BREATHLESS NIGHT SLIDER - Across The 25 Years -
失うばかりだと思っていた人生へ
失うばかりだと思っていた人生へ
2026年の今、
私は25年前によく聴いていた
Icemanの『BREATHLESS NIGHT SLIDER』
を思い出している。
当時の私は、
その歌詞や世界観に強く共鳴していた。
未来は見えない。
自分の価値もわからない。
何者かになりたい。
認められたい。
愛されたい。
それなのに、
何一つ手に入っていないように感じていた。
まさに、
「失うばかりで 愛も見えないまま」
そんな心境だった。
2001年頃の私は、
音楽の夢を追いかけていた。
シンセサイザーを買い、
音楽ソフト入りのパソコンを買い、
ボーカルスクールやヤマハのミュージックスクールへ通った。
100万円を超えるお金を使いながら、
それでも未来が開ける保証などどこにもなかった。
夢を追いかけているはずなのに、不安ばかりが大きくなる。
周りには自分より才能があるように見える人がいる。
若くて魅力的な人たちがいる。
自分だけが取り残されているように感じる。
そんな時代だった。
だから私は、
BREATHLESS NIGHT SLIDERの主人公だった。
夜の中を滑るように走り続ける。
どこへ向かうのかもわからない。
ただ止まるのが怖くて走り続ける。
そんな人生だった。
しかし、2026年の今になって思う。
あの頃の私は、本当に何も持っていなかったのだろうか。
本当に失うばかりだったのだろうか。
そうではなかった。
ただ見えていなかっただけだった。
私は音楽を学んだ。
会計を学んだ。
心理を学んだ。
カウンセラーとして多くの人と出会った。
本も出版した。
AIを使って音楽制作も始めた。
そして
『ヨルダンワインは酔わせない』
という楽曲を世に送り出すことになった。
25年前の私が想像していた未来とは違う。
しかし、それ以上に面白い未来を生きている。
当時は成功とは何かを勘違いしていた。
有名になること。
認められること。
表彰されること。
お金を稼ぐこと。
何者かになること。
それらを手に入れれば満たされると思っていた。
しかし、人生を生きてきた今ならわかる。
本当に欲しかったものは、成功ではなかった。
自分の人生を生きることだった。
誰かになることではなく、自分になることだった。
だから
『BREATHLESS NIGHT SLIDER - Across The 25 Years -』
が伝えたいのは、成功物語ではない。
25年間の人生を振り返った時に見えてきた真実だ。
あの頃の孤独も。
あの頃の焦りも。
あの頃の劣等感も。
全部無駄ではなかった。
あの夜があったから今がある。
あの苦しみがあったから、
人の痛みも理解できる。
あの迷いがあったから、
自分自身を探し続けることができた。
人生は一直線ではない。
遠回りもする。
立ち止まることもある。
夢を諦めたと思うこともある。
しかし、本当に大切なものは消えない。
25年前、
シンセサイザーを抱えていた少年は、まだ心の中にいる。
そして2026年の私は、その少年にこう伝えたい。
「大丈夫だ。」
「お前が探していたものは、ちゃんと残っていた。」
「失うばかりだと思っていた人生は、
失っただけではなかった。」
「その全てが、今につながっている。」
だからこの曲は、過去への後悔の歌ではない。
25年間を生き抜いた者から、過去の自分への手紙である。
そして今、私はこう歌う。
Lost in the dark,
I searched for the light.
No one could hear my voice,
Now I Hold It All.
失うばかりだと思っていた人生の先で、ようやく気づいた。
探していた光は、ずっと自分の中にあったのだと。
なみのりふね名古屋いまいけ
主宰 森