20代の頃からを振り返り、人生を反省する その4
波乱の人生の幕開け、
病は突然襲ってくる!
病は突然襲ってくる!
この話は、下記のブログが始まりの〝続きもの〟です。
読んでいない人は先にお読みいただくと話がよりわかります。
元々なりたかった職業はアナウンサーであったけれど、
ディレクターという仕事をしてみたらすごくハマった。
とにかく毎日が楽しくて仕方なかった。
音楽に関しては、中学の頃からラジオばかり聴いていたので、
歌謡曲や90年代のニューミュージックと呼ばれるものに関しては
すごく知識が増えていた。
さらにTBSでアルバイトをした時は配属がレコード室だったので、
これまた毎日音楽に触れ、80年代の洋楽にまで詳しくなった。
また制作会社にいた時は
CMの録音も大切な仕事の一つだったのだが、
ラジオのCMにはほとんどBGMというものがつけられている。
毎日10〜20本ものCMを作らなければならないのだが、
そのCMひとつひとつに、
コメントに合ったBGMを探さないといけないのである。
これが意外に大変な作業で、センスも問われるし、
また多くの曲を知っていないと時間のかかる仕事なのだ。
今では著作権フリーのCM用音楽集みたいなものが
たくさん販売されていて、
ほとんどの放送局はそれを使用しているので
だいぶ楽になったようだが、
当時はそのようなものはなく、
CMごとに1曲ずつライブラリーの中から
自分のセンスで選ばなければならなかった。
BGMに使う曲は、インストゥルメンタルや軽音楽、
イージーリスニングやジャズフージョン、映画音楽など
歌詞のない音楽を使う。
例えば当時よく使われていたアーティストといえば、
F1のオープニング曲でも有名なT-SQUAREや、
中森明菜の『ミ・アモーレ』の作曲家・松岡直也、
カシオペアや高中正義、COSMOS、本田俊之、などに加え
ヴァイオリンの葉加瀬太郎や千住真理子、
ピアノの村松健、響野夏子などクラシック系も。
さらに洋楽では、
ドラマ『男女7人夏物語』で有名になったシャカタクや、
プロ野球ファンなら知らないものはいない
『今日のホームラン』のBGMを作ったジェームス・ラストの他、
アール・クルー、ケニーG、スパイロ・ジャイラ、リー・リトナーなど、フュージョン系の音楽にまでかなり詳しくなった。
この経験は、ディレクターをしている間も
ずっと役に立つ知識となったのは言うまでもない。
ここに至るまでレコード屋さんで働き、
FMでも番組を担当できたことで、
音楽の知識に関しては、相当な量が頭の中に刻み込まれていた。
もちろん毎日放送されるワイド番組ともなれば、
3時間の中で10曲程度は毎日かけなければならないので、
その選曲もそれは慣れないものにとっては
とんでもなく時間のかかる作業なのだが、
自分の場合はそれが他の人よりはかなり楽にできたものだ。
ただちょっと凝り出したりすると知識が多い分、
余計に時間がかかることもあったが…。
でもこれが仕事だとは思えないくらい毎日が楽しかった。
脇役に徹し、パーソナリティをいかに輝かせるか?
また、しゃべり手がどうやったらやりやすいか?
どれだけ適切な指示が出せるか、など
ブース内で話をしているパーソナリティが
どうやったら持っているパフォーマンスを最大限発揮できるか、
またやろうと思わなくても出てしまうミスを
どれだけすぐにカバーできるか、などを常に考えて番組を進行した。
なのでしゃべり手としては、
私ほどやりやすかったディレクターはいなかったのではないかと
今でも自信を持って言える。
その証拠に番組の改編時になると、
私がディレクターになってくれたらいいなぁと
何人の女子アナに言われたことか。
でもそれくらい天職だったと当時は確信していた。
病は突然やってくる!
局内でも自分のポジションが確立し、
上からも下からも信頼を得始めていた頃、
突然の不幸に見舞われた。
私に直接ではないのだが、妻がなんと、くも膜下出血を発症したのだ。
発症した当日、
妻は県西部のある市で行われたイベントの司会をしていた。
これは後日、本人から聞いた話だが、
その日の朝はなんとなく気分が悪かったけれど、
風邪でも引いたかな?くらいの感じで、
まさかくも膜下出血を起こすなど予想もしなかったといっている。
が、実際くも膜下出血は突然発症する病気のひとつ。
通常は高血圧や動脈硬化を原因として
脳内にある血管にできた瘤(コブ)が破裂するという病気だが、
妻の場合は脳内に血管の奇形があり、
これを持っている人は妻のように何の前触れもなく
突然発症することがあるらしい。
中には奇形を持ったまま一生発症しない人もいるらしいので、
運としか言いようがない。
ちなみに芸能人でも星野源やglobeのkeikoなど
30代で発症している人も多い病気だ。
完治した人もいれば、そのまま亡くなってしまうこともある。
大きく運に関わる病気だと言える。
その日は土曜日だった。
妻は朝、スタッフと一緒に現場に行くため一旦局に行き、
その日の担当ディレクター達と一緒にイベント会場に向かった。
自分はその日は休みで自宅でのんびりしていたのだが、
昼過ぎに突然そのイベントのプロデューサーだった
支社長から電話がかかってきた。
『妻の体調が思わしくないので病院に行った。
入院するかもしれないので下着などを持ってこっちに来てくれ』
と言われた。
朝、特におかしくもなかったので、
疲れでも出たのかな?と思いながらも、
大したことはないだろうと、ゆっくり準備をしていたら
また支社長からの電話。
『おい、こっちにもう向かってるか?早く来い!』と、
先ほどとは口調が変わっていて、
予想だにもしなかった危険な状態だということを伝えられた。
と言われても、全く意味がわからなかったが、
とにかく無事を祈って車を走らせた。
ところが現場となる市は、
県内の最西端で車で約2時間弱かかるようなところだった。
が、一大事と思った自分は冷静になれと言い聞かせながらも、
車を飛ばして約1時間20分ほどで病院に到着した。
(安全運転に心がけましょう >_< )
すぐに主治医に呼ばれ病状を聞くと、
今は一旦、落ち着いているものの
急変の可能性もあることを告げられた。
また、一命を取り戻したとしても、元の妻に戻れるのか?と尋ねたが、
それも今の時点では何とも言えない、との返事。
とにかく、このまま急変が起こらないことを祈るしかなかった。
その5に続く