とにかく貧しかったが不思議に危機感がなかった。
母親が元気印いっぱいだったからかもしれない。
一方、私は失敗の連続だった。
経済的理由で国公立の学校へ進まなければならないのに
全て失敗してしまったのだ。
中学は国立付属に合格したものの、
公立高校、国立大学、国立大学大学院の
受験とも全て失敗だった。
正に失敗の連続で情けなく、悔しい思いばかりであった。
そのためとにかく勉強した。
貧しい家庭だったから学費がかからない算段を
しなければならなかったからである。
幸い、私立高校は特待生になり全ての学費は免除。
私立大学は奨学金で卒業することができた。
大学卒業時、恩師から助手になるよう勧められ、
教授の手伝いと研究、そして学生指導にあたった。
その後、建築設計の魅力が捨てられず、
助手の立場に見切りをつけて27歳で独立。
一級建築士事務所設立した。