対策教室

領域Ⅰ:人間と社会  


生活と福祉

 家族の機能には、生命維持機能生活維持機能ケア機能の3つがある

 家族の機能には、食欲、性欲、安全の要求を満たす生命維持機能、経済に支え合う生活維持機能、高齢者や乳幼児、障害者に対するケア機能がある。

 家族は、規模や構成によって分類される

・生殖家族(創設家族)…自分が結婚してつくる家族
・定位家族(出生家族)…自分が生まれ育った家族
・核家族…1組の夫婦とその子どもだけの家族
・拡大家族…核家族に親やきょうだいなどそれより上の世代も含む家族
・修正拡大家族…非同居だが子世代の核家族と親世代が頻繁に行き来し、相互援助の関係にある家族
・直径家族…このうちの1人が親と同居し、財産を相続
・複合家族…複数の子どもの家族(核家族)が親と同居

 世帯とは、住まいと生計を同じくしている人々の集まりである

 家族とは、基本的に親族によって構成される住居を共にする集団をいう。一方、世帯は行政上の考え方で、「住まい生計を同じくする人の集まり、または1人で住んでいるか、あるいは自分だけで生計を営んでいる単身者」のことである。

※単身赴任の父親(母親)や、離れて暮らす子ども(学生など)は、家族ではありますが、別世帯です。

 近年、高齢者のいる世帯が増加し、三世代世帯が減少している

 近年、社会的な変化(経済構造の変化、女性の就職率の上昇、晩婚化、未婚化、少子化、平均寿命の伸長など)を受けて、世帯のあり方が変化・多様化している。

・増加したもの…
家族(ひとり親世帯を含む)、単独世帯、高齢者のいる世帯
・減少したもの…
三世代世帯、1世帯当たりの人員

 親族とは、6親等内の血族配偶者3親等内の姻族をいう

 親族とは、民法上、親等内の血族(親子、きょうだい、叔父、おばなどの血のつながりのある者)、配偶者(結婚相手である妻や夫)、親等内の姻族(結婚によってできる義父母、義きょうだいなど)をいう。

 親族的扶養には、生活保持義務生活補助義務がある

 親族的扶養では、親が未成年の子どもを養う扶養と、夫婦間の扶養を生活保持義務という。それ以外の親族の間の扶養は生活補助義務といい、生活に余裕がある範囲内で相手を援助すればよいという義務である。原則として「直系親族」と「兄弟姉妹」が扶養義務を負うが、特別な事情がある場合は、家庭裁判所親等内親族に扶養義務を与えることができる。

 過疎地域では、共同体の維持が困難な限界集落が数多く存在する

 65歳以上の高齢者が住民の50%を超え、共同体機能、住民生活の維持が困難な集落を限界集落と呼ぶ。

 地域ケアシステムにおいては、さまざまな生活課題を「自助・互助・共助・公助」の連携によって解決していくことが必要である

 ●4つの助(自助・互助・共助・公助)
自助(個人)…自らの健康に注意を払う、貯金をするなど、自発的に自身の生活課題を解決する力
互助(近隣)…家族、友人、サークル活動仲間など、個人的なつながりをもつ人間同士が助け合い、それぞれが抱える生活課題をお互いが解決しあう。
共助(保険)…制度化された相互扶養のこと。医療、年金、介護保険、社会保険制度など被保険者による相互の負担で成り立つ。
公助(行政)…自助・互助・共助では対応できないこと。(困窮など)に対して必要な生活保障を行う社会福祉制度のこと。公による負担(税による負担)で成り立つ。


ぼやき…
「自助・互助・共助・公助」の言葉から、真っ先に令和おじさんこと菅義偉内閣総理大臣を連想してしまった。

 

 なにげに気になって検索してみると菅首相が掲げたのは「自助」「共助」「公助」の3つで、「互助」は掲げてなかったのね。
参照記事/DIAMONDonline

 地域ケアシステムの意味合いから考えてみると「自助・共助・公助」ではなく、「自助・互助・公助」にした方がしっくりくるのですが…。
 と言いますか、共助=保険、そう、「保険」という言葉が気になるのよね。保険には2種類ありますよね? 税金から成り立つ保険(介護保険、健康保険等他)と、民間企業の保険会社が提供する保険。共助とは税収から成り立つ保険だけを指すなら、それはそれでいいのですが、そうなってくると「それって公助に分類されるのでは??」と思い始めたり…。なん言いましょうか、共助と公助の区別の差がいまいちピンとこないのよね。
 

