対策教室

領域Ⅱ:介護


生活支援の概要

 生活動作は、ADL(日常生活動作)とIADL(手段的日常動作)に分けられる

 ADL(日常生活動作)とは、整容、更衣・移乗・食事・排泄・入浴などを行う生活上の基本的な営みである。
 IADL(手段的日常生活動作)とは、道具や手段を使って実現が可能な、家事、社会参加、人間関係の維持・構築、経済活動、文化活動などのより複雑で社会的な営みである。

 ICF(国際生活機能分類)の視点に立ち、生活機能が向上するよう生活支援を行う

 ICFモデルの視点では、「身体的不利がある」というところから出発するのではなく、「心身機能や身体構造が健康状態や環境、活動、参加との関係でうまく機能していない状態である」と考える。うまく機能させるためには、心身機能や身体構造と相互に作用するよう有効な働きかけが必要であり、それによって利用者がその人らしい、自立した生活を営むことができる。

 利用者に、社会的役割生きがいを与えるような支援をする

 社会的役割を自覚することができないと、日常生活が無気力になりやすい。介護福祉職は、利用者が積極的に社会参加し、レクリエーションや趣味などの活動を通して生きがいを感じて生活できるよう支援する。

 食事や住環境を、利用者が楽しめるように援助する

 介護福祉職には、日常生活行為だけでなく、利用者の生活全般を支援することが求められる。したがって、食事もただ食べさせればよいのではなく、利用者の好みに合い、栄養的にもバランスが取れ、食事の雰囲気を楽しめるものにすることが大切である。住環境についても利用者の居心地のよさを大切にする。

 ADL(日常生活動作)には、社会参加が含まれる。

×
 社会参加は、IADL(手段的日常生活動作)に含まれる。


住宅環境整備と福祉用具

 利用者の身体状況に応じて居住環境を整え、事故の防止や、生活動作の自立を促す

 住環境の整備は、利用者の身体状況に応じて行うことが求められる。整備のポイントとしては、転倒・転落などの家庭内事故を防止すること、ADL(日常生活動作)が自立しやすいような支援であること、福祉用具が使いやすい環境にすること、社会参加の支援につながるものであることなどが挙げられる。

 誰にでも使いやすく設計されたものを、ユニバーサルデザインという

 ユニバーサルデザインとは、障害や能力にかかわらず誰にでも使いやすいように設計されたものを意味し、バリアフリーの考え方の普及によって広がった。

ユニバーサルデザインの7原則
 ①どんな人でも公平に使えること
 ②自由に使えること
 ③使い方が簡単で、すぐにわかること
 ④必要な情報がすぐにわかること
 ⑤うっかりミスが
危険につながらないこと
 ⑥
弱い力でも使えること
 ⑦利用するための十分な大きさと空間を確保すること

 生活空間とは、利用者が生活を営む場のことである

 ●安全で心地よい生活の場をつくるためのポイント

 部屋を冷房するときは、外気との差を7℃以内室温25~28℃を目安とする

 居室の温度と外気の差が大きすぎると、外出時などに体が適応できず体調を崩しやすい。したがって、暑い時期であっても、外気との温度差は7℃以内に抑え、室温は25~28℃とすることが望ましい。また、冷気は床にとどまるので、足元が冷えないようにする。

 要介護度の悪化や転居した場合には、住宅改修費の給付を再度受けることができる

 過去に支給限度基準額まで住宅改修費の給付を受けていても、要介護者の要介護度が段階以上になった場合や、転居した居宅に住宅改修が必要な場合には、再度、給付を受けられる。

 トイレや浴槽のドアは、開き戸より引き戸折れ戸がよい

 トイレや浴室のドアが内開きであると、利用者が中で転倒してしまったような場合に、利用者の身体がつかえてドアを開けられないことがある。また、開き戸よりも引き戸のほうが操作が楽で車いすにも対応しやすいので、トイレや浴室のドアは引き戸折れ戸がよい。
 

 洗面所浴室トイレは、利用者の居室に隣接していることが望ましい

 洗面所・浴室・トイレは、生活上必ず使うところであるため、利用者の居室に隣接し、移動に時間と労力がかからないことが望ましい。
 

 受託改修費の支給は、事前申請制を採用している

 住宅改修費の支給を受けるには、住宅改修を行う前に住宅改修費支給申請書、住宅改修が必要な理由書、工事費見積書などの必要書類をそろえて市町村に申請する。
 住宅改修費対象工事は、
手すりの取り付け、段差解消、床材の変更、の取替え、便器の取替え(便器の向きや変更なども含む)に大別される。また、扉の取替えに伴う壁や柱の改修工事も支給対象となる。

