対策教室

領域Ⅲ:こころとからだのしくみ


障害の基礎

 国際生活機能分類(ICF)は、医学モデル社会モデルの統合モデルである

 医学モデルは、障害を病気や外傷などから直接生じる個人の問題ととらえ、医学的な支援(治療)を重視するものである。
 対して、
社会モデルは、障害を社会的な環境によって作り出された問題とみなし、社会への参加を社会全体の責任であると考え、政治的な解決を重視する。
 ICFモデルはこの対立する考えを統合したもので障害者福祉で活用されるようになってきている。

 国際生活機能分類(ICF)は、国際障害分類(ICIDH)の改訂版である

 ICFは1980(昭和55)年にWHOが作成したICIDHに改訂版で、2001(平成13)年に採択された。
 ICFでは障害をマイナス面からではなく、生活機能というプラス面を見る視点から分類している。生活機能を、
心身機能身体構造活動参加の3側面からとらえ、すべての側面が相互に関係しあう相互作用モデルであり、統合モデルであるといえる。

 障害者基本法上、障害者とは、障害のために継続的に生活に相当な制限を受ける者である

「障害者基本法」第2条において、「障害者」とは、「身体障害知的障害精神障害発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」と定義されている。
 障害者基本法によって、初めて
精神障害者が障害者施策の対象であることが法律上に明記された。

 身体障害者福祉法上、身体障害者とは身体障害者手帳の交付を受けた者である

 身体障害者とは、「身体上の障害がある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた者をいう」と、定義されている(身体障害者福祉法4条)

 身体障害者手帳には、障害の程度によって、1~6級の等級がある

 障害程度は、身体障害者障害程度等級により級に分類されるが、身体障害者手帳は、級に該当するものが受けることができる(級の障害が2つ以上重複してある場合は級となる)。
 障害の程度は、
級が最も重度で、級が最も軽度である。

 療育手帳は、都道府県が交付する

 療育手帳は知的障害児・者に交付される。児童相談所(18歳未満)または知的障害者更生相談所(18歳以上)において知的障害と判定された場合に、都道府県知事または政令指定都市または中核都市の市長から交付される。
 手帳には障害の程度が記載され、原則として
2年ごとにその判定を行うことになっている。

 精神障害者保健福祉手帳は、1~3級までの区別がある

 「精神障害者保健福祉手帳」は、精神障害者の自立と社会参加を支援するために、1995(平成7)年に精神保健及び精神障碍者福祉に関する法律(精神保健福祉法)で規定された。
 障害の程度により
級に分かれる。また、この手帳の有効期間は年である。精神障害者保健福祉手帳などの障害者手帳には、写真が貼付される。

 内部障害は外見からはわかりにくく、理解が得られにくい

 身体障害者福祉法に定められている内部障害は、体の内部に障害があるもので、心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸器機能障害、肝臓機能障害、膀胱直腸機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害の7つがある。
 外見がわかりにくいため、周囲の理解と配慮が必要である。

 国連は、1975(昭和50)年に、障害者の権利宣言を採択した

 1975(昭和50)年、国連において、知的障害、精神障害、身体障害すべての障害者の権利宣言が採択され、障害者は人として尊重される権利を生まれながらにしてもっていること、障害を理由に差別されないこと、可能なかぎり普通の生活を送ることができる権利をもっている、ということが示された。

 わが国は、2014(平成26)年1月、障害者権利条約を批准した

 障害者権利条約は、2006(平成18)年12月に採択され、2008(平成20)年5月に発効した。
 我が国は2007(平成19)年9月に署名し、その後、
障害者基本法障害者差別解消法の成立により、国内の法律が条約の水準に達したとして2013(平成25)年12月に参議院本会議で条約の批准を承認し、2014年(平成26)年1月20日付で批准した。

※批准(ひじゅん)……条約に対する国家の最終的な確認、確定的な同意

 障害者基本計画は、障害者のための施策の最も基本的な計画として位置づけられる

 障害者基本計画は、障害者基本法第11条第1項に基づき、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定される。
 2018(平成30)~2022(令和4)年度の5年間は第4次計画となる。

