アパートオーナーの
破産は増えても、
保証会社は決して
倒産しないのはなぜ?

アパートオーナーの
破産は増えても、
保証会社は決して
倒産しないのはなぜ?
 

破産件数は過去最高に。いま、アパートオーナー受難の時代です。


 あなたはご存じでしょうか?いま、アパート・マンションなど賃貸物件の競売。任意売却数はともに増加傾向にあります。

 これは、現代において、健全なアパート経営がどんなに難しいかを端的にあらわすといえるでしょう。自分の代で経営に行きづまり、資産を手放すオーナーの気持ち。それは、先祖から受け継いだ土地をお持ちの方なら痛いほどわかることでしょう。

 そんな中で、ほとんどのオーナーが心強い味方だと考えているのが「30年家賃保証」「一括借上げ」システムです。その存在を初めて知った時には、誰もが「えっ、空室になっても家賃が保証されるの?しかも30年も!」と驚いたことでしょう。それでは、オーナー受難の時代を迎えた今、空室の家賃を補てんする保証会社はやはり苦境にあるのでしょうか。それが、まったくそうではないのです。「家賃保証」を売り物にする保証会社は全国に星の数ほどありますが、どこかが倒産したという話はほとんど聞きません。

 つまり、オーナーの破産が増え続ける時代にあって、本来はビジネスパートナーであるはずの保証会社ばかりが着実に利益を上げているのです。なぜ、そんなことになるのでしょうか。また、「30年家賃保証」は本当に頼りになるのでしょうか。


 

家賃保証のなかった時代には、破産するオーナーはごく少数でした。

 ここで、少し歴史をひもといてみましょう。アパートオーナー受難の時代は、平成5年の生産緑地法の改正にさかのぼります。これによって市街化区域農地に対する宅地並課税が始まりました。そこで起こったのが、従来の農地を転換しての空前のアパート建設ラッシュでした。「高い税金を払って都会で農地を持つよりも、いっそアパートを建ててしまおう」と考えるオーナーが多かったわけです。これには、当時はまだ「建てれば決まる」が通用した時代だったことも追い風となりました。関東圏、東京においては特に一極集中による人口増加でアパート経営は地方より良い状況でした。

 そして、空室に対する保証サービスが始まったのも同じ頃です。しかし当時、経営が不安定だったのはオーナーよりも保証会社の方で、「土地オーナーにアパートを建てさせるためなら、難あり物件でも保証をつける」という強引な営業手法がアダとなって倒産する保証会社が多くありました。逆に、オーナーが破産したり、アパートが競売に出ることなど当時はほとんどありませんでした。

 しかし、通常の供給戸数の約2倍のアパートが、3〜5年も続けて供給されるというのはやはり異常です。やがて、バブル崩壊後の景気低迷も響いて状況は一変しました。せきを切ったように大量の空室が世の中にあふれ出したのです。すると、その分の家賃をオーナーに補てんしなければならない保証会社は、これまで以上に経営が危うくなってきました。そこで、少しでも入居者を確保して空室を減らすため、保証会社では家賃の大幅値下げをオーナーに要求したのです。これに驚いたのはオーナーです。自分のアパートの家賃が下がる場合があるなどと、保証会社の営業マンからはまったく聞いてなかったのだから無理もありません。
 そこで「こんなに家賃を下げたら、借入金の返済ができないじゃないか!」「最初に聞いていたのと違うじゃないか!」と訴えてみても、「それなら保証契約を打ち切りましょうか」といわれると、自分ではアパートを運営する自信のないオーナーは値下げを認めざるを得なかったのです。そして、借入金の返済に行きづまったオーナーの「悲惨な事例」が全国で見られるようになりました。この時の状況が、現在まで続く「オーナーのために保証会社がある」のではなく「保証会社のためにオーナーがいる」という関係の原型だといえるでしょう。

 これ以降、現在までに、家賃保証のシステムを「自社だけは絶対に利益が出るシステム」として磨き上げてきた保証会社の倒産はなくなったのです。つまり、保証会社は自分たちの「倒産」というリスクをオーナー側に転嫁することに成功したのです。

 

30年家賃保証とは、オーナーの無知を前提にしたシステムなのです。

 アパートオーナーが危機にあるのに、保証会社だけが利益を上げる。そんな状況を招いたのは、当然、オーナーの側にも原因があります。例えば現在でも「相続税対策の借金のため」「専門の業者におまかせでいいから」「店舗経営より簡単そうだから」などの理由だけでアパート経営を始めるオーナーはあとを絶ちません。

 しかし、考えてもみてください。こうした安易ともいえる考え方で始めたビジネスが、この現代社会で通用するでしょうか。確かに、都市部などで住宅の絶対数が不足していた高度成長期にはアパートも圧倒的な「貸し手市場」で、建てれば決まるという状況でした。それが現在では、先に述べた着工数と世帯数のバランスから見ても完全な「借り手市場」に変わっているのです。もう、「殿様商売」「素人商法」は通用しないのです。
 そして、そんな現状認識を持たないオーナーにこそ魅力的に見えるのが「30年家賃保証」なのです。それは、保証会社の営業マンが「何から何までおまかせください」「ほうっておいても利益になりますよ」と、わざわざ誤解させるようなセールストークをすることにも責任があるでしょう。「アパート経営を始めたいとご家族を説得する時に、長期保証がつけてあると便利ですよ」などという、まったく筋違いのトークに乗せられて30年保証を契約するオーナーも決して珍しくないのです。 
 いわば、オーナーの無知と不勉強を前提として、保証会社が自分たちの経営安定を保証するためのシステムが「30年家賃保証」なのです。もちろん、保証がなければ安心できないというオーナーの気持ちもわかるのですが、何も知らずに契約してしまうと思わぬ落とし穴があるのも事実です。そこで次項では、30年保証の問題点を具体的に説明していきます。