 限界集落とは、65歳以上人口が総人口の約30%を占めたことで、共同体機能の維持が困難になっている集落をいう。

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限界集落とは、過疎化や高齢化により、65歳以上人口が総人口の50%以上を占めたことで、共同体機能や住民生活の維持が困難になっている集落をいう。


社会保障制度の発展

 日本の社会保障・社会福祉制度は、創設・改正・廃止を繰り返して発展してきた

昭和20年代……戦後混乱の収拾……
1946:旧生活保護法成立
1947:児童福祉法成立
1949:身体障害者福祉法成立
1950:現行生活保護法成立
 【福祉三法体制】
1951:社会福祉事業法(現・社会福祉法)成立


昭和30年代……国民生活安定化政策……
1958:国民健康保険法全面改正
1959:国民年金法成立
1960;精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)成立
 【1961:
国民皆保険皆年金体制の確立】
1963:老人福祉法成立
1964:母子福祉法(現・母子および父子並びに寡婦福祉法)成立

※寡婦(かふ/夫と死別又は離別し、再婚していない女性、夫のない独身の女性を意味する。 別名では、寡(やもめ)、女寡(おんなやもめ)、後家(ごけ)、未亡人(みぼうじん)などがある。寡〈やもめ〉という言葉は男女双方をさすことがあり、男性の場合は寡夫(かふ)、鰥・鰥夫・寡男(やもお)、男鰥・男寡(おとこやもめ)などという。
 【福祉六法体制】


昭和40年代……高度経済成長下での社会保障拡充……
1970:心身障害者対策基本法(現・障害者基本法)成立
1973:老人医療費無償化


昭和50年代……経済安定成長と社会保障制度の改革……
1982:老人保健法(現・高齢者医療確保法)成立


平成元年から11年……少子高齢社会への計画的対応……
1989:ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10か年戦略)策定
1994:新ゴールドプラン制定・エンゼルプラン策定
1999:ゴールドプラン21策定・新エンゼルプラン策定


平成12年以降……社会福祉基礎構造改革の推進……
2000:社会福祉法成立・介護保険法施行
2005:障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)成立
2006:高齢者医療確保法成立(老人保健法改正・改称)
2008:後期高齢者医療制度創設
2012:障害者総合支援法成立(障害者自立支援法改正・改称)
2017:介護保険法改正

 

 児童福祉法身体障害者福祉法生活保護法の3つの法律を、福祉三法という

 福祉法は、第二次世界大戦終戦直後の生活困窮者を救済する目的で、昭和20年代に制定された。

 福祉三法に、精神弱者福祉法(現:知的障害者福祉法)、老人福祉法、母子福祉法(現:母子及び父子並びに寡婦福祉法)を加えた6つの法律を福祉六法という

 福祉法は、いずれも、高度成長期を迎えた昭和30年代に成立した。制定の背景には、国民の暮らしが豊かになる中で社会的弱者が時代に取り残され困窮するといった状況があった。

 福祉関係八法改正以降、市町村への権限移譲が進んだ

 1990(平成2)年の福祉係八法改正により、老人・身体障害者の施設への入所措置権限などが都道府県から市町村に移譲された。その後、社会福祉法改正に伴い、知的障害者に対する措置権限も市町村に移譲されている。

 すべての国民を対象とした国民皆保険国民年金基金体制は、1961(昭和36)年に確立された

 国民皆保険は、1958(昭和33)年の国民健康保険法改正に伴い1961(昭和36)年に実現されたもので、すべての国民から何らかの公的医療保険に加入できるようになった。国民皆年金は、1959(昭和34)年の国民年金法成立によって実現したもので、すべての国民が何らかの年金制度に加入できるようになった。

 特別養護老人ホームは、創設時には「生活の場」ではなく「収容の場」と位置づけられていた

 1963(昭和38)年に創設された特別養護老人ホームは、創設時には、身体上または精神上の著しい欠陥があるために常時の介護を必要とする65歳以上の者を措置として入所させる「収容の場」であった。

 社会福祉事業法は2000(平成12)年に社会福祉法に改正・改称され、福祉サービスの利用制度化がはかられた

 社会福祉事業法では措置制度(サービス提供者である行政がサービスを決める)がとられていたが、社会福祉法では、利用者とサービス提供者の立場は対等であるとし、利用者が自分でサービスを選ぶことができる利用制度(契約制度)が原則となった。