 精神保健福祉法で定義する精神障害者には、知的障害者が含まれている

 精神保健福祉法では、精神障害者を「総合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者」と定義している。
 定義上、知的障害を含んでいるが、知的障害者は、
精神障害者保健福祉手帳の対象にはならない。

 精神障害者は、障害者基本法で定義する障害者の対象には含まれない。

×
 障害者基本法において、障害者とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者と定義されている。

 療育手帳は、知的障害児・者に交付される。


 療育手帳は、知的障害児・者に対して都道府県が交付する。

 障害者の権利宣言には、障害者は人として尊重される権利を持っていることなどが示されている。


 他に、障害を理由に差別されないこと、可能な限り普通の生活を送ることができる権利をもっている、ということが示されている。


身体障害

 脊髄の損傷で神経伝導路が切断されると、下位の神経は機能しない

 外傷や腫瘍などのために脊髄損傷が起きると、損傷を受けた部位より下位の神経が機能しなくなる。
 例えば、腰髄を損傷した場合は、下肢の麻痺と
排尿排便障害に加えて、体幹と上肢の麻痺が生じる。

 関節リウマチは自己免疫疾患で、40~50歳代の女性に多く発症する

 関節リウマチは4050歳代の女性に多く発症する自己免疫疾患で、介護保険の特定疾患となっている。炎症は小さい関節から始まり、次第に大きい関節へと広がるが、自助具や福祉用具の使用によって、生活の自立度を上げることができる。

 関節リウマチの症状は朝強く、季節や天候にも左右される

 関節リウマチの特徴として、朝起きたときの手足のこわばりが強いこと、寒い季節や低気圧によって症状が悪化することが挙げられる。
 また、精神的な
ストレス、感染症、高い湿度などによっても悪化する。

 頚髄損傷者の場合、体温調節機能の障害を伴うことが多い

 頚髄を損傷すると、体温調節機能に障害を受ける。このため、外気温が変動すると体温も変動してしまうので、室内温度の管理が重要である。

 脊髄損傷では褥瘡予防を心がける

 脊髄を損傷すると、下肢の麻痺、さらに体幹や上肢の麻痺が生じるので寝返りを打つことが困難になり、褥瘡が発症しやすい。褥瘡はできてしまうと悪化しやすいので、定期的な体位変換をするなど、極力予防を心がける。

 脳性麻痺では、身体状況は変化しても、脳の病変は進行しない

 脳性麻痺は、受胎から生後週間までに起きた脳の病変による運動・姿勢の異常である。原因となっている病核は、低体重や仮死、黄疸などによる非進行性のものである。ただし、身体状況は成長(加齢)に伴って変化する。

 脳血管疾患後遺症の片麻痺は、脳が損傷を受けた場所の逆側に起きる

 右脳に出血や梗塞による損傷が起きた場合は左片麻痺、左脳に損傷が起きた場合は右片麻痺が生じる。
 右片麻痺、左片麻痺ともに、麻痺側の感覚機能の障害、筋力の低下、筋の緊張等が起きて
歩行障害が起きる。

 脳卒中の後遺症では麻痺側の筋緊張が強まることが多い

 中核神経の麻痺では、痙性麻痺という。突っ張った状態になる麻痺が起きやすい。

 脳卒中後遺症は、どちら側の麻痺かによって、その他の障害の見当がつきます。
 右側麻痺ならば
失語症、左側麻痺ならば空間認識障害を持つことが多いのです。

 視覚障害は、視力と視野の両面から障害認定する

 視力障害は、身体障害者障害程度等級表において、視力視野それぞれの程度別に障害の等級が定められている。
 同じ等級に重複して障害がある場合は、
1つ上の障害等級になる。例えば、視力・視野共に4級の障害程度であれば、視覚障害3級と認定される。
 視覚障害には、
弱視ロービジョン)の2通りがあり、障害程度等級は級まである。

 視覚障害者をいすに誘導する場合、いすの近くに来たら背もたれに手を移す

 視覚障害者をいすに誘導する場合には、近くまでは、通常のガイドヘルプ手引き歩行)の方法で誘導する。近くに来たら、利用者の手をいすの背もたれやひじ掛けなどに移し、利用者が自分でいすの形や大きさ、座面の位置などを確かめてから座るようにする。

