ガラスの夜を越えて
人生には、信じられない出来事がある。
それは、ある日突然届いた一本の通知から始まった。
「名古屋支店の彼が退職した。」
その知らせを見た瞬間、私は目を疑った。
彼は私と同じ営業部門に所属していた。
課も担当エリアも違ったが、
全社行事で顔を合わせるたびに気を遣ってくれた。
本当に面倒見が良く、
後輩からも上司からも慕われていた。
名古屋支店を代表する存在と言っても
過言ではないほどの人気と人望を持つ人物だった。
だから最初は、家庭の事情なのだろうと思った。
人生には様々な事情がある。
そう自分を納得させようとした。
しかし、どう考えても違和感があった。
彼は大きな部門を任され、
将来的には地域を代表する立場に
なっていてもおかしくない人物だったからだ。
後日、名古屋支店の行事で
彼と親しかった同僚から話を聞いた。
詳しいことは語れない。
だが、その人はこう言った。
「週刊文春に載ってもおかしくないレベルの話だ。」
そして、その出来事は彼自身が起こしたものではなかった。
会社のトップによって引き起こされた出来事が、
結果として彼の幸せも未来も葬ってしまったのだという。
真偽の全てを知ることはできない。
しかし、彼の性格を知る人なら分かる。
彼にとって、
その現実を受け入れながら
働き続けることはできなかったのだろう。
私は社長のことも尊敬していた。
彼のことも尊敬していた。
だからこそ、何とも言えない気持ちになった。
人から話を聞くたびに、
少しずつ答え合わせが進んでいく。
しかし、真実に近づくほど気持ちは晴れなかった。
むしろ考えさせられた。
あれほど売上を上げ、組織をまとめ、
多くの人に信頼され、
大きな成果を残した人であっても、
一つの出来事によって未来を失うことがある。
会社の中では、時に個人は無力だ。
どれほど優秀でも。
どれほど誠実でも。
どれほど人望があっても。
そんな現実を目の当たりにした。
そして同時に思った。
傷ついたのは彼だけではない。
彼を知る人たちもまた、悲しみを抱えていた。
尊敬していた人が突然いなくなる。
信じていたものが崩れる。
理不尽さを感じる。
怒りとも悲しみとも言えない感情を抱える。
そんな人たちがいる。
だから私は、この曲を作った。
誰かを責めるためではない。
誰かを裁くためでもない。
深く傷ついた人が、もう一度前を向くために。
失ったものばかりを見つめるのではなく、
自分自身の価値を思い出すために。
裏切りや喪失の夜を越え、
その先にある新しい朝へ向かうために。
この曲は、一人の人間へのエールであり、
同時に、人生の理不尽に直面した、
すべての人への応援歌でもある。
涙の夜は終わらないように見える。
けれど、朝は必ずやってくる。
どれほど深い傷を負っても、
人は再び歩き出すことができる。
そんな願いを込めて作った曲です。
「ガラスの夜を越えて」
どうぞMVとともに、お聴きください。
なみのりふね名古屋いまいけ
主宰 森