通販のいまとむかし(3)

2021/10/10

あの会社が大きくなった秘訣

テスト、テスト、またテスト

私が師匠とあおいでいるのは、ファンケルが会社となった頃、
その当初のメンバーとして活躍された、Mr.Kという方です。
引退後とはいえ、むかし在籍した会社のことを話すことは憚られる
とのことで、詳しい内容というよりは
昔話ということで食事をしながら
会社がどうやって大きくなっていったか、
楽しくお話していただきました。

前回ビラ配りのお話をしましたが、
そのビラを作るにも予算がかかるし、
新聞の折り込みにするにも費用がかかります。
そこで考えたのが、まず何種類かのビラを自分たちで作成して、
みずから区切られた範囲に配布することでした。

ただ、配布するだけではなく、直で手渡しできた場合には、
「今度、こんな化粧品を販売することになりました。」と
一声かけてみるそうです。
それによって生の反応を社員が聞いてくることに
なります。

その後、それぞれのチラシの反応をみて、
地域を変えてみて配布する。

例えば当初はA地区にA'のチラシをまいて、
B地区にB'をまく。
その後 A→B' B→A' で様子を見て、
明らかにどちらの地区でもB'が良かった場合、
今度はC'というチラシと比較して同じような
行動をする。

またA'の一部とB'を組み合わせたものを作ってみたら
どうか?

こういったテストを根気よく、
何度かおこなった結果、
一番反応の良かったチラシを新聞折り込みなど
広い範囲に配って多くの反応を勝ち取ったそうです。


代理店任せにせず、
自分たちが最後まで足で勝ち取った反応なので
思い入れもあったでしょうし、
他社でそこまでやる会社も少なかったようで、
お客様の数はどんどん増えていったようです。

「お客様に聞く」
直接でなくとも、チラシに対する反応からも
お客様が好む内容を探しあてることができた
とのことでした。

いまはどうでしょうか?

設定方法がわかれば自分でABテストを繰り返すことは
そんなに難しいことではありません。
また代わりにやってくれる業者さんもいらっしゃいます。
広告も、ライターさんやデザイナーさんを外注でき、
すぐに内容を変更することも可能です。

手段が簡単になった分だけ、スピードが上がり、
同じような広告が増えれば、
反応は前ほど上がらないのかもしれません。

しかし、テストをすることで隠れていたお客様の本音がわかれば、
その分ライバルに差をつけることもできます。
より深くお客様の悩みを探れるよう、
テストを根気よく続けることで、
隠れていた需要が見つかり
また新しい製品の開発に役立つかもしれません。

ネットの発達で手段は大きく変わっていますが、
むかしもいまもテストをしてみて、
最後の結論は「お客様に聞いてみる」
ということは、今後も変わっていかないでしょう。