 

 福祉用具は利用者の自立を支援し、介護従事者の負担も軽減する

 福祉用具を使えば、利用者はそれまでは介助されていた動作の中で自分でできることが増え、介護従事者の負担も軽減する。つまり、福祉用具は利用者の自立を支援すると同時に、介護従事者の介護負担も軽減するのである。

 上肢を活用した移乗介助に使用する福祉用具として、スライディングボードがあげられる

 下半身麻痺などで、立位保持はできないが一部介助で移乗ができる場合には、スライディングボードを用いて滑りやすくすると、残存能力を生かした介護をしやすい。

 関節に拘縮痛みがある場合、補高便座を用いる

 関節リウマチなどのために関節に拘縮や痛みがある場合には、便座の上に補高便座を用いて便座の高さを調節し、立つ・座るといった動作の負担を軽減し楽にする。

 歩行が不安定な場合、夜間のみポータブルトイレを使うこともある

 ポーダブルトイレは、利用者が、尿意・便意があり移動できるものの、歩行が不安定な場合などに用いる。特に居室からトイレが遠いような場合、転倒防止のため夜間のみ使用することもある。

 褥瘡予防のマットレスなどを適宣用いる

 褥瘡の予防には、肌触りがよく縫い目が触らない寝巻を選ぶ、通気性の良い敷物を選びしわを作らない、布団を干すなどを行うが、充分でない場合には、褥瘡予防用のマットレスなどを用いる。

 福祉用具・介護用品の導入は、利用者本人や家族が決定する

 介護福祉職から見て、福祉用具や介護用品の導入が適切と考えられる場合でも、決定するのは利用者本人である。介護福祉職は、効果的で使い勝手がよい用具の情報を提供する。

 移動用のリフトのつり具部分は、特定福祉用具販売の対象となる

 り具部分を除く、移動用リフトは福祉用具貸与の対象となる。
 移乗用のリフトの1つである階段移動用リフトは、電動モーターで階段や段差を昇降できる。住宅改修が困難なエレベーターのない集合住宅などに住居する要介護者を対象としている。

 トイレには、内開きの扉を設置する。

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 トイレの扉を内開きにすると、利用者が中で転倒したときなどに扉が開かないことがある。

 住宅改修費の支給限度基準額まで支給を受けた者の要介護度が2段階以上悪化した場合は、再度住宅改修費の支給を受けれる。

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 3段階以上悪化した場合である。また、転居した場合も再度給付を受けれる。

 福祉用具を使うと、利用者の自立を支援できる。


 利用者は自分でできることが増え、介護従事者の負担も軽減する。

 福祉用具・介護用品は、介護福祉職員が導入を決定する。

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 利用者本位の観点から、できる限り利用者本人が決定できるように支給する。また、家族介護者の意見や希望も踏まえる。


身じたく

 身じたくとは、洗顔、歯磨き、整髪、着替え、化粧など、身なりを整えることである

 身じたくは、その人らしい健康な生き方のために欠かせないものであり、社会参加の準備、生活のリズムづくり、自己表現、清潔保持、体温調節などの役割がある。
 
身じたくにより社会的な生活が送れるようになり、また、生活リズムを整え、適当な体温や衛生状態にすることで、より快適案生活を過ごすことができる。
 

 身じたくに関するアセスメントにおいてもICFモデルが役立つ

 身じたくという行動は、ICFモデルにおいては生活機能の活動にあたる。
 健康状態、心身機能・身体構造、参加、環境因子や個人因子と相互に関係するため、総合的に評価することが必要である。

 

 整容介助では、ICFモデルを用いた身じたくのアセスメントを基本とする

 整容とは、洗顔、髭剃り、化粧、爪切り、洗髪、整髪など姿を整えることである。整容介助では、ICFモデルを用いた身じたくのアセスメントを基本に、利用者の身体状況、精神状況、ADL、環境などをよく観察・評価し、対応する。整容を積極的に行うか否かは生活意欲の程度を表す。
 