 利用者が話したくない内容を無理に聞き出す必要はない

 コミュニケーション技法では、質問の内容や質問の仕方を工夫することが重要である。また、その質問に答えるかどうかは利用者が決める、ということを念頭に置いておく。

 昭和20年代に成立した児童福祉法、生活J保護法、老人福祉法の3つを福祉三法という。

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 福祉三法とは、戦後の昭和20年代に成立した、児童福祉法、身体障害者福祉法、生活保護法の3つをいう。

 社会福祉事業法では、サービスは利用者が選択する利用制度(契約制度)がとられている。

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 社会福祉事業法では、行政が福祉サービスを決める措置制度がとられていた。サービスは利用者が選択するとしているのは、社会福祉法である。


社会保障制度のしくみ

 わが国の社会保障制度は、①社会保障、②公的扶助、③社会福祉、④公衆衛生及び、医療、⑤老人保健に大別できる

わが国では、ライフサイクルの各場面において、次のような社会保障制度が整備されている。
◆社会保障制度の範囲と主な種類
 

社会保険は被保険者が支払う保険料を原資とし、防貧機能をもつ

 社会保険は、被保険者が支払う保険料を原資として保険事故に備えるもので、防貧機能をもつ。原則として強制加入で、被保険者資格を満たした場合には自動的に加入することになる。
*保険事故とは、保険者が被保険者に対して保険金や給付金の支払を行う事由となるできことのことをいう。

 公的扶助は、租税(税金)を原資とし、救貧機能をもつ

 公的扶助は、租税(税金)を原資として貧困者の経済的な生活支援と自立支援のために給付されるもので、救貧機能をもつ。具体的な制度として生活保護があり、セーフティーネットの役割を果たしている。

 国民健康保険の保険者は都道府県と市町村で、保険料は市町村ごとに条例で定める

  国民健康保険は、都道府県市町村が共同保険者で、保険料は市町村ごとの実績に応じて条例で定めることになっている。また、保険料の納付義務は世帯主にある。
 

 2008(平成20)年4月に創設された後期高齢者医療保険制度では、75歳以上の者(65歳以上75歳未満で広域連合が認めたものを含む)を被保険者としています。運営主体は、後期高齢者医療広域連騰で、すべての市町村が都道府県を単位として加入しています。

 労働者災害補償保険は、社会保険に含まれる。


 わが国の社会保障には、労働者災害補償保険のほか、医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険がある。


現代社会の動向

 わが国の障害者の総数は約937万人で、全人口の7.4%を占めている

 わが国の障害者の総数は、約937万人と推計されている。
   ◆在宅・施設(入院)別にみた障害者数◆

*平成28年度「生活のしづらさなどに関する調査:結果の概要」より

主な介護者の要介護者等との続柄をみると、「配偶者」が最も多い

 介護の状況における主な介護者の要介護者等との続柄の最新の調査である平成28年国民生活基礎調査によると、「配偶者」が25.2%を占めて最も多く、次いで「」が21.8%、「子の配偶者」が9.7%となっている。

 労働者災害補償保険は、社会保険に含まれる。


 わが国の社会保障には、労働者災害補償保険のほか、医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険がある。


介護保険制度

 介護保険法では、社会保険方式がとられている

 介護保険法は、高齢者の介護を社会全体で担うことを目的に、2000(平成12)年に施行された。介護保険法では、それまでの公的扶助に変わって社会保険方式がとられ、利用者本位のサービス提供を行うこととなった。

 わが国の社会保険には、医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険、労働者災害補償保険の5種類がある。

 介護保険の保険者は、市町村および特別区である

 介護保険の保険者は、市町村および特別区であり、保険者は要介護認定・要支援認定に関する事務や、介護保険の財政運営に関する事務などを行う。なお、保険に加入している者を、被保険者という。

 介護保険の被保険者には、第1号被保険者と第2号被保険者がある

◎第1号被保険者 ⇒ 市町村の区域内に住所がある65歳以上の者
◎第2号被保険者 ⇒ 市町村の区域内に
住所がある40歳以上65歳未満の者で医療保険に加入している者  

