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基本の調理法
揚げる
煮る
焼く・炒める
蒸す
揚げる
180度前後の、たっぷりの油の中で食材を加熱する調理法を「揚げる」と言います。
高温、短時間で食材の中まで加熱できるので、栄養の損失も少なく食材の味や形などが保たれやすいのが特徴です。
揚げ物の基本テクニック
①食材の下処理を行う
揚げ物をする際には、食材の下処理が重要です。
肉や茄子の天ぷらなど、大きいものを揚げる時は、火通りをよくするため大きさを均一にしたり、切り込みを入れる。
しし唐やとうもろこしなどは破裂による油はねを防ぐため切り込みや、フォークで傷をつけたりする。
海老など、水分を多く含むものは水気をしっかりとる。
②揚げる順番を意識する
動物性の食材は揚げると脂肪が溶けだし、油が汚れたり臭いにおいが付きやすいので、「野菜⇒肉⇒魚介」の順に揚げていくのが原則です。また、パン粉や小麦粉が付いた素材は衣が落ちて油が汚れやすいので、素揚げする食材の後に揚げるのが良い。油の劣化を防ぐため、揚げかすをこまめに取りましょう。
③油の温度を維持する
油の温度を維持して、カラリと揚げるためには、揚げ油の量が重要です。食材全体がつからないと加熱にムラができるので、食材の厚みの倍以上であることが理想です。また、揚げ油に食材をたくさん入れてしまうと、油の温度が一気に下がるので、一度に揚げる食材の量は、揚げ油の表面積の1/2が理想です。
③油をしっかり切る
油は温度が高い時は粘土が少ないので、油切れが良いです。
食材を油から取り出すときは、しっかりと油を切りましょう。
揚がった物は重ねずに、網付きバットに立てかけるように並べてしっかり油を切ってから盛り付けましょう。
揚げ油の温度の見極め
揚げる調理では、食材によって適度な温度と適度な加熱時間が重要です。
温度計で正確に測るのも良いですが、菜箸など、その場にあるもので揚げ油の温度を見極める方法を知っておきましょう。
160℃(低温)
用途:根菜などの火が通りにくいものをじっくり揚げる時
見極め:乾いた菜箸を油に入れると、一呼吸おいてからゆっくり気泡が浮き上がる
170℃(中温)
用途:唐揚げやとんかつなどを揚げる時
見極め:乾いた菜箸を油に入れると、箸先から気泡がゆっくり浮き上がる
180℃(高温)
用途:薄く処理した魚や、中に火が通ってるコロッケなどを手早く揚げる時
見極め:乾いた菜箸を油に入れると、すぐに箸先からたくさんの気泡が浮き上がる
揚げ上がりの見極め
「揚げる」とは、食材の中の水分と油を交換していく作業が行われています。
揚げ油の中に食材を入れると、食材から水分が抜けて、入れ替わる様に油が入り込みます。
ジューっと大きな音がして泡が出るのは、水分と油の交換作業が行われている証拠です。
この音と、泡の出方が少なくなってきたら、揚げ上がりの目安となります。
また、菜箸で持ち上げたときに、食材が震えるよう感触がすることも、揚げ上がりの目安です。
油の種類について
オメガ3系
オメガ3系には、アマニ油やえごま油などの必須脂肪酸のα‐リノレン酸や、魚類に含まれているEPAやDHAなどがある。
健康に良いとされ、血中の中性脂肪の減少に有効であり、心筋梗塞、血栓症などの生活習慣病の予防として効果的。
オメガ6系
日本人が摂取するオメガ6系のほとんどは、必須脂肪酸のリノール酸である。大豆油、コーン油などの種子油に多く含まれる。血中コレステロールを下げる効果が期待できるものの、パンや、カップ麺、ファーストフードなど、オメガ6系のサラダ油が使用されているため、過剰摂取することでアレルギーの炎症を起こす可能性があるため摂りすぎに注意が必要。