 洗髪の介護では、爪を立てずに指の腹頭皮をマッサージしながら洗う

 爪を立てて洗髪をすることによって、爪で傷められた頭皮は乾燥して、ふけや痒みの原因になることから、爪を立てずに指の腹で頭皮をマッサージしながら洗う。また、洗髪前にブラッシングをすることによって、地肌の汚れを浮かせ、頭皮の血行も良くなり、髪のからみも取ることができる。
 

 義歯の手入れは、歯ブラシと流水で洗い、水か専用の洗浄剤につけ、乾燥を防ぐ

 義歯の変形や摩耗を防ぐため、研磨剤入り歯磨き剤、漂白剤や熱湯は使わないようにする。
 

 片麻痺の人には、麻痺側から健側からがせる

 片麻痺の利用者に衣類を着せるときは、麻痺側は身体が自由に動かせないのであるから、衣類のほうを自由に動かすようにする。したがって、着せるときは、まず麻痺側から行う(着患)。
 健側は身体が自由に動くので、衣類に麻痺側の手や足が入って、固定されても、問題なく着られる。かぶりの場合は、その後、頭を通す。脱ぐときは逆で、まず
側を脱がせ(脱健)、衣類が自由に動くようになってから麻痺側を脱がせる。

 

 寝たきりの場合は、背縫いのない寝巻を選ぶ

 寝たきりの利用者の場合、褥瘡を予防することが大切である。背縫いのある寝巻では、縫い目に体の重みがかかり、皮膚がすれて褥瘡になる恐れがあるので避ける。

 寝たきりの場合、前開きの寝巻が着脱しやすい

 利用者が寝たきりの場合は、かぶり式よりも前開きの寝巻のほうが着脱しやすい。衣類を選ぶときに、介護のしやすさを優先するべきではないが、利用者の身体への負担が少ないように配慮することは大切である。
 

 衣服の選択は、利用者本人の好みや生活習慣を優先する

 何を着るかは、切る人の自己表現の1つである。利用者の好み生活習慣を優先して選択する。ただし、身体状況に合わせて利用者にとって安楽な衣類であることも考慮する必要がある。
 

 衣服は、外部からの埃や細菌などから身を守り清潔を保ち個性を表現するものである

 衣類の目的は、体温調節と皮膚の保護など衛生的機能と、快適な生活を維持することである。社会の中で風俗習慣など慣例に従い衣類を選択し、社会生活を送る必要がある。
 

 下着には、綿が適している

 綿や絹などの天然素材は、吸湿性通気性に優れているので、下着として用いると、皮膚の不感蒸泄(ふかんじょうせつ/汗をかかなくても体内から水分を排泄する機能)や発汗の作用を助ける。
 

 外出する際は、気候社会性生活習慣に配慮し、着脱しやすい衣類を準備する

 車いすでの外出は、利用者が歩かなくても靴を履き、足の保温保護と座位の安定を図る。社会性の観点からも靴を履くことが望ましい。体温調節のために着脱が容易な上着等を準備する。
 

 片麻痺がある利用者衣類の着脱介助では、脱ぐときは患側から脱がせる。

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 脱ぐときは、健側から脱がせる。

 不感蒸泄の機能によって、汗をかかなくとも体内から水分が排泄される。


 綿や絹などの天然素材は、吸湿性と通気性に優れ、皮膚の不感蒸泄や発汗の作用を助ける。


移動・移乗

 身体や精神を長期間使用しないことにより機能が低下した状態を、廃用症候群(生活不活発病)という

 廃用症候群生活不活発病)は、身体や精神を長期間使用しないことによって引き起こされるもので、筋力低下、関節拘縮、褥瘡、抑うつなどがある。また、身体の特定部位を使いすぎたために新たに症状を起こすものを過用症候群、間違った運動方法などにより身体に負担がかかって新たに症状を起こすものを誤用症候群という。

 適切な移動介護を行うため、アセスメントにより利用者の身体状態を把握する

 移動に介護を必要とする利用者は、その多くが麻痺や運動機能障害などの肢体不自由を抱えているが、その状況は一人ひとり異なる。
ICFモデルの枠踏みを活用しながら
アセスメントを行う必要がある。

 

 自力で寝返りができない場合、約2時間ごとの体位変換を実施し、褥瘡予防を図る

 寝たきり状態にあるなど、自力で寝返りができない場合は、褥瘡が発生しやすいことから、約時間ごとに体位変換を行うことや、栄養管理を徹底することなどによって、褥瘡予防を図らねばならない。寝巻き、寝具は湿潤を避け、清潔を保つ。なお、エアマット等の床ずれ防止用具を使っている際でも約4時間ごとに体位変換を行う。
 

