再びびっくりの読書体験──おすすめ名著をご紹介

2020/06/09

おすすめ名著③
『最後の将軍』

初心者におすすめ、司馬遼太郎の世界

 
 司馬遼太郎と言えば、長編小説で有名だが、例えば『坂の上の雲』など興味があっても、最後まで読み切れるかという分厚さ。
 ところが徳川幕府15代将軍徳川慶喜の生涯を描いた本書は、文庫本1冊という、司馬遼太郎作品の中では、短編とも言える異色の存在だ。なお、本人によればそれでも読み切りで寄稿するつもりが、本1冊になってしまったとのことだ。司馬遼太郎の表現力の大きさを物語る作品でもある。
 さて、タイトル通り徳川慶喜の生涯を描いた本書であるが、歴史小説である以上に時代小説の面白みを感じさせる。我々が歴史の授業でならった「安政の大獄」や「大政奉還」、「鳥羽伏見の戦い」などが、歴史の一コマを超えて、熱い物語として脳裏に飛び込んでくる。なるほど、読み切りの寄稿ではここまで書けなかっただろうと思う。もし徳川慶喜が30歳過ぎで、歴史の表舞台から消えることなく、50歳を過ぎるまで活躍していたら、本書もかなりの大作になっただろう。
 徳川幕府側からの視点ではあるが、幕末、明治維新の複雑な流れを大まかに掴む上でもおすすめの1冊。もちろん、政治家、軍人、人間としての徳川慶喜の魅力も余すことなく伝えている。

著者:司馬遼太郎
出版社:文春文庫
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