ポジショニングとは、『自社の製品がどれほどユニークで魅力的なのか、他社との差別化を図りながらターゲットである顧客に認識してもらう行為』です。
簡単に言えば、〝顧客に『〇〇といえば△△』と思ってもらうための戦略〟です。すなわち『差別化』ですね。
ビジネスは競合に勝つために「競合と戦う中でどんな強みを押していくのか?」リサーチの段階から戦略を組み立てていくので、ポジショニングをしっかり定めない状態は土台が定まっていないようなものです。
つまり、その上に戦略を立てても非常に不安定なものとなってしまいます。
そこで本レポートでは、『差別化を図るためのポジショニングの真髄』について話していきます。
自分のビジネスの集客をし売り上げをしっかり出し続けるのであれば、ポジショニングを考えることは必須なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
では、早速いきましょう。
ポジショニングが重要になりますが、これはなぜでしょうか?
単純に競合に負けず特定の市場で1位を取るためというのもあるのですが、もっと強力な理由があります。
その理由は、ポジショニングが出来ていなければ見込客にメッセージが届かないからです。
というのも、情報が溢れかえっている現代ではたくさんの情報を伝えても、穴の空いたバケツに水を入れるのと同じで何も残らないんですね。
でも、ポジションを築くことができれば、一貫性も相まって人々の頭にこびりつきます。
例を出してみますね。
例えば餃子。
餃子=宇都宮という感じで、多くの人のこべり付いていると思うのですが、何度も浜松市に追い越されているんですよね。ですが、餃子=宇都宮は崩れていません。
これは、宇都宮市が餃子市場でポジションを真っ先に獲得したからです。
冒頭で言った、『◯◯と言えば▲▲』というやつですね。
他にも、りんご。
りんご=青森と思う方も多いのですが長野が勝ってたりもします。けど、圧倒的に青森が浸透しているはずです。
ビジネス界隈でも同じですね。
『マーケター=◯◯』『コピーライティング=▲▲』という感じで、トップポジションを取っている人が多いと思います。
ですが、多くの人が抱くその人たちはたいていトップじゃないですよ(笑)
実力が分かりづらい人もいますし、誰にも会わずに何十億とか稼ぐヤバい方を知っているので。
ただそこは重要ではなくて、ブランドの浸透しやすさというのがあるので『ポジションを1度取ってしまえば勝ち』ということですね。
必ず集客ができて口コミが飛び交うので、そう簡単に覆すことはできませんし。
だからこそ、ポジショニングが大事で『◯◯=あなた』を確立させようということです。
ポジショニングが重要な理由を理解できたところで、具体的なメリットを見ていきましょう。
ポジショニング戦略を成功させることで、以下のようなメリットが得られます。
1.ユーザーが離れない
2.価格競争を回避できる
3.効果的にブランディングできる
4.集客・売上を安定させることができる
1つずつ解説していきます。
1.ユーザーが離れない
市場における1位は顧客にとって非常に魅力的です。
1度ポジションを確立することができれば、市場に新規で参入してくる見込み客も「この人凄そう」というようにフォローするので、集客は簡単にできます。
そして、市場の中の投資先に迷ったときに「ここの商品を買っておけば安心」といった感じで、指名買いを続けてくれる可能性が高まります。
情報発信者が増え常に比較検討される時代において、比較せれずに選んでもらえる指名買いはユーザーが競合他社に移ってしまうことがありません。
つまり、ユーザーが自社から離れないため、利益もしっかり確保できるのです。
これは超強いですね。
ちょっと例えが悪いのですが、本当に強力さを理解するべきでして。
某ネットビジネス界の重鎮って、商品の質が悪いのですよね。
嘘でもハイエナマーケティングでもなくて、色々なお客さんと関わる中で実際の購入者さんからよく伺います。
僕のような人間がそれをやれば、そもそもリーチできるパイが小さいので、悪い口コミが広がって死にます。ですが、ポジ取りしている方はその事実を知らない新規ユーザーを獲得できるのでダメージが皆無です。
悪い噂を聞くたびに、僕がいつも思ってることでした。
⒉価格競争を回避できる
自社が携わっている市場内で独自のポジションを確立すれば、競合他社との価格競争から脱却することができます。
仮に商品が他より高かったとしても、自社ならではの機能や価値が備わっていれば、顧客から選んでもらえる可能性は高いのです。
逆に独自のポジションを確立させないと、顧客には「類似商品の1つ」でしかないなどと認識されてしまいます。(Why meがない状態)
そうなってしまうと、価格で勝負するしか選択肢がなくなってしまうため、利益を上げるどころか赤字にしかなりません。
⒊効果的にブランディングできる
市場においての1位という肩書きはブランディングの側面で大きな意味を持ちます。
自社だけが提供できる独自の価値を見出し、それをポジショニング戦略で確立すれば、顧客に「あのメーカーの商品だから欲しい」というブランドイメージを持たせることができるのです。
これ芸能人とかをイメージしていただけると良いのですが…