破産件数は過去最高に。いま、アパートオーナー受難の時代です。


 あなたはご存じでしょうか?いま、アパート・マンションなど賃貸物件の競売。任意売却数はともに増加傾向にあります。

 これは、現代において、健全なアパート経営がどんなに難しいかを端的にあらわすといえるでしょう。自分の代で経営に行きづまり、資産を手放すオーナーの気持ち。それは、先祖から受け継いだ土地をお持ちの方なら痛いほどわかることでしょう。

 そんな中で、ほとんどのオーナーが心強い味方だと考えているのが「30年家賃保証」「一括借上げ」システムです。その存在を初めて知った時には、誰もが「えっ、空室になっても家賃が保証されるの?しかも30年も!」と驚いたことでしょう。それでは、オーナー受難の時代を迎えた今、空室の家賃を補てんする保証会社はやはり苦境にあるのでしょうか。それが、まったくそうではないのです。「家賃保証」を売り物にする保証会社は全国に星の数ほどありますが、どこかが倒産したという話はほとんど聞きません。

 つまり、オーナーの破産が増え続ける時代にあって、本来はビジネスパートナーであるはずの保証会社ばかりが着実に利益を上げているのです。なぜ、そんなことになるのでしょうか。また、「30年家賃保証」は本当に頼りになるのでしょうか。



 

家賃保証のなかった時代には、破産するオーナーはごく少数でした。


 ここで、少し歴史をひもといてみましょう。アパートオーナー受難の時代は、平成5年の生産緑地法の改正にさかのぼります。これによって市街化区域農地に対する宅地並課税が始まりました。そこで起こったのが、従来の農地を転換しての空前のアパート建設ラッシュでした。「高い税金を払って都会で農地を持つよりも、いっそアパートを建ててしまおう」と考えるオーナーが多かったわけです。これには、当時はまだ「建てれば決まる」が通用した時代だったことも追い風となりました。関東圏、東京においては特に一極集中による人口増加でアパート経営は地方より良い状況でした。

 そして、空室に対する保証サービスが始まったのも同じ頃です。しかし当時、経営が不安定だったのはオーナーよりも保証会社の方で、「土地オーナーにアパートを建てさせるためなら、難あり物件でも保証をつける」という強引な営業手法がアダとなって倒産する保証会社が多くありました。逆に、オーナーが破産したり、アパートが競売に出ることなど当時はほとんどありませんでした。

 しかし、通常の供給戸数の約2倍のアパートが、3〜5年も続けて供給されるというのはやはり異常です。やがて、バブル崩壊後の景気低迷も響いて状況は一変しました。せきを切ったように大量の空室が世の中にあふれ出したのです。すると、その分の家賃をオーナーに補てんしなければならない保証会社は、これまで以上に経営が危うくなってきました。そこで、少しでも入居者を確保して空室を減らすため、保証会社では家賃の大幅値下げをオーナーに要求したのです。これに驚いたのはオーナーです。自分のアパートの家賃が下がる場合があるなどと、保証会社の営業マンからはまったく聞いてなかったのだから無理もありません。
 そこで「こんなに家賃を下げたら、借入金の返済ができないじゃないか!」「最初に聞いていたのと違うじゃないか!」と訴えてみても、「それなら保証契約を打ち切りましょうか」といわれると、自分ではアパートを運営する自信のないオーナーは値下げを認めざるを得なかったのです。そして、借入金の返済に行きづまったオーナーの「悲惨な事例」が全国で見られるようになりました。この時の状況が、現在まで続く「オーナーのために保証会社がある」のではなく「保証会社のためにオーナーがいる」という関係の原型だといえるでしょう。

 これ以降、現在までに、家賃保証のシステムを「自社だけは絶対に利益が出るシステム」として磨き上げてきた保証会社の倒産はなくなったのです。つまり、保証会社は自分たちの「倒産」というリスクをオーナー側に転嫁することに成功したのです。



 

30年家賃保証とは、オーナーの無知を前提にしたシステムなのです。


 アパートオーナーが危機にあるのに、保証会社だけが利益を上げる。そんな状況を招いたのは、当然、オーナーの側にも原因があります。例えば現在でも「相続税対策の借金のため」「専門の業者におまかせでいいから」「店舗経営より簡単そうだから」などの理由だけでアパート経営を始めるオーナーはあとを絶ちません。

 しかし、考えてもみてください。こうした安易ともいえる考え方で始めたビジネスが、この現代社会で通用するでしょうか。確かに、都市部などで住宅の絶対数が不足していた高度成長期にはアパートも圧倒的な「貸し手市場」で、建てれば決まるという状況でした。それが現在では、先に述べた着工数と世帯数のバランスから見ても完全な「借り手市場」に変わっているのです。もう、「殿様商売」「素人商法」は通用しないのです。
 そして、そんな現状認識を持たないオーナーにこそ魅力的に見えるのが「30年家賃保証」なのです。それは、保証会社の営業マンが「何から何までおまかせください」「ほうっておいても利益になりますよ」と、わざわざ誤解させるようなセールストークをすることにも責任があるでしょう。「アパート経営を始めたいとご家族を説得する時に、長期保証がつけてあると便利ですよ」などという、まったく筋違いのトークに乗せられて30年保証を契約するオーナーも決して珍しくないのです。 
 いわば、オーナーの無知と不勉強を前提として、保証会社が自分たちの経営安定を保証するためのシステムが「30年家賃保証」なのです。もちろん、保証がなければ安心できないというオーナーの気持ちもわかるのですが、何も知らずに契約してしまうと思わぬ落とし穴があるのも事実です。そこで次項では、30年保証の問題点を具体的に説明していきます。