 第2号被保険者は、介護保険法に規定された特別疾病(16種類)により要支援・養介護状態になった場合に限り、保険給付の対象となります。

 保険料の徴収方法は、第1号被保険者と第2号費保険者で異なる

  第1号費保険者の保険料は、特別徴収または普通徴収される。

第2号被保険者の保険料は、加入している医療保険者が医療保険料と一体的に徴収する。

 要介護・要支援認定は、要介護認定基準に基づき判定される

  被保険者から認定申請があると、保険者は全国一律の要介護認定基準に基づいて、要介護・要支援認定を行う。要介護・要支援状態区分に応じて、介護給付や予防給付の支援限度額、施設給付などが認定されている。

 要介護状態区分は要介護1~5、要支援状態区分は要支援1~2に区分される

  要介護度は、段階に区分されている。要介護者は、居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービスを利用することができ、要支援者は、介護予防サービスや地域密着型介護予防サービスを利用することができる。要支援者は、施設サービスを利用することはできない。

 要介護認定の申請手続きは、事業者が代行できる

  要介護人認定を受けるには市町村に申請をしなければならない。本人、家族のほか、地域包括支援センター、省令に定められた指定居宅介護支援事業者介護保険施設が申請できる(代行申請)。

 要介護認定審査・判定は、介護認定審査会で行う

  

 介護認定に不服があれば、介護保険審査会に審査請求できる

  介護認定結果に不服がある場合は、都道府県に設置されている介護保険審査会に審査請求ができる。

 認定の効力は、その申請のあった日に遡る

  認定が行われた場合、その効力は申請時遡及し、認定申請時からサービスの利用がなされていた場合にも、保険給付の対象となる。

 要介護認定の有効期間は、市町村が必要と認める場合、短縮や延長ができる

  要介護認定の有効期間は、原則の認定有効期間が定められているが、介護認定審査会の意見に基づき市町村が必要と認める場合は、一定の範囲内で短縮延長ができる。

 介護保険の給付には、「介護給付」「予防給付」「市町村特別給付」がある

 介護保険給付には、介護給付予防給付市町村特別給付がある。介護給付は、要介護認定された保険者に対する給付である。予防給付は、要介護状態になるおそれがあると認定(要支援認定)された被保険者に対して、予防を目的に給付される。市町村特別給付は、保険者である市町村がそれぞれ独自に行う給付である。

 介護給付と予防給付は、保険料と公費で1/2ずつ負担する

  介護保険給付のうち、介護給付と予防給付の財源は、50%を被保険者からの保険料でまかなう。

公費の内訳
居宅給付 国
25%(20%が定率負担、5%が調整交付金)、都道府県12.5%、市町村12.5
施設等給付 国
20%(15%が定率負担、5%が調整交付金)、都道府県17.5%、市町村12.5

 介護保険の利用者は、サービス費用の1割、2割または3割を負担する

 介護保険の利用者負担割合は、介護保険制度創設時には一律1割だったが、2014(平成26)年の法改正により、一定以上の所得がある者は割になり、2017(平成29)年の法改正により、割負担者の中でもより高い所得がある者は割に引き上げられた。

 介護保険サービスの形態として、訪問系サービス、通所系サービス、入所系サービスがある

 介護保険サービスの形態には、居宅等に訪問してサービスを行う訪問系サービス、居宅等からサービス事業所に通ってサービスを受ける通所系サービス、介護保険施設等に入所してサービスを受ける入所系のサービスがある。
 そのほか、居宅介護支援、住宅改修、福祉用具(貸与、販売)が保険給付対象となっている。

 2017(平成29)年の介護保険法改正では、地域包括ケアシステムの深化・推進と介護保険制度の持続可能性の確保などに重点が置かれた

 2017(平成29)年の改正は、高齢者の自立支援と要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現を図るとともに、介護保険制度の持続可能性の確保などに重点が置かれた。

 居宅介護支援の指定権限は、市町村が持つ

 指定居宅介護支援事業者の指定・指導監督の権限は、2018(平成30)年4月より、都道府県から市町村へ移行した。

 介護医療院では、医療と介護を一体的に提供する

 2017(平成29)年の法改正により新設された介護医療院は、介護老人保健施設、介護老人福祉施設と同じ介護保険施設に位置づけられ、医療介護を一体的に提供する。

 共生型サービスは、介護保険障害福祉制度に位置づけられている

 2018(平成30)年4月に創設された共生型サービスは、障害者総合支援法、介護保険法、児童福祉J法にまたがるもので、同じ事業所を引き続いて利用しやすくなった。

 介護保険の保険者は、介護保険に関する収入及び支出について、特別会計を設ける

 介護保険の保険者は、介護保険における収入と支出に関して介護保険特別会計を設け、他の会計項目とは区別して管理しなけらばならない。ほかに、被保険者の資格管理、保険料徴収、要介護、要支援認定、保険給付(審査・支払)、事業者・施設の指定・指導・監督、地域支援事業及び保健福祉事業、市町村介護保険事業計画期)の策定などを行う。