 立位にする場合は、上半身を前に傾斜させる

 椅座位や端坐位から立位にする場合は、利用者の上半身をに傾けると、腰から上が前方に出るため体重の移動がスムーズになり、立ち上がりやすくなる。
 

 対麻痺の利用者の車いすへの移乗介助は、臀部を持ち上げる

 対麻痺で両下肢が麻痺している場合には、利用者は腕を介護従事者の肩に回し、介護従事者が利用者の臀部を持ち上げて移乗を介助する。
 相当の重量を支えなければならないので、
ボディメカニクスを用いて、できるだけ負担を少なくするように行う。

 

ボディメカニクスの基本
 介護従事者の身体にかかる負担を少なくし、利用者を安全・安楽に動かすための介護従事者の身体の使い方です。
1.
支持基底面を広くし、重心を低くする…両足を広げ、膝を曲げて腰を下げる。
2.骨盤を安定させる…背筋を伸ばし、腹筋と臀部の筋を引き締める。
3.利用者に出来るだけ近づく…利用者の重心を自分の重心に近づける。
4.身体をねじらずに、を平衡に保つ…腰痛予防になる。
5.大きい筋を使い、水平に引く…腕の筋肉だけでなく、全身の筋肉を使う。
6.てこの原理を使う…少ない力で利用者を動かすことができる。
7.
利用者の身体を小さくまとめる…利用者がベッドと接触する面を小さくする。

 車いすで砂利敷きの場所を通るときは、キャスタ(前輪)を上げる

 車いすで外出する際には、道路面が不整備であると利用者は振動を受けて不快である。砂利敷きの場所を通るときには、介護従事者は車いすのティッピングレバーを踏んでキャスタを上げて振動が少なくなるように工夫する。車いすを動かすときには、フットサポートフットレスト)に足がのっていることを確認する。
 

 移動は、バリアフリーに配慮した安全なルートを選択することが重要である

 利用者の体力や疾病、傷害に配慮して、安全な移動の方法や距離とルートを適切に選ぶことが重要である。車いすでの昇降は遠回りになってもエレベーターを利用するのが原則である。
 エスカレーターを下りる場合には、
後ろ向きにしてブレーキをかけずに介護従事者は後方からしっかりと支える。

 

 車いすの移動では、短時間停止する場合でも必ずブレーキをかける

 車いすが動いてしまうと大変危険なので、たとえ短時間の停止でも必ずブレーキをかける。ただし、エスカレーターに乗るときには、すぐに動けるようにブレーキをかけないでおく。
 

 車いすで電車を利用するときは、事前に利用する駅に連絡する

 駅にあらかじめ連絡しておくと、移動が速やかにできるように駅員が準備してくれるので、安心感と快適さが増す。
 

 車いすで電車に乗るときは、電車に対して直角に向かい前向きで乗車する

 車いすで電車に乗るときには、電車の乗車口に向かって直角に車いすを置き、ティッピングレバーを踏んでキャスタを上げて乗車口から乗せ、キャスタが車内に乗ってから後輪を押し上げて乗車する。
 

 麻痺側の手指の関節は、屈曲拘縮をきたしやすいので注意する

 麻痺側の手指は、体の内側に向けて曲がって固まりやすい。また、下肢は内側に向けてつま先立ちの様な姿勢(尖足)になり拘縮が起きやすい。予防・改善には、関節を曲げ伸ばしたり回転させたりして関節可動域を維持・拡大する関節可動域運動を行う。
 

 杖を使う歩行は、杖→麻痺側→健側の順に進み、介助は麻痺側から行う

 歩行するときは、健側の手に持った杖を前に出し、頼れる状態にしてから麻痺側を進め、最後に健側を引きつけて身体の安定を回復する。介護福祉職は、利用者の麻痺側に立ち、支えられるようにする。
①杖を前につき、
②麻痺側の足を出し、
③健側の足を出しそろえる歩き方を
三動作歩行という。

 

 片麻痺のある人が車に乗る場合には、健側から乗車する

 片麻痺の場合、動作が自由になるのは健側のほうであるから、健側に自動車をつけ、車いすを自動車のドアに30度くらいの角度で止める。
 

 自立に向けた移動の介護では、他の職種との連携が大切となる

 居住環境の整備により、活動できる範囲が広がる。居住環境整備は、介護支援専門員の福祉関係者、医師や理学療法士等の医療関係者、建築士等の建築関係者と連携して進めることが有効である。住宅改修費の給付には介護支援専門員等による「住宅改修が必要な理由書」が必要となる。
 

