第一話

ラーメン屋って、
実はめちゃくちゃ潰れます。

 

開店して3年。
そこで半分以上がなくなって、
10年続く店はほんのひと握り。

 

赤レンガは、
気づけばもうすぐ30年になります。

 

でも、
すごいことをやってきたわけじゃありません。

 

むしろ、
変えてはいけないところだけは、
変えなかった。

 

これだけです。
 

値段は、
必要な時に、少しずつ上げてきました。

限定も、
意味のあるものだけ、やってきました。

 

でも、
流行に振り回されたり、
「今っぽさ」を優先したりはしなかった。

 

味は、
派手さよりも
いつもの安心感。

説明は、
盛らずに、正直に。

 

新しいことを
やらなかったわけじゃありません。

ただ、
「お客さんが不安になる変化」だけは
しないようにしてきました。

 

だから、
久しぶりに来ても
「これこれ」って言ってもらえる。

 

赤レンガは、
変わらないために、
ちゃんと変えてきた店です。

そしてこれが、
お客さんにとってのメリットでもあります。

・久しぶりでも迷わない
・誰を連れてきても失敗しにくい
・気取らず入れる
・理由がなくても選べる

赤レンガは、
「今日はここにしておけば大丈夫」
そう思ってもらえる一軒でありたいと思っています。

第二話

赤レンガといえば、
「辛いラーメンの店」というイメージを
持っている方が多いと思います。

 

でも実は、
ただ辛いだけのラーメンは
最初からやるつもりがありませんでした。

 

辛さって、
一口目はインパクトがあります。
でも、だんだん疲れてきて、
途中で箸が止まる。

 

これ、けっこう多いんです。
 

「辛い」は、
テンションは上がるけど、
“また来よう”にはつながりにくい。

 

だから赤レンガは、
辛さよりも先に、
“最後まで食べられるかどうか”を
一番大事にしました。

 

辛さは選べるけど、
ベースのスープはやさしい。

汗はかくけど、
胃はあまり疲れない。

 

食べ終わったあと、
「うわ、きつかった…」じゃなくて、
「おいしかったな」で終われる。

 

これが、赤レンガの“辛さの作り方”です。

お客さんのメリットは、
ここにもちゃんとあります。

 

・辛いのが好きでも、ちゃんと満足できる
・辛さが苦手な人と一緒に来ても大丈夫
・途中でつらくならない
・翌日に胃が重くなりにくい









辛いラーメンの店」だけど、
“誰と来ても困らない”。

 

これが赤レンガの辛さです。
 

第三話

正直に言うと、

赤レンガのラーメンは
写真で見ると、そんなに派手じゃありません。

 

チーズが滝のように流れるわけでもなく、
山のように具が乗っているわけでもない。

 

「わあっ!」と声が出るタイプの
ラーメンではないと思います。

 

でも、ここにも理由があります。
 

派手なラーメンって、
最初は楽しいんです。
写真も撮りたくなるし、
誰かに見せたくなる。

 

でも、
「また明日も食べたいか?」
って聞かれると、
ちょっと首をかしげたくなる。

 

赤レンガが選んだのは、
“見せるラーメン”じゃなくて、
“戻ってくるラーメン”。


 

一回の感動よりも、
五回目、十回目に
「やっぱ、これだよね」って言われる味。


 

お客さんのメリットは、ここです。
 

・何度食べても疲れない
・久しぶりでも、ちゃんと美味しい
・誰を連れてきても失敗しにくい
・気取らず入れる

 

派手さはないけど、
“居場所”にはなれるラーメン。

赤レンガは、
そういう一杯を作り続けています。

第四話

飲食店って、
「変わり続けないとダメ」と
よく言われます。

 

新メニュー。
新トッピング。
新しい見せ方。
新しい流行。


 

確かに、それも大事です。

 

でも赤レンガは、
あえて“変えない”を選んできました。


 

味をコロコロ変えない。
看板メニューをぶらさない。

「前と違う」と言われることを
なるべく作らない。


 

これ、実はかなり怖い選択です。

 

変えた方が楽なときも、
正直たくさんありました。


 

でも、
お客さんにとって一番困るのは、

「久しぶりに行ったら、
なんか別の店になってた」

 

これなんです。

 

赤レンガは、
思い出の中の味と
目の前の味が
ちゃんと同じであることを
何より大事にしてきました。


 

お客さんのメリットは、
ここにあります。


 

・何年ぶりでも迷わない
・連れていった人に説明しなくていい
・思い出がズレない
・安心して「ここにしよ」と言える

 

変わらないというのは、
“楽をしている”ことじゃなくて、
実はかなり不器用な努力です。

 

でもその不器用さが、
「戻れる場所」を守っています。

第五話

今の赤レンガは、
16席の小さな店です。

 

でも実は、
前は28席ありました。

ラーメン屋としては、
けっこう大きい方だったと思います。

 

立ち退きで、
今の場所に移ってきました。

 

だから、今でも
「小さくなったね」
って言われることがあります。

 

でも、
原はこう思っています。

 

小さくなったんじゃなくて、
近くなった。

 

席が減った分、
顔が見えるようになりました。

声も届くようになりました。
一杯一杯に、ちゃんと気持ちを置けるようになりました。

赤レンガは、
“広い店”より
“安心して入れる距離”を選びました。

 

お客さんのメリットは、ここです。
 

・店の空気が落ち着いている
・騒がしすぎない
・味がブレにくい
・誰と来ても、ちゃんと話ができる
・「いつもの店」になりやすい

 

小さくなったのではなく、
あなたとの距離が
少しだけ近くなっただけです。

 

赤レンガは、
このサイズで
今日もちゃんと一杯を作っています。