 介護給付費審査委員会は、市町村から委託を受けて介護保険給付の審査・支払業務を行う

 国民健康保険団体連合会(国保連)は、国民健康保険事業の健全運営のために設置された公法人で、同連合会に置かれた介護給付費審査委員会では、市町村から委託を受けて介護保険給付の審査・支払業務を行っている。また、介護保険サービスの向上のため、介護保険事業者への指導・助言、介護サービスに関する苦情処理なども行っている。

 市町村介護保険事業計画は、市町村計画との整合性の確保を図る

 市町村介護保険事業計画は、①市町村老人福祉計画と一体で、②市町村計画と整合性の確保が図られ、③市町村地域福祉計画などと調和が保たれたものでなければならない。

 都道府県介護保険事業支援計画は、都道府県老人福祉計画一体のものとして作成する

 都道府県介護保険事業支援計画は、①都道府県老人福祉計画と一体で、②都道府県計画・医療計画と整合性の確保が図られ、③都道府県地域福祉支援計画高齢者住居安定確保計画などと調和が保たれたものでなければならない。

 都道府県は、3年を1期として都道府県介護保険事業支援計画を策定する

 都道府県は、都道府県介護保険事業支援計画策定のほか、介護保険審査会や財源安定化基金の設置、事業者や介護保険施設の指定等、介護サービス情報の公表などを行う。

 地域支援事業には、介護予防・日常生活支援総合事業包括的支援事業任意事業がある

 地域支援事業は、2014(平成26)年の介護保険法改正により下図のように再編され、介護予防・日常生活支援総合事業総合事業)についても、2017(平成29)年4月からすべての市区町村で実施されている。
 

 介護予防・生活支援サービス事業は、介護予防・日常生活支援総合事業の1つである

 介護予防・生活支援サービス事業は、訪問型サービス、通所型サービス、生活支援サービス、介護予防支援事業で構成されており、居宅要支援被保険者などを対象に提供する。

 市町村は、包括的支援事業を委託することができる

 市町村は、老人介護支援戦tナーの設置者などに対し、包括的支援事業の実施に係る方針を示して、包括的支援事業を委託することができる。この委託は、包括的支援事業を一括して行わなければならない。

 一般介護予防事業は、介護予防・日常生活支援総合事業の1つとして位置づけられている

 一般介護予防事業は、法改正により、介護予防事業から改称され、一次予防事業と二次予防事業の区分も廃止された。

 厚生労働大臣は、介護予防・日常生活支援総合事業の実施に係る指針を公表する

 厚生労働大臣は、介護予防・日常生活支援総合事業の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表する。

 認知症総合支援事業では、認知症初期集中支援チームなどが配置される

 認知症総合支援事業では、医療系・介護系の多職種からなる認知症初期集中支援チームや、認知症地域支援推進員(保健師・看護師等)が配置される。

 生活支援体制整備事業では、生活支援コーディネーターが配置される

 生活支援体制整備事業では、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し、地域におけるサービス提供体制の構築をコーディネートする。

 家族介護支援事業では、介護方法の指導等を行う

 家族介護支援事業では、在宅介護をしている家族等に対し、介護に関する知識・技術の習得や情報交換等を行う機会を提供し、家族の介護負担の軽減を図る。

 介護保険法では、社会保険方式がとられている。


 介護保険法では社会保険方式がとられ、利用者本位のサービス提供が行われる。

 介護保険の第1号費保険者の保険料は、医療保険料と一体的に徴収される。

×
 医療保険料と一体的に徴収されるのは、第2被保険者の保険料である。第1号費保険者の保険料は、特別徴収(年金からの天引き)または普通徴収(直接)である。

 要介護認定を受けるには、本人または家族が市町村に申請をしなければならない。

×
 要介護認定の申請手続きは、本人や家族のほか、地域包括センター、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設が代行申請することができる。

