理やターミナルケアについて
色々と本を読みました。
その中で、ある精神科医が研究した
「死の受容プロセス」が
母の状態と非常に一致していたのです。
プロセスには5つの段階があり
1.否認と孤立
頭では理解しようとするが
感情的にその事実を否認している
2.怒り
「どうして自分がこんなことになるのか」と
いうような怒りにとらわれる
3.取り引き
神や仏にすがり死を遅らせてほしいと願う
4.抑うつ
回避ができないことを知る
5.受容
私は、この時、母の普通ではない
発言や挙動も、変わっていく様も
『そうか、そういう事なんだ』
と、全てにおいて受け入れる準備が
できたのです。
紛れもなく、この、本のおかげでした。
その後、3ヶ月頑張った母とは
私の成人式も、花嫁姿も見ず
孫を抱くことさえ無く
この世を去ったわけですが
あんなにも濃密に、最期の時を過ごせたのは
早い段階で、母が陥っている心の状態を
知ることができたからだ、と
今でも、その本に、とても感謝しています。