 点字は、凸部を左から右になぞって読む

 点字は、視覚障害者が指先の感覚を使って読む字である。個の点の組合せで表示され、読み方はからへと読むようにできている。

 部屋の様子は、入口など基点を決めて説明する

 視覚障害者に部屋の様子を説明するときには、位置関係を想定しやすいように入口などを基点に決めて、そこからの位置を説明する。

 ガイドヘルプの際、視覚障害者に介護従事者の肘の上または肩を軽く握ってもらう

 ガイドヘルプの際、視覚障害者に介護従事者の肘の上または肩を軽く握ってもらい、介助従事者は半歩前を歩く。白状を利用している場合は、白状を持つ手の反対側に立つ。

 視覚障害者に対しては、室内だけで過ごさず、安全に外出ができるよう介助する

 視覚障害者は、屋外に出ると不安が大きいために、閉じこもりやすい。しかし、できる限り介護従事者が介助し、ノーマルな社会参加ができるように支援する。

 先天性視覚障害では、バーバリズムが生じやすい

 先天性視覚障害者の場合、具体的なイメージを持つために必要な生活体験が欠け、言葉がひとり歩きして物事の生活な理解が困難になる。これをバーバリズム唯言語主義)という。

 加齢黄斑変性症は、成人の主な失明原因の1つである

 加齢性黄疸変性症は網膜の中心にある黄疸に病変が起きる疾患で、進行すると視野の中心が欠損する。近年、わが国でも増加している。

 高齢者の難聴感音性難聴が多く、補聴器の効果は低い

 難聴には、伝音器(外耳から中耳)の障害で補聴器の効果がある伝音性難聴と感音器(内耳より奥)の障害で補聴器の効果が低い感音性難聴がある。
 高齢者の難聴は
感音性難聴で補聴器の効果が低く、薬剤も有効でない。しかし、他に有効な方法がないので、補聴器をよく調整して用いる。

 聴覚障害者本人に情報が理解されていないことも多いので、確認をする

 聴覚障害者の場合、耳から情報が入らない分を他の手段で補うので、介護従事者としては、情報が理解されているか否かを確認した方がよい。その際には「はい」「いいえ」で答えるクローズド・クエスチョン閉じられた質問)を用いる。

 言いたい内容が言葉に出来ない状態を、運動性失語という

 失語症は、脳の言語領域の損傷のために、以前は持っていた言語能力を失い、言語表現ができなくなったり、言語の理解ができなくなったりする疾患である。そのうち、運動性失語ブローカ失語)は、他人の言葉は理解できるが、自分で言語表現ができない状態をいう。

 感覚性失語症の人には、大きな声で話しても効果はない

 感覚性失語ウェルニッケ失語)は、失語症のうちで、言葉の意味がわからなくなる状態をいう。相手の話の意味がわからず、本人も言葉の発言は流暢であるが、言っている内容は支離滅裂になる。したがって、大きな声をだしても効果はない。

 構音障害の利用者に対しては、発音を訂正させたりしない

 構音障害とは、脳の言語領域の損傷ではなく、言語の発生に必要な器官の運動機能の低下や麻痺があるために、正しく発音できない状態をいう。発音が不明瞭で上手に話せないことに利用者自身が傷ついているので、介護従事者は発音を直させるなど自尊心を傷つけるような働きかけをしないように気をつける。

 言語によるコミュニケーションが難しい場合は、図や絵写真なども使い、読話で話が理解されないときは表現を工夫する

 視覚障害や言語障害の様に、言語によるコミュニケーションが難しい場合は、筆談のほか図や絵、写真など、道具を用いてコミュニケーションを図り、表情豊かに接することで補う。
 
読話は、読み取りにくいこともあるので、話を理解できないような場合には、同じ表現をただ繰り返すのではなく、別の言い方をするなど表現を工夫する。

 心臓機能障害便秘になりやすいので、食事や排泄に注意する

 心臓機能障害者は、塩分制限だけでなく、水分制限や運動制限を受けるために、便秘になりやすい。排便のためにいきむことは心臓の負担になるので、食物繊維を豊富に含む食材を選ぶなどの工夫をし、便通に注意する。

