100万人の雇用喪失 by 日本政府
2022/03/20
EV化の波
突き付けられた76年目の挑戦状
突き付けられた76年目の挑戦状
世界196か国中、自国において、エンジンを設計から製造できる国は、日本、アメリカ、ドイツなど、わずかな国しかありません。
中でも、トヨタ、日産、ホンダ、マツダをはじめ、一国の中に10社近い自動車メーカーが存在している国は、日本をおいてほかには無く、着実にジャパンブランドを築いてきました。
自動車はもとより、80年前には小型戦闘機 “ゼロ戦” をつくる技術さえ持っていました。しかし、戦後アメリカは日本に対し、自動車の製造は許可したものの、飛行機を製造することを許可しませんでした。戦後の自動車産業は道路整備の国策とも相まって発展を遂げ、今や550万人の雇用を抱え、70兆円規模の総合産業にまで育ち、日本経済の根幹をなす重要な位置を占めるに至ったのです。
そして戦後76年目の今年、
菅前首相は施政方針演説で、
2050年 カーボンニュートラル宣言
2030年代半ばにガソリン車の新車販売を廃止
世界の流れに押されるように、政府の方針を打ち出しました。
自動車業界にとっては挑戦状とでもいえる、この政府の方針に対し、
自動車工業会会長、トヨタのCEO豊田章男氏は、
「敵は炭素であり内燃機関ではない」とし、次のような見解を示しました。
・国内の乗用車400万台を全てEV化した場合、
原発ならプラス10基、火力発電なら20基必要
・充電インフラのコストが約14兆から37兆円は必要
・EV化で失われる雇用
・世界一の自動車業界のビジネスモデルが崩壊
日本の自動車業界に対して厳しい注文が出される一方で、
国はテスラの車を購入すると60万円の補助、さらに東京都からも60万円の補助を出すなど、国民の税金を使って外国メーカーには手厚い補助をしているのです。
そもそもテスラを購入する富裕層に補助金を出す必要があるかどうかという問題はさておき、
まず日本のエネルギー事情についていうと、「作る」「運ぶ」「使う」という三つの工程があります。その流れの中で発生するCO2を2050年までにゼロにしようというのが、現在のカーボンニュートラルの目標です。
自動車が位置するのは「使う」であり、たとえガソリンを使わないEVに置き換えたとしても、EVで使用する蓄電池の生産には多くの電力を必要とし、その電力が火力発電由来の場合、生産時にかなりのCO2を排出します。日本は火力発電の割合が75%と非常に高いため、自動車の電動化だけではCO2の排出削減にはつながらないのです。
トヨタはEV、ハイブリッド、FCVなども手掛けるフルラインナップメーカーであり、長年にわたって技術やノウハウを蓄積しています。
自動車業界を牽引するトヨタの取り組みは、日本の産業の命運がかかっていると言ってもよいでしょう。
まさに『国家百年の計』
トヨタはもともと愛知県の織機メーカーから出発し、決して最初から自動車メーカーであったわけではありません。
創業者、豊田佐吉の先見の明を現在にまで引き継ぐべく、豊田章男氏の手腕に是非期待したいところです。
I.F
中でも、トヨタ、日産、ホンダ、マツダをはじめ、一国の中に10社近い自動車メーカーが存在している国は、日本をおいてほかには無く、着実にジャパンブランドを築いてきました。
自動車はもとより、80年前には小型戦闘機 “ゼロ戦” をつくる技術さえ持っていました。しかし、戦後アメリカは日本に対し、自動車の製造は許可したものの、飛行機を製造することを許可しませんでした。戦後の自動車産業は道路整備の国策とも相まって発展を遂げ、今や550万人の雇用を抱え、70兆円規模の総合産業にまで育ち、日本経済の根幹をなす重要な位置を占めるに至ったのです。
そして戦後76年目の今年、
菅前首相は施政方針演説で、
2050年 カーボンニュートラル宣言
2030年代半ばにガソリン車の新車販売を廃止
世界の流れに押されるように、政府の方針を打ち出しました。
自動車業界にとっては挑戦状とでもいえる、この政府の方針に対し、
自動車工業会会長、トヨタのCEO豊田章男氏は、
「敵は炭素であり内燃機関ではない」とし、次のような見解を示しました。
・国内の乗用車400万台を全てEV化した場合、
原発ならプラス10基、火力発電なら20基必要
・充電インフラのコストが約14兆から37兆円は必要
・EV化で失われる雇用
・世界一の自動車業界のビジネスモデルが崩壊
日本の自動車業界に対して厳しい注文が出される一方で、
国はテスラの車を購入すると60万円の補助、さらに東京都からも60万円の補助を出すなど、国民の税金を使って外国メーカーには手厚い補助をしているのです。
そもそもテスラを購入する富裕層に補助金を出す必要があるかどうかという問題はさておき、
まず日本のエネルギー事情についていうと、「作る」「運ぶ」「使う」という三つの工程があります。その流れの中で発生するCO2を2050年までにゼロにしようというのが、現在のカーボンニュートラルの目標です。
自動車が位置するのは「使う」であり、たとえガソリンを使わないEVに置き換えたとしても、EVで使用する蓄電池の生産には多くの電力を必要とし、その電力が火力発電由来の場合、生産時にかなりのCO2を排出します。日本は火力発電の割合が75%と非常に高いため、自動車の電動化だけではCO2の排出削減にはつながらないのです。
トヨタはEV、ハイブリッド、FCVなども手掛けるフルラインナップメーカーであり、長年にわたって技術やノウハウを蓄積しています。
自動車業界を牽引するトヨタの取り組みは、日本の産業の命運がかかっていると言ってもよいでしょう。
まさに『国家百年の計』
トヨタはもともと愛知県の織機メーカーから出発し、決して最初から自動車メーカーであったわけではありません。
創業者、豊田佐吉の先見の明を現在にまで引き継ぐべく、豊田章男氏の手腕に是非期待したいところです。
I.F