永井荷風の死に様

2021/02/19
永井荷風をご存知だろうか。
明治に生まれ、大正昭和を生き、戦後日本を嘆じつつ逝った文人だが、最近何やらこの仁が気になって、その俳句集と論考などを読み耽っていた。
荷風は二度離婚してその後は独身を貫き、今で言うところの独居老人として孤独死した。しかし彼には資産があったし、その日本文学に遺した偉業をもってしても並みの孤独死ではなかった。いわば見事な死に様と言えると思う。
その半生を描いた名画に、新藤兼人監督の「濹東綺譚」がある。
 

「濹東綺譚」といえば、そう言えば聞いた事がある、と膝を打つ人も多いのではないか。荷風の最高傑作といわれる小説で、隅田川東岸「玉の井」の娼婦と小説家の出会いと別れを描いたもの。小説原典を読んでもらえば分かるが、なかなか美しく、そして哀切溢れる物語である。まあ女性的な観点から観ると異論もあるかもしれないが、この当時の世相、一匹狼としての男の美学として見事だと思われる。
映画の方はキャスティングも素晴らしく、ラストの荷風が逝くシーンは壮絶。荷風の生き様、死に様には感じ入るものがある。古い映画であるが、オンラインでの視聴やDVDについてはまだ手に入ると思うので、是非一度観てほしい。
今回読んでいた本は『荷風俳句集』『俳人荷風』の2冊。
 

荷風は実は俳句も数多く詠んだが、小説ほどには評価されていない。しかし、アカデミックないわゆる「業俳」からは評価されずとも、感じる人間には相当の魅力を持った句を遺していると思う。夏目漱石なども小説ばかりが取り上げられるが、彼の俳句や漢詩は、実に素晴らしいものがある。


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