 体位ドレナージは、さまざまな体位に移動することによって、効率的に痰の喀出を促進する

 体位ドレナージは、さまざまな体位に移乗することによって、効率的に痰の喀痰を促す方法であり、痰吸引を実施する際に必要に応じて行うことが大切である。
 また、長期療養で気管切開や気管挿管を受けている者に対しては、自力で気道内の分泌物を喀出できない場合も多いので、適宣、
痰吸引の実施によって気道を確保する。

 腎機能障害者が行う人工透析には、血液透析腹膜透析がある

 人工透析は、腎臓の機能を代行して人工的に血液を浄化する治療法で、血液透析と腹膜透析がある。

 人工肛門が小腸に近い場所にあると、水様便になりやすい

 人工肛門(消化管ストーマ)は、直腸がんや大腸がん等の手術で肛門が失われた場合に造設される。人工肛門は小腸に近い位置にあるほど水様便になる。

 尿路ストーマの使用者は、入浴時に適切な装具を装着する

 尿路ストーマとは、人工膀胱の排泄口のことである。
 尿が常に流れ出ている状態なので、入浴時には
パウチを装着して尿漏れを防ぐ。また、感染症になりやすいので注意する。

 呼吸器機能障害者の入浴は、半身浴がよい

 呼吸器機能障害の場合、全身浴では水圧が胸部にかかり呼吸器に負担になる。したがって、胸部の下までの半身浴が望ましい。
 なお、心臓機能障害者も同様の理由から半身浴が望まれる。

 呼吸器機能障害者の居室は、乾燥しないように留意する

 呼吸器機能障害の場合、居室乾燥していると咳が出やすくなり呼吸困難につながる恐れもある。このため、加湿器などを用いて乾燥を防ぐことが必要である。

 在宅酸素療法(HOT)は、呼吸器機能障害者の在宅療法を可能にした

 在宅酸素療法(HOT)が開発されたことにより、従来は入院していた呼吸器機能障害者の退院、在宅療法が可能になった。
 
医師の指示のもとに管理し、酸素の量は医師が判断するため、自分で調節してはならない。酸素ボンベは、爆発の恐れがあるため火気厳禁である。

 脊髄損傷では、損傷を受けた部位よりも下位の神経が機能しなくなる。


 腰髄を損傷した場合は下肢に麻痺が生じ、頸部を損傷した場合は体幹、上肢、下肢に麻痺が生じる。

 脳血管疾患の後遺症による片麻痺は、脳が損傷を受けた場所の逆に生じる。


 右脳が損傷した場合は左片麻痺、左脳が損傷した場合は右片麻痺が生じる。

 点字は、右から左へと読むようにできている。

×
 点字は、左から右へと読むようにできている。

 高齢者の難聴は、一般的に伝音性難聴であることが多い。

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 感音性難聴が多い。

 運動性失語では、自分で言語表現できるが、他人の言葉が理解できない。

×
 他人の言葉は理解できるが、自分で言語表現ができない。

 血液透析は、装置を介して医療機関で行う人工透析である。


 一方、腹膜透析は、自身の腹膜を介して自宅等で行う人工透析である。

 在宅酸素療法(HOT)を実施している呼吸器機能障害者にとって、空気の乾燥は厳禁である。


 居室が乾燥していると咳が出やすく、呼吸困難のおそれもあるので、加湿器などで乾燥を防ぐことが必要である。


知的障害

 知的障害者の診断は、知能指数だけでなく、社会適応力など総合的に行われる

 的障害者は、一般的には、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)に現れ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」と定義されている。
 知能指数だけでなく、
社会適応力学習能力など総合的な見地から診断される。

 知的障害者に対しては、本人の興味や意欲を理解し、良好な人間関係を築いて支援する

 知的障害者は知性で物事を判断することが苦手であるが、感受性は豊かである。自分の感情をうまく表現することは困難であっても、感情そのものは敏感であるので大切にする。
 生活を援助するためには、本人の能力を引き出すことが大切である。そのためには、本人の
趣味意欲を大切にして物事に関わるように支援する。また、良好な人間関係を作れるように支援して社会適応能力を伸ばす。