 介護保険の給付には、介護給付、予防給付、市町村特別給付がある。


 介護給付は要介護認定を受けた者への給付、予防給付は要支援認定を受けた者への給付、市町村特別給付は市町村が独自に行う給付である。

 2017(平成29)年の介護保険法改正により、利用者負担1割の者のうち特に所得の高い層の利用者負担割合が2割に引き上げられた。

×
 2017(平成29)年の介護保険法改正では、利用者負担2割の者のうち特に所得の高い層の利用者負担割合が3割に引き上げられた。

 市町村介護保険事業計画は、市町村計画と一体のものとして作成されなければならず、市町村老人福祉計画と整合性の確保が図られたものでなければならない。

×
 市町村介護保険事業計画は、市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなけらばならず、市町村計画と整合性の確保が図られたものでなければならない。

 介護予防・生活支援サービス事業は、介護予防・日常生活支援総合事業の1つとして位置づけられている。


 介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業は、介護予防・日常生活支援総合事業に位置づけられている。

 認知症総合支援事業では、生活支援コーディネーターが配置される。

×
 認知症総合支援事業では、認知症初期集中支援チームや認知症地域支援推進員が配置される。生活支援コーディネーターは、生活支援体制整備事業に配置される。


障害者総合支援法

 障害者総合支援法の体系は、自立支援給付地域生活支援事業で構成される

 障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)のサービス体系は、自立支援給付地域生活支援給付で構成されている。

 障害者(18歳以上の者)の定義には、難病疾患者も含まれる

 障害者総合支援法による障害者の定義は、①身体障害者、②知的障害者、③精神障害者(発達障害者を含む)④難病患者となっている。
  また、障害児(18歳未満の者)の定義は、①
身体に障害のある児童、②知的障害のある児童、③精神に障害のある児童(発達障害児を含む)となっている。
治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病で、障害の過程が厚生労働大臣が定める程度の者をいう

 介護給付を利用するためには、障害支援区分の認定を受ける必要がある

 介護給付を利用するまでの流れは次のとおり。

①申請手続き(居住地の市町村、居住地特例あり)
②認定調査(アセスメント調査、概況調査、特記事項)
③障害支援区分の認定(区分

④サービス等利用計画案作成(市町村に提出)
⑤支給決定(
障害福祉サービス受給者証の交付を受ける)
⑥利用の
契約締結(利用者が指定事業者・施設と契約する)

 給付対象となる補装具は、医師の診断書等に基づいて使用されるものでなければならない

  ●給付対象となる補装具の3つの要件

障害個別に対応して設計・加工されており、身体の欠損もしくは損なわれた身体機能を
 補完代替するもの
②身体に装着して日常生活・就労・就学に使用するもので、同一製品を継続して使用するもの
医師などの診断書や意見書に基づいて使用されるもの

 相談支援には、基本相談支援地域相談支援計画相談支援がある

  相談支援事業の種類としては、一般相談支援事業と特定相談支援事業に区分されており、一般相談支援事業では基本相談支援と地域相談支援を行い、特定相談支援事業では基本相談支援と計画相談支援を行うことになっている。

 介護給付や訓練等給付を利用するためには、障害程度区分の認定を受ける必要がある。

×
 従来の障害程度区分は、障害者総合支援法の改定により障害支援区分に定められた。


介護実践に関する諸制度

 国民生活センターは、消費者問題における中核的機関としての役割を果たしている

 国民生活センターは消費者庁が管轄する独立行政法人で、消費者基本法に基づき、国や全国の消費生活センター等と連携して、消費生活相談などの情報を収集する。収集した情報を消費者被害の未然防止、拡大防止に役立てるほか、商品テストや専門相談、教育研修、生活に関する調査研究を実施している。

 消費生活センターでは、消費生活全般に関する消費者からの相談を受け付けている

 消費生活センターは都道府県市町村の消費者行政機関であり、消費生活全般に関する消費者からの相談を専門の相談員が受け付けている。また、国民生活センターと連携して消費者からの情報を提供したり、商品テスト、苦情処理などを行っている。なお、誰もがアクセスしやすい相談窓口として、消費者ホットライン(局番なしの188)が開設されている。

OnePoint…
国民生活センターと、消費生活センターの違いを理解する。

 クーリングオフ制度により、契約後、一定の期間内であれば無条件で契約を解除できる

クーリングオフ制度では、一定期間内に消費者が申し出ることで契約を解除できるが、対象となるのは、通信販売を除く特定商取引法の対象取引(訪問販売、電話勧誘販売、マルチ商法)、特定継続役務提供(エステティックサロン、英会話教室など)、クレジット契約、生命・損害保険契約などで、自らの意思で店舗に出向いて購入した場合は、原則として対象とならない。