オメガ9系
オリーブオイルやひまわり油、米油などのオレイン酸である。善玉コレステロールを下げずに、悪玉コレステロールを減らす働きがある。ポリフェノールや、ビタミンEが豊富で動脈硬化の予防に役立ちます。
※サラダ油の代わりに米油を使うことが望ましいです。
トランス脂肪酸
オメガ系の不飽和脂肪酸は健康に欠かせない油ですが、トランス脂肪酸は別です、マーガリンやショートニングなどは摂りすぎると心臓病のリスクが高まります。とは言え、バターやラードなどは料理にコクを出し、エネルギー源としては有効であるため、むやみに避けるのではなく特性を抑えてバランスよく取り入れましょう。トランス酸は1日2gまでが推奨されています。
揚げ油の保存と処理について
使い終わったらろ過して、不透明の容器で保存します。
空気に長く触れていたり、揚げかすがいつまでも残っていると酸化しやすいので注意しましょう。
2回目以降の使用時は、新しいものを継ぎ足して使用すると良いでしょう。
煮る
食材にだし汁、調味料などの水分を加えて加熱する調理法を「煮る」と言います。
水を媒体にして加熱するため、常に100℃付近の温度が保たれ焦がすこなく、硬い食材でも中心まで十分に加熱できます。
煮物の基本テクニック
①切り方、面取り、隠し包丁
素材に均等に火を通すため、大きさをそろえて切ることが重要です。
異なる素材を同時に煮るには、素材の火の通りの良し悪しを見極め、火通りの早い食材は大きめに、火通りの悪い食材は小さめに切っておくなどの配慮が必要です。
「面取り」とは、角切り野菜の角をそぎ落とすことによって、加熱中に食材がぶつかり合い煮崩れを防ぎます。
「隠し包丁」とは、素材の持ち味を生かすためにある程度の大きさを残して煮込みたいときに、短時間で味の浸み込みを良くします。
②アク抜き、臭み抜きをする
アクとは、食材に含まれる苦みやえぐみ、渋みのことです。
アクや臭みを抜く方法は、「水にさらす」「下茹でする」「塩を振る」などがあり、食材により異なります。
臭みの強いブリやサバは、熱湯にくぐらせる「霜降り」を行います。
③落し蓋をする
落し蓋とは、食材を煮る時に直接食材に触れるように乗せる蓋のことで、煮ている食材の動きを抑えて煮崩れを防止したり、煮汁をまんべんなくいきわたらせ、均等な味付けにする効果があります。
③鍋止めをする
食材が煮あがった後に蓋をして火を止めて冷めるまでそのまま置くことを「鍋止め」と言います。
味は温度がゆっくり下がっていく段階で素材の中心部まで浸み込みます。
煮物の調味料について
煮物に使う基本的な調味料の特徴や効果を知って、正しい使い方を身につけましょう。
酒
①香りをつける
②旨味とコクを出す
③食材を柔らかくする
④臭みを消す
砂糖
①甘みをつける
②旨味とコクを出す
③香ばしさ、照り、ツヤを出す
④素材の水分を保ち、しっとり仕上げる
塩
①塩味をつけ味を引き締める
②料理の酸味を和らげる
③食材の殺菌、防腐、臭みけし
④ぬめり、アク、水分を除くなどの下処理を行う
酢
①酸味、風味をつける
②塩味を和らげる
③殺菌、防腐、臭みけし
④変色防止、漂白などの下処理を行う
しょうゆ
①塩味、旨味、甘味で、料理に深みを与える
②色付けや香りづけ
③臭みを抑える
みそ
①塩味をつける
②独特の発酵臭で旨味を増す
③臭みを消す
みりん
①甘みをつける
②旨味、コクを出す
③照り、ツヤを出す
「さ・し・す・せ・そ」
料理でよく言われる「さしすせそ」とは、調味料を入れる順番のことです。
調味料の特性を活かして美味しく作るための基本知識として覚えておくと便利です。
さ:砂糖(酒)
砂糖の分子は塩に比べて大きく、素材の細胞に浸透しにくいので最初に加えます。