 知的障害者は、知性で物事を判断することが苦手で、感受性も乏しい。

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 知的障害者は、知性で物事を判断することが苦手だが、感受性は豊かである。


精神障害(発達障害)

 成人期には、アルコール依存症が生じやすい

 成人期に起こりやすい精神的な問題としては、アルコール依存症、うつ病、燃え尽き症候群などがある。
 
アルコール依存症は、ストレス解消などを目的として飲酒が続いたために、アルコールの摂取なしには精神的・身体的に正常を保てなくなるものである。社会生活を営めなくなったり、家庭崩壊の原因になるなど、重大な問題を生じやすい。

 子供の独立などにより生きがいを失い虚脱状態に陥るものを、空の巣症候群という

 空の巣症候群は、子育てを終えた40代後半から50代の女性に多くみられるもので、母親としての役割をなくした喪失感や、生きがいを失った虚無感を覚えて、うつ状態になる。身体的な症状として、頭痛、肩こり、吐き気、食欲低下、不眠、胸苦しさ、疲れやすい、便秘などがみられることもある。

 老年期うつ病は、抑うつ症状が目立たないという特徴がある

 老年期のうつ病は、若年期に比べて不安焦燥感が強く現れることが多いが、抑うつ症状(気分の落ち込み)は目立ちにくい傾向にある。
 また、老年期うつ病は頭痛や肩こりなどの
身体症状を伴うことが多く、生活環境の変化が発症のきっかけになるケースもみられる。

 総合失調症の症状には、陽性症状陰性症状がある

 総合失調症の症状は、陽性症状陰性症状に分けられる。
陽性症状:幻聴、妄想、滅裂思考、奇異な行動など
陰性症状:感情鈍麻、無気力、自発性の低下など

 総合失調症は、10代の思春期から中年期までに発症するものがほとんどです、40代以降に発症することは極めて少なく、遅発性総合失調症として、若年で発症するものと区別されます。

 不安障害には多くの種類があり、不安や恐怖が過剰となって日常生活に支障をきたす

 ◆主な不安障害

 高齢者の妄想障害では、妄想の対象が特定の身近な人物であることが多い

 高齢者の妄想性障害では、妄想の対象が特定身近な人物であることが多く、具体的な人名をあげることがある。また、高齢者の妄想性障害では、妄想の対象に対して強い攻撃性を示すことが多いが、実際の行動として攻撃することは少ない。

 高齢者のアルコール依存症は、若年発症型老年発症型に分けられる

 高齢者のアルコール依存症には、若年期に発症して老年期まで続いた若年発症型と、老年期に初めて発症した老年発症型がある。
 若年発症型では、アルコール依存の
家族歴遺伝の影響が大きく、老年発症型では、身体の老化、近親者の喪失体験、環境の変化などが大きく影響する。

 高次脳機能障害の症状には、遂行機能障害社会的行動障害などがある

 高次脳機能障害の場合には、遂行機能障害、社会的行動障害、注意障害、半側空間無視、記憶障害などの症状がみられる。

 心身症は、心理的な原因により症状が身体面に現れる

 心身症は、ストレスなどの心理的な要因で自律神経や内分泌機能のバランスが崩れ、胃潰瘍、高血圧症、ぜんそくなどの身体症状を起こすものである。

 双極性障害(気分障害)とは、躁病うつ病を示す疾患である 

 双極性障害(気分障害)は、気分が高揚した躁病と、気分が沈んだうつ病を示す疾患で、老年期ではうつ病が見られることが多く、治療として抗うつ薬が投与される。

 幻覚・妄想は、否定せず受け入れる 

 介護従事者は、幻覚や妄想を頭から否定するのではなく、その利用者にとっての事実としてとらえ、利用者の世界を傷つけないようにゆっくりと話を聴く。

 自閉スペクトラム症は、広汎用性発達障害を連続的にとらえた概念である 

 DSM-5では、アスペルガー症候群などの下位診断分類をなくし、広汎用性発達障害を連続的にとらえた概念である自閉スペクトラム症(自閉スペクトラム障害)という診断名に統合された。

 学習障害(LD)は、特定の能力に困難さをもつ障害である

 基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く話す読む書く計算する、推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指す。

