美濃屋茶舗 スタッフブログ

日本茶に関する資格について。

2020/09/06

茶道について

日本茶に関する資格で、思いつくのは、
茶道の許状ではないでしょうか?
とはいえ、これは、資格試験でもなければ、
国家資格ではないのです。


遣唐使の僧が中国より、茶の種を持ち帰り、日本各地に、
茶の種を撒き、栽培をしたのが、日本茶の起源です。

嵯峨天皇に永忠がお茶を献上したと記載されている
「日本後記」(815年)が最古の文献であり、
この時から、江戸時代の煎茶が発明されるまでは、
抹茶文化が大きく普及して、主流でした。

15世紀後半、善を基礎にして出来上がった詫茶の基礎
「四畳半の茶の湯」が完成し、その精神を引き継いだ
千利休により、唐より渡来したものの鑑賞会的茶会から、
精神を静める世界を作り出すものに昇華されました。

そして、16世紀末に、戦国武将を中心にたしなまれ、
茶道が完成したと言われています。

この辺りから、茶道の修行をして許状をいただく、
ということの始まりで、現代の流派による教えの普及に
つながっていますね。

茶道の修行をしたり、
茶道の許状を持つ方は、たくさんおられるので、
一般に開かれた身近なものと言えますね。

こうすると、日本茶でも、抹茶に対することが中心で、
日本茶のうち、煎茶に関する資格は、どうなのか?
ということになりますね。
 

茶匠・茶師について

江戸時代に煎茶が誕生してから、
茶商の茶の選定と合組を行う茶師になるには、
特段、認定試験、資格試験というものは、
無かったと言えます。

茶師には、段位認定があり、
段位認定を受けた人を茶匠とも呼びます。

茶師の段位認定は、

全国茶業青年団主催で毎年開催される
茶の鑑定力を競う茶審査技術競技大会に参加し、
個人戦の部において、成績優秀と認められた者に限り、
別に定めた評価基準に従って、
当該競技者の競技会における得点に相応した
「茶審査技術者」として授与されるものです。

ただしこれは、誰でも参加できるわけではなく、
茶畑農家や日本茶の製造メーカーなどに勤めて、
経験を積んだ上で、「茶業青年団」に入団し、
所属していることが必要です。

その各地の茶業青年団内での選抜試験、試合を経て、
各地の茶業青年団の代表として選ばれない限り、
全国茶審査技術競技大会に参加できないのです。

また、年齢制限があり、45歳を超えると、
出場ができないなど、いろいろと制限が多いものです。

そうなってくると自然に、
日本茶の有数の生産地である、
静岡、三重、鹿児島であるとか、
銘柄茶としての八女、宇治、伊勢、西尾、
静岡各地、狭山といった
産地の茶業青年団が強豪であり、
その青年団のメンバーには、
江戸時代から続く老舗など、
創業100年以上の老舗や、
地区の豪商的存在の茶商がいて、
なかなかの猛者の集まりと言えますね。

テレビ番組などで、茶師十段が紹介されていますが、
茶師九段を持つ人を入れても、
全国的に、10数人しかいないなど、
特別なもの、別格なもので、
茶商業界の認定試験であり、
一般向けではないので、なじみがないとも言えますね。

 でも、野球に例えるなら、
メジャーリーグのオールスターに出場して、
MVPを取るくらいすごいと言えます。

日本茶インストラクター


茶師 茶匠が独特の世界で存在する為、
日本茶の普及、啓蒙事業のひとつとして、
茶業に関わる人向け、一般向けに、
認定制度が創設されました。

1999年に、社団法人日本茶業中央会により
「日本茶インストラクター等認定制度」が発足し、
2000年に、日本茶インストラクターが誕生しました。

歴史からしても、まだ、20年くらいのものですが、
受験者は、1万人を超え、有資格者は、4千人前後ですね。

創設当時は、茶業で茶師として活動している方が、
40代~50代であり、
試験を受けなければならないのかどうかと、
いろいろと話題にはなり、
なかなか受験に至らなかったものですが、
2010年あたりからは、
産地の農家、茶農協、茶市場、茶商の従業員の受験も進み、
跡継ぎや若手社員の30代以下の方々は、
大体、誰もが取得している感じでした。

近年では、茶業関連の社員研修で取得を進められたり、
日本茶カフェを志す方々の受験が進んだりと、
一般に認知が進んで来て普及しているようです。

 

日本茶スペシャリスト

日本茶の知識、お茶の淹れ方、お茶請け、
お茶とともにいただく料理といった、
お茶のユーザーとしての専門知識、
スキルを認定する試験で、
まだ、歴史は浅いものです。

とはいえ、日本茶の知識として、
基礎、歴史、種類、加工、
淹れ方、といったものは、
日本茶インストラクターの内容と同内容と言え、
消費者、ユーザーの視点も含めるので、
広範に問われるなど、
スペシャリストと言うにふさわしい内容になっています。

つまり、日本茶スペシャリストは、
日本茶の文化やおいしい秘密を学んで、
社会に伝えていくプロとしての役割を果たす者ですね。

学ぶ範囲が似ていることもあり、
日本茶インストラクターへの登竜門とも言えるでしょう。