し:塩
塩の分子は小さく、味が浸透しやすいので、砂糖の後に加えます。
す:酢
舌の感覚は酸味に敏感なので加えすぎに注意しながら、後から加えます。
せ:しょうゆ(みりん)
酒や砂糖で食材を柔らかく煮込んだところで加えると味の入りがよく、少なめの量でもしっかり香りと味が引き立ちます。
そ:みそ
ぐつぐつ煮ると香りや風味が損なわるため、仕上げに加えることが多いです。
焼く
フライパンや天板などに食材をのせて加熱し、焼き色をつけて香ばしく仕上げる調理法を「焼く」と言います。フライパンを使用する間接焼き、オーブンを使用する天火(てんぴ)焼きなどがあります。適度な焦げ目を付けながらも中心部までしっとり感を損なわない、ちょうどよい焼き加減を学びましょう。
焼き物の基本テクニック
①食材の下処理を行う
【ステーキ肉】
牛肉…厚みのあるものは、冷たいまま焼くと中心部まで温まらないうちに周囲が焼きあがってしまうため常温に戻す。
豚肉…焼き縮みや反り返りを防ぐため、身と脂の間にある筋を切り、全体をたたき繊維を壊すことで肉質が柔らかくなり、味が浸み込みやすくなる。
鶏肉…焼きムラを防ぐため、厚みを均等にする。ジューシーに仕上げるには、脂を閉じこめたいのでフォークで穴をあけない。
鴨肉…皮の奥にある脂が出るようにしっかり目にフォークで穴をあける。その穴からシャワーのように脂が出てくるので、皮面の塩こしょうはきつめにおこなう。
【魚】
塩を振ると浸透圧の作用で魚の水分が引き出され、身が締まります。塩を振ってから焼くまでの時間によって仕上がりが変わる意識を持ちましょう。新鮮な魚は焼く直前に塩を振り、新鮮でないものや臭みが強いものを塩を振って10分置いて、水気を拭きとってからやく。(鯖のみそ煮やブリ大根などの煮物は、霜降りを行い臭みをとり、味の浸み込みをよくする)
②皮面から焼く
皮面から焼くことで、皮が縮んで身から剝がれたり型崩れを防ぎ、キレイな焼き色をつけることができます。
③食材の動かし方に注意する
フライパンでステーキ肉を焼くときは、中火~強火であまり動かさずに焼いて綺麗な焼き色を付け、盛り付けたときに上になる面から焼き、肉を返すのは1回が良いでしょう。
それに対し、下味をつけた肉(つけ焼き)や、薄力粉をまぶした魚(ムニエル)は、少し火力を落とし、時々フライパンをゆすりながら焦げ付かないように焼きます。
ハンバーグなどの厚みがあって中まで火が通りにくいものは、蓋をして弱火で蒸し焼きすることもあります。
④焼き加減を見極める
煮る、蒸すといった水を媒体する調理法では100℃を超えることはありませんが、「焼く」は、直接食材に熱を加えるので温度管理が難しい調理法です。こんがりした焦げ目や、カリッとした食感も美味しさの要因となるので火加減の目安をレッスンで学びましょう。
オーブン焼きについて
オーブンとは、ガスや電気を熱源にして食材を包み込むように全体から加熱し、蒸し焼き状態にする調理器具です。熱が間接的に全体に回るので、食材の中の水分を逃さず、じっくり焼き上げることができます。庫内を十分の温めておくことが重要です。時間をかけてじっくり焼きたい料理、塊肉の料理などに向いてます。
炒める
鍋やフライパンに油を熱し、食材を撹拌しながら加熱する調理法を「炒める」と言います。
短時間の加熱で済むので食材の栄養素の損失が少なく、脂の風味やコクが加わって味が深まります。
食材への適用範囲が広く、たいていの食材は炒めることで料理を仕上げることができます。
調味料が染みにくいのであらかじめ食材にした味を付けたり、調味料を作っておいて仕上げに加えるなど、上手に炒めるコツを学びましょう。
炒め物の基本テクニック
①食材の切り方・下準備
【切り方】