 身体の特定部位を使いすぎたために機能が低下した状態を、廃用症候群(生活不活発病)という。
 

×
 廃用症候群(生活不活発病)は、身体や精神を長期間使用しないことによって引き起こされる。

 車いすによる移動介助において、エスカレーターを下りる場合は、車いすを後ろ向きにして乗り込む。


 車いすでやむを得ずエスカレーターを利用する場合は、すぐに動けるように車いすのブレーキをかけずに、介護従事者は車いすの後方から身体全体でしっかりと支える。

 エスカレーターに乗るときは、車いすが動かないようにブレーキをかけておく。

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 すぐ動けるようにブレーキはかけない。

 片麻痺のある人が、車に乗る場合には、患側から乗車する。

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 片麻痺のある人が車に乗る場合には、健側から乗車する。


食事

 食事は、必要な栄養素を摂取することだけが目的ではない

 食事は、生命維持と活動のために必要な栄養素を摂取するだけでなく、毎日の生活の中の大きな楽しみでもある。また、食事を摂ることが他者との団らんや、交流をはかる機会にもなることもある。食事おいては、誤嚥などを防ぎ、安全に美味しく食べることを支える介護が求められる。
 

 より良い食事の介助に向けて、食事に関するアセスメントを多面的に行う

 ICFモデルに則って観察すべきポイントを挙げ、利用者の健康状態や生活機能などを把握する。アセスメントに基づいて、必要な栄養素が摂取できるように、利用者の生活歴・好み・文化的な背景等も考慮した食事を用意することが望ましい。また、摂取方法にも留意する。
 

 食事の際は、雰囲気づくりに配慮する

 食事介助では、食事が単なる栄養補給にならないよう、利用者が楽しめる雰囲気づくりが大切である。
 

《食事介助のポイント》
・食事前に排泄を済ませる
・食事場所を整える
・食事を摂りやすい体位にする
・食事を摂る体勢を整える
・使いやすい介護用食器を選ぶ
・利用者ができるだけ自分で食べられるようにする。

 座位が取れない人の食事介助は、ベッドを30度程度起こす

 座位が取れない利用者の場合は、誤嚥を防ぐように注意しなければならない。臥位では誤嚥の危険が高いので、身体が傾かない30度程度の角度にベッドを起こして食事介助をする。
 

 顔面の片麻痺がある場合、食物残渣麻痺側に残りやすい

 麻痺があると感覚が鈍くなり、また動作も思うようにできない。口中も同様であって、食物のクズやかけらは、麻痺側にあると感じにくく、また排出する動作もスムーズではないため、口中に残りやすい。

 

 食欲は食事の状況は、健康のバロメーターになる

 食欲不振が口腔内の状況悪化に気づくきっかけになるなど、食事の状況は健康のバロメーターになる。心身の悪化が予想される場合には、医師、看護師、歯科医師に連絡し対処する。また、より良い食事内容を提供するためには、栄養士、調理師、介護支援専門員等との連携が大切である。低栄養状態を判断するための指導には、食事摂取量、体格指数(BMI)、体重減少率、血清アルブミン値などがある。

 

 嚥下障害のある人も、できるだけ自力で食べるよう支援する

 嚥下障害がある利用者も、できる限り自力で食べられるように、時間をかけて、咀嚼嚥下の状況を注意深く観察しながら介助する。食べ物を口に入れたら口唇を閉じるように声かけする。

 

 誤嚥を防ぐには、食事をゼリー状にするなどの工夫をする

 誤嚥を防ぐためには、食事が喉を通りやすいように工夫する。具体的には、ゼリー状マッシュ状にする、でんぷんを用いてとろみをつけるなどの手をかけ、誤嚥しやすい海藻やもちなどの粘着性の食品、豆、ぱさぱさした食品を避ける。細かく刻んだ場合は、とろもをつけて飲み込みやすくする。
 

 視覚障害者にはクロックポジションの方法を用い、自分で食事ができるよう支援する

 クロックポジションとは、時計の文字盤の位置を利用して、視覚障害者に物の位置を知らせる方法である。例えば、2時の方向に焼き魚がある、というような使い方をする。様々に工夫して、利用者が自分でできることが増えるように支援する。

