おすすめの本(1)

2020/06/08

おすすめ名著
つるかめ助産院

物語は夫が失踪し傷心のまりあが、
かつて二人で行った南の小さな島へ夫探しに行ったところから始まる。    
そこで会ったのが「つるかめ助産院」の院長鶴田亀子。 一緒に昼食をと誘われ訪ねた助産院で、予想外の妊娠を告げられる。                    

捨て子→乳児院→施設→里子
と家族愛を知らずに育ったまりあは戸惑うが、
助産院で働くベトナム人のパクチー嬢、老婆のエミリー、旅人のサミー、漁師の長老など
島の個性豊かな仲間と美しい海や自然に囲まれ
少しずつ孤独だった過去と向き合い、立ち直っていく。

妊娠、出産を通していろいろなことを学び
自分の見たことのない本当の母を受け入れ、馴染めなかった里親の気持ちを知る。

人はみんな過去に辛い思い出を持っているもの。
でも、それにとらわれずに生きることの大切さを痛感する。

妊娠、出産という一大行事は、自分を成長させてくれる。
今まで子どもの立場でしか考えられなかったことが、
親の立場で考えられる。

女性はもちろん男性だって、かなり多くのことを学ぶと思う。

でも、だんだん妊娠・出産の頃の思いを人は忘れてしまうのではないか?
あれもこれもと子どもにたくさんのことを求めていないだろうか?
今の自分を見つめ直す良い機会かもしれない。

まだ子どもがいない人は、
自分の両親がどんな思いを持ってこの世に送り出してくれたのか
考えてみるのも良いかもしれない。


著者:小川 糸
出版社:集英社

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