大まかに借地権と言っても、その種別により意味合いも異なってくるので、簡単に内容を整理しておきます。
■1:旧借地法(賃借権)
借地権設定時、存続期間は30年、更新後20年となります。(借地権者側が法律上強く守られており、地主側の更新拒絶、建物明け渡し、更地返還などは正当事由なしでは認められていない)
■2:新借地借家法
大きく区別すると「普通借地権」と「定期借地権」に分かれます。
「普通借地権」は旧法借地権のように法定更新が可能な契約。堅固建物と非堅固建物の区別がなくなりました。
「定期借地権」は一般的に存続期間を50年と定め、期間満了後は地主に土地を返還する必要があります。借地権の更新や建物買取請求権などは、認められていません。
近年、定借マンションとして銀座や渋谷などにタワーマンションの分譲が始まり、その価格帯の安さから紙面を賑わせたりもしましたが、それもこの定期借地権付マンションとなります。
また、平成17年には前払い地代方式が加わり、保証金や権利金と違い様々なメリットがあります。権利金は一括課税されますが、前払い地代方式は毎年均等に収益・損金計上ができます。但し中途解約などのように期間が残っている場合には、その未経過分は返金しなければなりません。期間の制限というデメリットはありますが、安く購入できるというメリットも備えているわけです。
一般定期借地権の賃貸借契約書は公正証書等で締結し、事業用定期借地権は公正証書で締結しなければなりません。
・地上権(物権)
借地権の中でも地上権として登記を行っている非常に権利形態の強いものです。地主の承諾なく、第三者への売買などができます。
「正当事由」がない限り更新拒絶はできず、地代の支払い以外はほぼ所有権に近い権利形態となります。
旧法借地権でこれまで契約を行ってきたものの、更新のタイミングなどで地主側より新法の借地権に切り替えをしないか?といった提案を受けたという事例も多くございます。
新法に切り替えを行い、それが定期借地権だったりすると将来的に土地を明け渡さなければいけない為、十分に注意が必要です。
また、上記に記載もございますが当初旧借地権で契約したものは、その内容が更新後も引き継がれますので、メリットの感じない提案だと思った場合には、新法への切り替えは丁重にお断りした方が良いでしょう。