 

 高齢者は脱水を起こしやすいので、できるだけ水分を摂取できるようにする
 

 お茶や水などの飲み物を用意してまめに摂取を促すほか、汁物にとろみをつけたり水分の多い食事内容にしたりするなどの工夫をする。脱水予防の食品としては、スポーツドリンク、みそ汁、すいか、ヨーグルトなどがある。

 血清アルブミン値は、低栄養状態を判断する指標の1つである。


 低栄養状態を判断する指標として、食事摂取量、体格指数(BMI)、体重減少率、血清アルブミン値などがある。

 誤嚥の恐れがある利用者に対しては、料理にとろみをつけるなど、食事を工夫することが大切である。


 とろみをつけるなどのほか、ゼリー状やマッシュ状にすることで誤嚥予防をする。


入浴・清潔保持

 入浴前には、健康状態気分などを把握する

 入浴には、清潔を保てる、気分が爽快になるなどの効果があるが、事故が起こりやすく、体力を消耗する行為でもある。したがって、入浴前には健康状態(バイタルサイン)のチェックを行う。体調不良がはっきりと数字に表れないこともあるので、利用者の気分がすぐれないときは無理に進めない。また、空腹時や食事直後の入浴は避ける。バイタルサインは、全身の状態を示す数値で、正常値の目安は次のとおりである。

呼 吸  
1520回/分
脈 拍  
6080回/分
体 温  
36.5度前後、高齢者は低くなる
血 圧  最低血圧
80㎜Hg未満、最高血圧120㎜Hg未満

 

 入浴介助では、福祉用具を最大限に活用する

 入浴時は事故が起こりやすいため、福祉用具を最大限に活用する。滑り止めマット、バズボード、入浴用いす(シャワーチェア)、浴槽内いすなど、多くの入浴関連用具が介護保険制度では特定福祉用具販売の対象となっている。

 入浴に関するアセスメントを行う

 入浴は、体力を消耗する活動であり、また感染症を媒介する危険性もあるため、健康状態の観察が重要となる。また、極めて個人的な活動のため、好みなど個別性を重要に考えて個人因子が大切になる。ICFの視点で観察するべきポイントを挙げ、利用者の健康状態や生活機能などを把握する。

 脱衣室・浴室、トイレと居室などの室温差がある場合、ヒートショックを起こしやすい

 入浴時の脱衣や、冬季、深夜早朝に居室との温度差が大きい場所に移動すると、血管が急に伸縮し、血圧が上昇したり下降したり変動が起こる。この状態をヒートショックという。急激な血圧変動により心筋梗塞脳血管疾患などを引き起こす危険性が高まる。

 湯の温度は、必ず介護福祉職の肌で確認し、身体の抹消から心臓に向かって湯をかける

 シャワーの場合40℃前後が適当だが、数値のみに頼らずに、温度や強さ(湯圧)は介護福祉職が自分の肌で確認する。麻痺がある場合は、利用者の健側で温度を確認してもらう。また、心臓への負担が少ないように、指先から肩へ、つま先から大腿部へというように、抹消から心臓に向かって徐々に湯をかける。
 なお、高齢者は皮膚が乾燥しやすいので、強くこすりすぎないように配慮する。

 入浴後は、水分補給をして休養をとらせる

 入浴後は身体を拭き冷やさないようにし、必ず水分補給をする。また、入浴後は体力を消耗するので、ゆっくり休ませる。浴槽に浸かるのは5~10分を目安に、入浴時間は長くなりすぎないように気をつける。

 

 清拭には、55~60℃くらいの湯を用いる

 55~60℃くらいの湯を用いて清拭を行うと、汚れをとるだけでなく、マッサージ効果やリラックス効果も期待できる。清拭は身体が冷えやすいので、室内温度を十分に暖かく保って行う。

清拭の標準的な手順
①蒸しタオルを使って温める
②石鹸をつけたタオルで拭く
③湯につけたタオルを絞り、石鹸を拭きとる
④乾いたタオルで拭きとる


 

 洗髪には、利用者の社会参加を促す効果もある

 洗髪は、頭皮と毛髪の汚れをとり、臭いを除去するものであるが、次のような効果もある。
・頭皮と毛髪が清潔になることで気分が
爽快になる
・頭皮をマッサージすることで
血液循環がよくなる
・臭いや汚れをという他人に嫌われる要素を除くことで、
社会参加が促進される
・長期臥床している場合洗髪前にブラッシングし、髪のもつれや埃をとり、ドライシャンプーやケリーパッドを利用して洗髪する



