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Atelier Floresta

IKUKO

ブラジルの奴隷 乳母は別格なんです 

2020/08/05

コーヒー農園で労働する奴隷たち

写真上:緊張気味の乳母の表情とは対照的に情愛に満ち安堵した表情の白人の子供。
絵画下:画題「コーヒー」作者はブラジルの代表的画家 カンディド・ボルテンナーリの作品
    国立美術館蔵(リオデジャネイロ)
河出書房新社『ブラジルの歴史』金七紀男 著 より抜粋

当時のブラジルにおけるコーヒー農園や砂糖きび農園の労働力は奴隷によって支えられていた。
過酷な労働を強いられ、脱走を試みた者にはむち打ちの公開処刑が行われた。このような扱いは、アメリカの綿花農園で労働していた黒人奴隷と同様であった。

しかし、その中でも乳母だけは特別扱いであり、乳母として育てた子供とのその関係性は、実母以上であったようです。
他の奴隷たちの粗末な衣服とは全くことなり、良い身なりと装飾品まで付けている。
堂々としていて良い筈だとは思えるが、乳母の表情は、どこか戸惑いと緊張感を漂わせているように見える。それとは対照的に、白人の子供は、慣れ親しんだ乳母に情愛たっぷりに寄りかかっている。
このたった一枚の写真には、皮膚の色を超えたところにある、母と子の原形の情愛が見てとれる。

やがてブラジルも奴隷解放運動が盛んになり、1888年には奴隷制が廃止された。
とはいえ、解放された奴隷たちは、何もなく放り出されたに等しく、都市の一角にファベーラと呼ばれる貧民街を形成することになり、奴隷から移民による労働力へと変わっていくことになった。


 
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