My Favorites
Atelier Floresta

IKUKO

大統領に表彰された日本人社長

2021/12/31

地球を救う「三方よし」経営~「すしざんまい」木村清社長

1.ソマリア沖の海賊問題、年間ゼロ件に


寿司チェーン店「すしざんまい」が、
ソマリア沖の海賊問題解決に一役買った、
というニュースが数年前に流れました。

「海賊事案発生状況」でデータを見ると、
最も多かった2009年から2011年には
200件を優に超えており、世界全体の400件超の
半分を占めていました。

それが2012年は75件、13年は15件と急減し、
2019年、20年とゼロ件が続いています。
[海賊対処レポート]

ソマリア沖はインド洋とスエズ運河を結ぶ
重要な航路で、世界のコンテナ貨物の約16%、
年間1600隻もの輸送船が通過します。

かつては年間200件以上もの海賊事案が
あったということは、通航する輸送船の
10隻に1隻以上が影響を受けていたということで、
世界全体にとっても大きな問題でした。

これがほとんど根絶できたということは、
海上自衛隊を含む各国の海賊対処行動が
大きな力となっていると思いますが、
2年もゼロ件が続いているということは、
海賊の発生原因そのものが根絶されたからとも
言えるのではないでしょうか。

そこに日本の「すしざんまい」が貢献したとすれば、
国際社会に大きな示唆を与えた成功事例になります。



■2.現地の人々が海賊などしなくても
良いような経済を作る



「すしざんまい」が何をしたのか、同社の木村清社長の
『マグロ大王 木村清 ダメだと思った時が夜明け前』
では、かなり控えめな記述に留まっていますが、
そこから読み取ってみると、次のような内容のようです。

もともとソマリア沖に面したジブチ共和国は、
1990年代に内戦に突入し、さらに2004年に起きた
スマトラ沖地震による津波で壊滅的な打撃を受けました。

困窮した住民が2005年頃から海賊をするようになり、
ソマリア周辺海域が危険な地域になってしまいました。

日本の海上自衛隊が、米、仏、独などととともに、
艦艇や哨戒機を出して、警備行動を始めました。

2011年頃、木村社長のもとにジブチから要請があり、
現地に行って状況を把握しました。

海賊を取り締まる行動も必要ですが、
現地の人々が海賊などしなくても良いような
経済を作るのは、民間の役割です。

そう考えて、木村社長は
具体的に何ができるのか考えてみました。

そもそもソマリア沖は、キハダマグロ、バチマグロ
その他の世界的な好漁場でした。

しかし、現地で消費される量は限られていますし、
食べ方もよくわかっていません。

魚の売り場所がないから、現地の人々は
「獲ってもしようがない」と言います。

木村社長が、実際に日本の釣り方を試してみたら、
確かによく釣れます。

現地住民が漁業を通して仕事と収入を確保できれば、
本人たちも危険な海賊など、やらなくて済みます。

政府も、彼らが漁業に従事することを望んでいました。

ならば、一緒にやりましょうと、
木村社長は政府と漁業分野の合意書を交わしました。

まず漁船がないということで、
日本から中古漁船を持ち込みました。

そして漁業指導をしました。

3年をかけて準備をし、獲れた魚を
「すしざんまい」が買い上げます。

こうして3年ほど準備を進め、
まだ採算がとれる水準ではありませんが、
将来的には利益を出せる目算は立つところまできました。

2013年にはジブチのイスマイル・オーマル・ゲレ大統領が
来日された際に木村社長を引見され、ジブチ政府から、
これまでの活動を認めて勲章まで授与されました。

伊勢雅臣<ルネサンス編集部>メルマガ より抜粋
 
このサイトはで作っています。