B-Corp という世界の認証団体を知っていますか?
ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、カスタマーの
200の分野で80点以上の企業に対して認証される
昨今、企業のあり方として、CSR(企業の社会的責任)、CSV(共有価値の創造)、近江商人の「三方良し」などが広まっています。世界を見渡しても100年企業や老舗企業が特に多い日本において、環境や社会のための「良い会社」という考え方は新しいものではありません。
しかし、「良い会社」の世界標準であり、今では世界60カ国、2,600社以上にも及ぶB Corporation (略してB Corp)について、日本での認知度はほぼゼロです。
一方アジアでは、ここ最近、徐々に認証企業が増えてきており、その名が主要な国際会議で取り上げられています。
例えば、アジアで年々影響力が増すネットワークの一つAsia Venture Philanthropy Network (AVPN)の今年の年次カンファレンスは、シンガポールで行われましたが、B Corpに特化したセッションが設けられました。更に、今年Asia Social Innovation Conferenceという集まりの第一回開催が11月にバリ島で行われ、そのイベントでもB Corpを大体的に取り扱っていました。
そもそもB Corpとは
簡単に言うと、「公益」の会社に与えられる認証です。
農業でいうオーガニックやフェアトレード認証、建造物でいうLEED認証と似たものですが、B Corpの特徴は、業界を問わず全ての企業が認証の権利を持つ制度ということです。「B」は「Benefit(利益)」を意味しており、従業員や顧客といった全てのステークホルダーに対する包括的な利益を指しています。
そのB Corpは、米国ペンシルバニア州の非営利団体「B Lab」により2006年に発足しました。環境・社会に配慮した事業を行っており、透明性や説明責任などB Labの掲げる基準を満たすことが認証条件となります。具体的に認証を得るには、五つの分野(ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、カスタマー)から構成される200点満点の認証試験において80点を獲得することが条件です。制度が開始してから10年強の期間に、厳しい基準を満たした企業は世界で2,600社以上に広がりました。
日本では2022年10月現在、15社
日本企業での認証取得企業(15社)
表内で最高得点をたたき出した(株)CFCLについて記述する
※Clothing For Contemporary Life(現代生活のための衣服)の頭文字です。
【Procurement Policy】
社外のパートナーから、必要なプロダクト・サービスの提供を受ける場合は、以下の点の確認を必須とします。調達実施までに確認ができない場合、その理由を明確にし、短期・中期・長期での期日を設けて、実現までのロードマップを描き、達成までの進捗をトラッキングしていきます。
1. 地球環境負荷低減関連の認証取得
2. 環境負荷低減に向けた定量的指標の有無
3. 社会貢献関連の認証取得
4. 社会貢献に向けた定量的指標の有無
5. モラル・エシカルな経営現場の実証
6. 生産拠点が日本であること
7. 実施にあたっては、SDGs performance guidelineを活用すること
「地域社会との共生」
「地産地消」
「サプライチェーンの透明性」
実践のためのフレームワーク:
私たちは、全体ポリシーを確立していく上で、ステークホルダーであるサプライヤー各社へのベネフィットとその成長が、CFCLの成長になくてはならないものとして維持向上し続けることを目的に、調達において以下を遵守します。
「主軸となる商品」を生産・販売する上で、自社が負担するそれら全費用(*)の『50%以上』を、以下1、2のいずれかに該当するサプライヤーからの「モノ」、「サービス」の調達費用とします。
(*)給与、オフィス家賃、水道光熱費、税金を除く
1. サプライヤーは、私たちの主要な活動拠点から地理的におよそ80km圏内で活動しており、かつ独立した地元の企業 (**)である。
2. サプライヤーは、私たちの「主軸となる商品」が使用される地理的な場所からおよそ80km圏内で活動しており、かつ独立した地元の企業 (**)である。
(** ) 国外企業から資本的に独立した企業であること
このようにHPには記載されている
厳しい項目が多いが、結果(株)CFCL
この企業はアパレル企業だが、業務のプロセス別に二酸化炭素排出量をHPで公開している
(下図参照)
(株)CFCLがしている事(評価されている事)
日本における温室効果ガス排出の「実質ゼロ」達成目標時期は、世界先進各国と同様に2050年です。日本は、2030年までに中間目標として2013年度よりも排出量を46%削減する必要があります。
これは、我々の生活のいろいろな消費行動や、企業のいろいろな生産活動の細かい部分までを、根本から考え直さないと達成することが難しい目標です。
※ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)とは、ある製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)又はその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法である
CFCLではこのような数値を全体商品の38%に相当する商品群で排出二酸化炭素を測定している(今後はこの割合が増える)
プロセスは
1)素材はペットボトルの回収品を使用
2)ここでの再エネ率の向上が今後の課題(サプライヤーの二酸化炭素排出もモニタリング)
3)ニッティング工場各社での再生可能エネルギーへのシフトを促進する
4)ニッティング設備などの省エネ設計を促進する
5)原料を更に環境負荷低減型へシフトする
6)原料工場各社での再生可能エネルギーへのシフトを促進する
7)廃棄を回避する
これらの経営方針と活動がB-Corpに評価されたのだろう