手早く火が通る様に、食材の大きさを合わせて切りそろえます。
食材の硬さによって、切る大きさを加減することもあります。
【湯通し・油通し】
火通りの悪い食材や、アクの強い食材をあらかじめ茹でておくことを湯通しと言います。油通しとは、中華料理でよく使う手法で、油であらかじめ食材を素揚げすること。油通しの後に炒めることで、食材に均一に火が通り、口当たりもソフトになります。
【下味をつける】
「炒める」とは、短時間で加熱する調理法なので、肉、魚などにはあらかじめ下味をつけておくことが多いです。
②炒める順番を意識する
炒める基本的な順番は
「香りが出るもの↠硬いもの(肉・魚類)↠柔らかいもの」
香りや旨味を、野菜に絡めていくイメージです。
③炒める量は少なめに
大量に炒めてしまうと加熱に時間がかかり、食材の水分が出てベチャっとしてしまうので、少ない分量を短時間で炒めましょう。
また、ゆっくり調味料を加えると火が通りすぎてベタっとした食感になってしまいます。調味料はあらかじめ合わせておいて、加える順番に火の近くに並べて置くなど準備をしましょう。
また、盛り付けの器もあらかじめ用意しておきましょう。
下味の効果
味付けには調理前に直接調味料をまぶす「下味」と、食材全体にまんべんなく味を付ける「調味」の2パターンあります。
特に炒めるは、短時間調理なので、あらかじめ食材に味をしみこませたり、食材の臭みを抑えるために、きちんと下味をつけておくと味が決まりやすいです。
【パターン①:塩・こしょう】
ソテー、フライなど。
【パターン②:酒・しょうゆ】
肉類の炒め物や揚げ物(唐揚げ)、鯖などの臭みの強い魚に行う。しょうがやにんにくも一緒にもみ込くことも。
【パターン③:酒・塩】
白身魚、海老、ホタテ、イカ、鶏肉など淡白な食材に。
【パターン④:調味料・卵白・片栗粉・油】
中華料理などの炒め物の下味に。表面に幕を張り旨味を閉じこめる。
蒸す
蒸気の熱を利用して食材を加熱する方法を「蒸す」と言います。
食材全体を均一に加熱することが可能で、しっとりとした仕上がりになり、うまみ成分や香りが逃げにくく、形が崩れる心配もありません。また、100度付近の加熱温度が保たれるため、食材を焦がす心配もありません。
蒸し物の基本テクニック
①蒸し物に合う食材を選ぶ
「蒸す」とは、食材の味が失われにくい反面、アクも溶けだしにくい調理法です。
蒸し物に合う食材には、比較的アクの少ない鶏肉や白身魚、豆腐、卵、きのこ、殻類などがあげられます。
②素材に合わせた下処理を行う
「蒸す」とは 、非常にシンプルな調理法なので、素材の下処理で仕上がりに大きな差が出ます。
火通りをよくする、下味をつけるなど、目的を意識して素材の下処理を行いましょう。
③火加減に注意する
しっかりと蒸気を上げた蒸し器に食材を入れることが原則です。温度が低い状態で蒸し始めると、水っぽい仕上がりになったり、素材の旨味成分や栄養素が逃げやすくなってしまいます。
また、蒸す素材によって、適度な火加減が異なります。基本的な火加減を覚えておきましょう。
強火で一気に蒸す
肉や魚を蒸すときは、強火で短時間で加熱することによって臭みを抑え、旨味を凝縮して仕上げることができます。
絶えず強火で蒸す
芋類や米類は絶えず強火で蒸すことによって、芯までしっかり火が通り、ほっくりと蒸し上げることができます。
強火⇒弱火で蒸す
茶わん蒸し,キッシュなど、卵液を蒸すときは弱火(低温)でじっくり蒸すことでなめらかに仕上げることができます。
洋食においての蒸し料理
①オーブン料理
オーブンを利用し、食品を包み込むように全体から加熱し蒸し焼き状態にする料理です。熱が間接的に回るので、食品の水分を逃さず、じっくりと焼き上げることができます。