例えば、芸能人は本人自体に価値がある。つまり、ブランドが確立されているのでCMに起用するたびに、『〜さんがオススメする◯◯』みたいな付加価値が常に付くわけです。
つまり、顧客はその商品やサービスというよりもブランド(芸能人)自体に価値を感じます。
しっかりブランディングができていれば、ユーザーはブランドそのものに価値を感じるため、価格が10倍だろうが自社を選んでくれるという訳です。
4.集客・売上が安定する
ここまで解説してきたメリットを踏まえれば、ポジショニング戦略の成功によって自社の集客・売上は安定すると言えます。
買い続けてくれる顧客を一定数獲得できる上価格競争にも巻き込まれず、ブランド自体に価値を見出しているので、商品価格が他社よりも高く設定されていてもしっかり集客できる市場を作ることができます。
それに伴い、売り上げアップも狙えるためより大きな利益へとつながるのです。
以上がポジショニングによる4つのメリットになります。
強力さはご理解頂けたでしょう。もうブランドさえ浸透すれば『勝ち』ということですね(笑)
ポジショニングによるメリットを理解できたところで、さらにイメージしやすいように成功事例を見ていきましょう。
概念やメリットを把握したところで、成功事例を見ていきましょう。
以下の4つのズラしたことによる成功事例をご紹介していきます。
『メソッド』
『ターゲット』
『メリット・ベネフィット』
『その他』
1つずつ解説していきますね。
メソッド
メソッドをズラすことによって、ポジションを確立させてきた成功事例についてです。
ダイエット系の市場を見ていきましょう。
ビリーズブートキャンプは『軍隊式トレーニングでガッツリ運動する』というのが主でしたが、その後に流行ったのは腹筋ベルトでした。
軍隊式からお腹に巻くだけに変わったんです。そして、腹筋ベルトの後には骨盤矯正ダイエットが流行りました。
お腹に巻くだけで痩せるから、骨盤を正しい位置にすることで痩せるに変わったんです。
さらに骨盤矯正ダイエットが流行った後に、炭水化物ダイエットが流行りました。
骨盤矯正で痩せるのではなく、糖質制限によって脂肪をへらすということです。
この変化を見て、何か気づいたことはありませんか?
ダイエット理論としてはめちゃくちゃですよね(笑)ただポジショニングが取れているんです。
ダイエット市場では「メソッド」でポジショニングするケースが多いです。
なので、これを読んでいるあなたは『これまでと違うメゾットを打ち出せないか?』ということを考えてみてください。
メソッドでポジショニングする際は、以下の切り口で考えると良いかもしれません。
時代(伝統的な⇄新しい)
スピード(本質的⇄即効性)
抽象度(抽象的か⇄具体的か)
異常と常識の間
課題の発見→ニーズの創出
ターゲット
■レッドブルー
オーストリアの清涼飲料水メーカーRed Bull GmbHが発売するレッドブルはアスリートや学生ビジネスマンなどをターゲットに、飲むシチュエーションを
具体的に提案することで独自のポジショニングを構築しました。
「仕事や勉強で忙しいとき」「スポーツや遊びに熱中しているとき」など具体的な使用タイミングを消費者にイメージさせることで、爆発的な普及と新たな清涼飲料水のジャンルを生み出しました。
ターゲット×メソッドによるポジショニングの成功事例ですね。
■ヘルシア緑茶
ヘルシア緑茶はもともと後発の商品でした。
他のお茶が市場でポジションを取っていたので厳しいと言われていましたが、それらのお茶は『若者向け』と考えられていたので、ヘルシア緑茶は『肥満に悩む中年男性』をターゲットにしました。
結果、ポジションを取れたんです。
■シーブリーズ
資生堂が展開するボディケア製品シーブリーズは、最初は「20代~30代の海へ行く男性」をターゲットとし、海辺の日光でほてった肌をひんやりさせるという効果を狙っていました。
ですが、海へ行く人が次第に少なくなり、ブランドも高齢化して魅力が低減したために販売数は低迷していました。
そこで、ターゲティング大きくズラし「街にいる女子高生」を新たなターゲットとして選び、汗の臭いを抑えるデオドラント効果に訴求ポイントを設定したのです。
それにより、シーブリーズの売上は低迷期の8倍にもなりました。
■すき家
吉野家のメインのターゲットは「営業活動中のサラリーマン」でした。
一方ですき家は、それまで「大人の男性の食べ物」だった牛丼を女性や子供たちに食べてもらうマーケティングを行い、成功しました。
「家族で仲良く食べる」CMはきっとご存知でしょう。メインターゲットは郊外のファミリーということですね。
従来の常識とはズラしたターゲティングによる勝ち方です。
『ターゲット』をズラしてポジショニングする場合、以下の切り口で考えると良いかもしれません。
悩み(薄毛)
性別(男性⇆女性)
職業(サラリーマン)
難易度(初心者⇆玄人)
年齢(若者⇄中年⇆高齢者)
家族構成(お一人様⇆ファミリー)
メリット・ベネフィット
■AKB48
AKB48は「アイドルなのに会える」という強烈なメリットを提供したことによって、爆発的にファンを拡大していきました。
当時、アイドルといえばテレビの向こう側の存在でしたが、「会えるアイドル」というポジションを取ったことで大ヒットしました。