 注意欠陥多動性障害(AD/HD)の症状の1つに、衝動性がある

 注意欠陥多動性障害(AD/HD)の症状には、衝動性、極端な多動、注意力の障害などがある。
 
衝動性は、欲求が満たされない場合に示すことが多い。

 生活環境の変化が、老年期うつ病の発病のきっかけになることがある。


 老年期うつ病では、抑うつ状(気分の落ち込み)は目立ちにくく、頭痛や肩こりなどの身体症状を伴う傾向がある。

 高次脳機能障害では、記憶障害は起こらない。

×
 高次脳機能障害では、記憶障害が起こりやすく、日常生活に支障をきたしやすい。

 学習障害(LD)は、全般的な知的発達に遅れはない。


 学習障害(LD)は、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの能力のうち特定のものの習得が困難であるが、全般的な知的発達に遅れはない。


難病

 厚生労働省が指定した「指定難病」は、難病医療費助成の対象となる

 難病医療費助成制度は、2014(平成26)年に公布された難病法に基づいている。
 難病は、①発病の構造が明らかでない、②
治療方法が確立していない、③希少な疾患である、④長期の療養を必要とする、という4つの条件を満たすものとされるが、指定難病にはさらに、⑤患者が一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと、⑥客観的な診断基準が成立していること、という2つの条件が加わっている。
 医療費助成の対象となるものは、
指定難病のうち重症度分類等で一定程度以上のものである。

 パーキンソン病では、振戦無動固縮姿勢反射障害が現れる

 パーキンソン病では、安静時振戦(手足が振るえる)、無動(動きが鈍くなる)、固縮(手足がこわばる)、姿勢反射障害(倒れやすくなる)が現れ、これらの症状によって、仮面様顔貌(かめんようがんぼう)、小声・小書字、屈曲姿勢、小刻み歩行など、パーキンソン症状といわれる運動症状が生じる。

 パーキンソン症状はパーキンソン病に特有のものではなく、神経変性疾患(多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質底核変性症、レビー小体型認知症)などでも生じます。

 筋萎縮型側索硬化症(ALS)では、知的能力は障害されにくい

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、初期には手足などの筋力が低下し、進行すると全身の筋肉が低下して呼吸困難となるが、知的能力は障害されにくい。

 脊髄小脳変性症では、運動失調がみられる

 脊髄小脳変性症では、小脳などの変性により平衡感覚が障害され、小刻み歩行などの運動失調を起こす。また、排尿障害、起立性低血圧、発汗障害などもみられる。

 全身性エリテマトーデス(SLE)は原因不明の自己免疫疾患で、女性に多く発症する

 全身性エリテマトーデス(SLE)は原因不明の自己免疫疾患で、女性に多くみられる。全身の様々な臓器に障害を起こしやすく、特に腎炎から腎不全を起こすことがある。


障害者受容と心理

 障害の受容には、時間がかかる

 障害の受容過程は、①障害を知ったショック期→②障害を否定したい否認期→③苦悩と混乱期→④解決への努力期→⑤受容期と分けられる。しかし、このプロセスは「行きつ戻りつ」であり、一本調子に進むものではない。

 障害受容の困難さは、必ずしも障害の程度とは一致しない

 障害をどのように受容できるかは、個々の価値観・人生観による部分も大きいので、個人差が大きい。障害の程度が軽ければ需要が容易である、というものではない。

 障害者のリハビリテーションへの動機づけには、まず情緒的な安定を図る(全人間的復権)

 障害者がリハビリテーションを行う意欲を高めるには、まず、カウンセリングなどで、情緒的な安定を図る。そして、失った機能を嘆くよりも残存機能を生かすことを考えるように支援する。

 中途障害者との関わりにおいては、適応機制防衛機制)について理解する

 中途障害者は、障害を受け入れることが困難であり、自我が傷つかないようにさまざまな適応機制防衛機制)を働かせてそれまでの自分を保とうとすることがある。

 障害受容の困難さは、障害の重さと必ずしも一致しない。


 障害の受容には、個々の人の価値観や人生観なども大きく影響するため、障害の程度が軽いからといって容易であるとはいえない。