野村克也「超二流」

2020/06/07

おすすめ名著
天才に勝つ一芸の極め方
超二流

才能を最大化する“凡人”の「洞察力」

「ぼやき」で知られる野球評論家の野村克也氏の著書。本人の経歴をご存じの方は、著者が苦労人であることも含めて、タイトルに共感する人も多いのではないだろうか。
 私は、小学校・中学校と野球をしていたこともあり、ヤクルトスワローズのキャンプ地が宮崎で、少年野球をしていたころに、素振りを指導してもらった経験もあり、親しみのある球団の一つがヤクルトだ。
 資金力が特別あるわけでもないヤクルトが野村監督時代に3度の日本一に輝いたのには、選手の光る点を見出す洞察力があった。その得意な分野をしっかり磨かせることで一流選手に引けをとらない超二流の選手を多く輩出してきた。
 本書では、スカウトした選手の特徴やスカウトの起用方法などを交えながら、選手の一芸を育てることの重要性を示唆する。「一流の脇役になれ」「チームに不可欠な超二流になれ」など、野球哲学が凝縮した一冊だ。
 プロ野球の世界では、一位指名を受けて注目された選手が数年後には消えているということも少なくない。それは、プロという世界で結果を出し続けるためには、満足や妥協ではなく、絶えず成長することが求められる。ビジネスの世界では、「選択と集中」という言葉をよく耳にするが、まさに、「強み」を磨くことで長く結果を残すためのヒントがちりばめられている。野球ファンだけでなく、ビジネスの世界で結果を出したいと思っている方に一読をおススメしたい。

著者:野村克也
出版社:ポプラ新書
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