また、グループアイドルという形態を取り自分の推しを選べるというニーズの多様化に合わせたメリットも提示しました。
■1人カラオケ専門店
「1人で思う存分歌いたい!」という市場のニーズを満たすために、「一人カラオケ専門店」が生まれました。
『1人で気軽に入れて楽しむことができる』というメリットを全面に打ち出したことで、大ヒットしました。
『メリット・ベネフィット』でポジショニングする場合、以下の切り口が参考になるかもしれません。
金額(安価⇆高価)
雰囲気(日常⇆特別)
難易度(易しい⇆専門的)
抽象度(抽象的か⇆具体的か)
サポートの質(薄い⇆手厚い)
商品の範囲(浅く広く⇆狭く深く)
その他の要素
■モーニングショット
『朝専用 缶コーヒー』という時間帯を指定することにより、ポジションを取りました。O(occasion)部分に特化させた商品です。
■うんこ漢字ドリル
子供は勉強が嫌いなので、『日本1楽しい漢字ドリル』という「楽しさ」の付加価値を与えて、問題を解決し成功した事例です。
以上がポジショニング戦略による『成功事例』になります。ここでは実例として、イメージを掴んでもらえたら良いなぁと。
では、次はいよいよ『ポジショニングの作り方』です。
いよいよ、『戦略的ポジショニングの作り方』です。
少し難しく感じるかもですが、成功事例や概念を確認しながら読めば理解しやすいかなぁと思います。
では、早速いきましょう。
⒈他者と差別化できるベネフィット
ポジショニングを設定するためには、自社製品のベネフィットをまず明らかにする必要性があります。
ただありがちなミスとして、〝競合だけ〟を意識してベネフィットを作ること。あくまで顧客からの自社商品の認識なので、競合だけを意識していたら必ず失敗します。
なので、競合との差別化も図りながら顧客の感情が動くような、強いベネフィットを明らかにしましょう。
そしてもう1つありがちなミスとして、一生懸命伝えようとしすぎてベネフィットを並べすぎること。
これはNGで「結局何が良いの?」みたいな感じで、理由は魅力が伝わらないから。
忘れてはいけないのは、競合ブランドと比較して優位に立つためだけではなく、顧客にとって『代替できない存在』になるためのマーケティングだということです。
〝競合との競争に勝つ〟のではなく
〝競争をしないで勝つ〟ことなのです。
少し話がそれちゃいましたが、ベネフィットは競合との差別化も図りながら
顧客の感情が動くような強いベネフィットを明らかにしましょう。
具体的なベネフィットとしては…
機能的ベネフィット:
簡単・安い・早い・軽い・便利など
商品・サービスの機能や性質によって
もたらされるプラス効果のことです。
情緒的ベネフィット:
嬉しい・楽しい・安心・充実など
商品・サービスを利用することで
得られるプラス感情のことです。
自己実現ベネフィット:
自信が持てる・理想を叶えられるなど
商品・サービスによって実現できる
自己表現のかたちです。
⒉USP(独自の強み)を作る
あくまで差別化を図り、他社ではなく自社を顧客に選んでもらう必要があるので、USP(独自の強み)を作ることも効果的です。
ここで『USP』の説明もしちゃいますね。
USPとはUnique Selling Propositionの略で、直訳すれば『独自の販売条件』ですが、分かりやすく言うと『独自の強み』です。
USPを作ると何が良いかと言うと、強く約束することで競合優位を築くことができるんです。
つまり、顧客から見たときに【ライバル<<<自分】という構図を作れるということですね。
上述したように、USPは競合優位を築く手法ですが、単に競合優位だけを考えると失敗するので注意です。そもそも、マーケティングの基本フレームは3C。
自社(Company):自社の理念、製品、設立背景
顧客(Customer):新規顧客、見込み客、既存客
競合(Competitor):同業者、異業種、関連業種
マーケティング戦略を考えるときはまずこの3つに分けて戦略を考えることになるのですが、USPは競合だけを考えて作るものではありません。
3C全てを考えて作るのがUSPであり、3Cのバランスを欠いたUSPは機能しないと思ってください。
中でも重要なのは『どの顧客を対象にするか?』絞り込むことにあります。
僕はよく言うのですが、弱者は捨てて...捨てて...絞って...絞って...と。
こうやって顧客を切り落とすことによって、残った顧客に対して強烈なメッセージ(USP)を作れるようになります。
絞った顧客(ターゲット)が魅力を感じてくれるような、USPを作るようにしましょう。
ちなみにUSPに限らずですけど、基本は顧客目線の施策であって競合だけを意識して行ってしまうと、失敗するので注意が必要です。
少し話がそれちゃいましたが、USPをイメージしやすいようにいくつか例を出しますね。
・稲葉製作所
『100人乗っても大丈夫』
CMを思い出しますね笑
「イナバ物置」は暑い鉄板を用いた堅牢な製品で、物置の上に実際に100人が乗っている映像は一目で製品の丈夫さが伝わります。
ターゲットは長持ちする丈夫な物置を必要としている人でしょうけど、その人たちにとっては【競合<<<稲葉製作所】であると伝えられますね。