 バリアフリー新法は、ハートビル法交通バリアフリー法を統合して制定された

 2006(平成18)年に、ハートビル法、交通バリアフリー法が統合されて、バリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)が制定された。この法律は、建築物・道路・交通機関を一体としてとらえて、それらのバリアフリー化を図ることを目的としている。
 

 個人情報保護法は、個人の権利と利益の保護を目的とした法律である

 個人情報保護法は、個人の権利と利益を保護するために、個人情報取扱事業者に対して個人情報の取扱い方法を定めている。個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、その情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものや、個人識別符号をいう。

 個人識別符号とは、特定の個人を識別できる文字・記号・符号などのことでマイナンバーのほか、パスポート番号、基礎年金番号、免許証番号などが含まれる。

 個人情報取扱事業者は、個人情報の利用目的をできる限り特定しなければならない

 個人情報取扱事業者には、利用目的の特定、適正な取得、利用目的の通知・公表、安全な管理、従業員・委託先の監督、第三者提供の制限、保有個人データの開示等が義務付けられ、利用目的を変更する場合、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。

 育児・介護休業法では、介護休業制度、育児休業制度、看護休暇制度などを設けている

 育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に基づく子の看護休暇は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、1年度において労働日(子が2人以上の場合は10労働日)を限度に、1日または半日単位で取得することができる。

 看護休暇については、2021(令和3)年1月より、1時間単位での取得が可能となります。

 別居の祖父母、兄弟姉妹、孫は、介護休業の対象となる家族に含まれる

 介護休業は、不詳や疾病などにより、週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族の介護や日常生活上の世話をするためのものである。対象家族には、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫が含まれる。介護休業の期間は、対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに通算93日まで回を上限として分割して取得できる。
※祖父母、兄弟姉妹、孫については、同居・扶養要件が撤廃された。

 生活保護法の目的は、最低限度の生活の保障と自立の助長である

 「生活保護法」第1条に述べられている。生活保障だけでなく、自立を助けることも目的であるところに注意する。

 生活保護は、世帯単位で行われる

 生活保護を受けるための要件として、世帯員全員が、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提となっている。

 収入が最低生活維持に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が生活保護費として支給される

 厚生労働大臣が定め
る基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から
収入を差し引いた差額が保護費として支給される。

 生活保護は、「4つの基本原理」に基づき、「保護の4つの原則」に則って行われる

 

 生活保護には、生活扶助、医療扶助、教育扶助など8種類がある

 生活保護は、保護の4つの原則に則り、以下の8種類の扶助から必要なものを給付する。④介護扶助と⑧医療扶助は原則として現物給付であり、ほかは金銭給付となっている。

 介護扶助の範囲には、居宅介護、福祉用具、住宅改修などが含まれる

 介護扶助の支給範囲には、①居宅介護、②福祉用具、③住宅改修、④施設介護、⑤介護予防、⑥介護予防福祉用具、⑦介護予防住宅改修、⑧移送が含まれる。介護扶助は、原則として現物給付の方法で支給されるものである。ただし、福祉用具、住宅改修、介護予防福祉用具、介護予防住宅改修については、金銭給付の方法によって支給される。

 就労自立給付金は、保護からの脱却を促すための給付金である

 就労自立給付金は、安定した職業に就くことにより保護からの脱却を促すための給付金として創設された。就労自立給付金は、安定した職業に就いたことにより保護を必要としなくなったと認めた者に対し、保護給付中の収入認定額の範囲内で仮想的に積み立て、保護脱却時に一括支給される。

 消費生活センターは消費者庁が管轄する独立行政法人で、消費者問題における中核的機関としての役割を果たしている。

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 消費者庁が管轄する独立行政法人で消費者問題における中核機関としての役割を果たしているのは、国民生活センターである。

 ハートビル法と交通バリアフリー法が統合されて、バリアフリー新法が成立した。


 2006(平成18)年に、ハートビル法と交通バリアフリー法が統合されて、バリアフリー新法が設立した。

 生活保護法の目的の1つに、「自立を助けること」がある。


 生活保護法の目的には、「生活保障」だけでなく、「自立を助けること」がある。

 保護の補足性の原理では、生活保護法を優先し、十分な場合にほかに定める扶養等を祖速的に用いる。

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 生活保護法を補足的に用いる。