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家屋とは?掘り下げてみよう!

課税されない建物を建築すれば固定資産税の負担を軽くすることができますよね。では、固定資産税が課税される建物とは、どのような建物でしょう。「家屋」って何?「建物」と「家屋」の違いは?
ここでは、「家屋」について関係法令やその解釈について掘り下げてみましょう。

まずは、固定資産税について規定されている「地方税法」から。

地方税法

(固定資産の課税客体等)
第342条 固定資産税は、固定資産に対し、(中略)課する。

(用語の定義)
第341条
⑴ 固定資産 土地、家屋及び償却資産を総称する。
(中略)
⑶ 家屋 住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物をいう。
つまり、「住家や店舗等の家屋は固定資産であることから、固定資産税が課税される」ことがわかる。
では、「家屋の定義」とは?

地方税法の施行に関する取扱について(市町村税関係)

第3章第1節第1
2 家屋とは不動産登記法の建物とその意義を同じくするものであり、したがって登記簿に登記されるべき建物をいうものであること。例えば鶏舎、豚舎等の畜舎、堆肥舎等は一般に社会通念上家屋とは認められないと考えるので、特にその構造その他からみて一般家屋との権衡上課税客体とせざるを得ないものを除いては、課税客体とはしないものとする。
固定資産税が課税される「家屋」とは、不動産登記法の「建物」と同意義であることはわかったが、「社会通念上」とか「一般家屋との権衡上課税客体とせざるを得ないもの」とか、ひじょーにわかりずらい。

不動産登記とは、土地の所在、地番、地目、地積等や建物の所在、地番、構造、床面積等及びその所有する者の権利等を公的機関で証明することができるように法務局で登録、変更、削除することをいい、この手続き等を定めたものを不動産登記法といいます。

不動産登記規則

(建物)
第111条 建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。

不動産登記事務取扱手続準則

(建物認定の基準)
第77条 建物の認定に当たっては、次の例示から類推し、その利用状況等を勘案して判定するものとする。
一 建物として取り扱うもの
 ア 停車場の乗降場又は荷物積卸場。ただし,上屋を有する部分に限る。
 イ 野球場又は競馬場の観覧席。ただし,屋根を有する部分に限る。
 ウ ガード下を利用して築造した店舗,倉庫等の建造物
 エ 地下停車場,地下駐車場又は地下街の建造物
 オ 園芸又は農耕用の温床施設。ただし,半永久的な建造物と認められるものに限る。
二 建物として取り扱わないもの
 ア ガスタンク,石油タンク又は給水タンク
 イ 機械上に建設した建造物。ただし,地上に基脚を有し,又は支柱を施したものを除く。
 ウ 浮船を利用したもの。ただし,固定しているものを除く。
 エ アーケード付街路(公衆用道路上に屋根覆いを施した部分)
 オ 容易に運搬することができる切符売場又は入場券売場等
ここまでが、「家屋」について関係法令に規定されていることです。

まとめると、下記の3要件を満たす建造物が不動産登記法上の「建物」であり、これと同意義である地方税法上の「家屋」の要件にも当てはまることとなります。


屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し → 外気分断性
土地に定着した              → 土地への定着性
その目的とする用途に供し得る状態にある  → 用途性

法令の解釈

これ以降は、課税庁である市区町村に対し広く認知されているものであり、「家屋認定」の判断基準とされているものである。家屋認定の基準となる外気分断性、土地への定着性、用途性についてさらに掘り下げてみましょう。

外気分断性

屋根:必ず有してなければならない。
周壁:用途性を考慮して判断する
材料:耐久性を有する
周壁なしの資材置場・車庫の建造物を家屋として認定することはできない(*1)。また、屋根をガラス、周壁をビニルフィルム(使用年限1年~3年)の園芸施設は、周壁に使用されている使用年限1~3年ビニルフィルムは、一般的には恒久的な資材とは認められないので、家屋として認定しないことが適当と思われる(*1)とされている。しかし、屋根及び外壁に使用している合成樹脂版については、半永久的な使用資材として認定しても差し支えない(*1)とされ、屋根・周壁の有無やその資材によるものとされている。
(*1)固定資産税実務提要(株式会社ぎょうせい)

土地への定着性

社会通念上、建物が永続的に土地に付着し、移動されることなく利用するものと認められるもの。一般的には、鉄筋コンクリート等の基礎と建物本体がアンカーボルト等で緊結されていることが判断基準となるが、
・丸太の基礎の上に単に建物を置いているだけの山小屋風の喫茶店
・堀立式(柱が地中に入っている)の牛舎
なども家屋として認められると解されている。
単にコンクリートブロックの上に設置されただけで容易に移動することができるものは、定着性があるとはいえません(*2)。しかし、プレハブ方式の勉強部屋、物置で構造上、家屋の三要件(外気分断性、土地への定着性、用途性)を満たし、永続性も認められる場合は、家屋として取り扱うこととして差し支えない(*1)。さらに、トレーラーハウスは、本来、一定の土地に固着されて利用されることを目的とするものではないので建物として認めることはできませんが、基礎工事や付帯設備を施して土地に定着させ、通常の居宅として永続的に使用する場合には、建物として認定することが出来る(*2)とされている。
また、限られた期間が過ぎれば撤去される建築工事現場の事務所や展示用モデルハウス等は、外観上は建物としての要件を備えていても永続性のあるものとは認められないので、登記し得る建物ではないということになる(*3)としつつ、建築工事現場等に設置される仮設建築物は、相当期間一定の場所に建築されているものについては、他の家屋との課税の均衡上固定資産税の課税客体となるものであり、この場合の相当期間とは、1年以上となるものであれば、これに含まれるものである(*1)とされている。
(*1)固定資産税実務提要(株式会社ぎょうせい)
(*2)表示登記教材建物認定(一般財団法人民事法務協会)
(*3)表示登記に関する登記の実務(日本加除出版株式会社)

用途性

建物本来の使用目的とされている用途によって、要求される構造や仕上げは異なるもので、それぞれ社会通念によって判断する。
不動産登記事務取扱手続準則第82条第1号において、天井高さ1.5メートル未満の地階及び屋階(特殊階)は、床面積に参集しない。ただし、1室の一部が天井の高さ1.5メートル未満であっても、その部分は、当該1室の床面積に算入するとされている。このことから、天井高さ1.5メートル未満のものは、準則第82条第1項の趣旨から人貨滞留性がないものといえる(*3)とされている。
一方、固定資産評価基準解説(家屋編)において、評価基準における家屋の床面積は、家屋の再建築費評点数を算出する場合の計算単位となっているため、評点付設の便宜上不動産登記法における床面積の取扱いとは異なる取扱いをすることができるものであり、例えば、天井高さ1.5m未満の部屋があっても床、内壁、天井等が施工されていれば評価に含めるものであるとされている。
(*3)表示登記に関する登記の実務(日本加除出版株式会社)
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