 

 疾患があったり体調がすぐれない利用者には、シャワー浴部分浴を実施する

 利用者に心疾患などの疾病がある場合には、主治医の指示のもと、シャワー浴部分浴を実施する。シャワー浴は、心疾患がある場合などは、入浴より身体への負担が少ない。
 

 手浴足浴は、清潔保持爽快感安眠などに効果がある

 手浴足浴は体調不良などで入浴できない時に、手だけあるいは足だけを湯につけて温め、清潔にするものである。
 清拭以上の爽快感を得ることができ、
血行の促進につながるので寝つきがよくなる。足浴の湯温は37~39℃くらいを保つようにする。

 

 空腹時や食事直後の入浴は避ける。


 空腹時や食事直後の入浴は避け、入浴の前には懸鼓状態をチェックする。

 入浴介助を行う場合には、入浴後、利用者に十分に発汗してもらうため、水分摂取を制限する。

×
 入浴後には、利用者に対し、十分に水分を補給してもらい、保湿・静養を図るように支援する。

 手浴や足浴は清潔保持のほか、安眠にも効果がある。


 手浴や足浴は、血行の促進につながるので寝つきもよくなる。


排泄

 排泄の自立は、人の尊厳を保持するうえで重要である

 排泄は、人間生命活動にとって最も基本的なものの1つであり、健康状態を端的に表すものである。排泄は極めて個人的な事柄であるため、排泄が自立していることは人の尊厳にとって重要である。排泄の介助では、ICFモデルに則って観察すべきポイントを挙げ、広い視野でアセスメントを行う。
 

 介護福祉職は、利用者の自尊心羞恥心に配慮して介助する

 利用者は排泄の介助をやむを得ず要請するのである。そのため、介護福祉職は、その要請にいつでも快く応じ、言葉かけや介助に十分配慮して対応する。
 
失禁は、利用者の自尊心を傷つけるので、失禁に至らないように直ちに対応する。また、プライバシーを守る工夫も必要である。夜間などは、ポータブルトイレを用いるなど、できる限り排泄の自立を支援する。

 

 利用者が安全に安心して排泄できるように、トイレ環境を整備する

 立ち上がり時には、床に対して垂直に手すりが設置してあると使いやすい。
 トイレでの排泄を維持するためには、トイレが居室の近くにある、
洋式トイレにする、便座の高さを身体に合わせる、室温を調節するなどの配慮が求められる。

 

 和式便器から洋式便器への改修は、介護保険の住宅改修費の給付対象である

 和式便器から洋式便器への組み換え(洗浄機能等付きも可)は、利用者が立ち上がるのが困難な場合等を想定し、住宅改修費の対象となる。既存の便座に洗浄機能等をつける変更は対象とならない。
 

 尿意・便意があり、座位を取ることができれば、トイレでの排泄が可能である

 尿意・便意があり、座位を取ることができれば、トイレでの排泄が可能であるため。介護福祉職は、利用者の排泄の間隔や排泄習慣などを把握し、トイレ誘導などを行う。
 また、利用者自身に出来る限り行ってもらいたい、できない部分を介助することが大切である。女性の場合、尿道に雑菌が侵入するのを防ぐため、
前から後ろへ拭いて肛門部を清潔にする。

 

 加齢に伴い、尿道付近の括約筋が緩くなる

 高齢者は、尿道付近の括約筋骨盤底筋群の筋力低下のため、尿意を我慢することが難しく、尿失禁を起こしやすい。また、女性では、腹圧性尿失禁(くしゃみや咳などで腹部に力を入れた拍子に尿が漏れる)が多い。治療には骨盤底筋訓練法(ケーゲル法)が有効である。

骨盤底筋訓練法(ケーゲル法)

  1. 仰向けに寝て足を少し開き膝を立てます。
    膝の間はこぶしをひとつ分くらい開け、体の力をぬきます。
  2. 肛門を閉めながら膣と尿道も10秒くらいぎゅーっと締め、息を吸いながら、肛門と膣を胃の方に吸い上げるように力を入れます。
    その後、30秒くらいリラックスします。
    これを10回繰り返しましょう。
  3. 次に、同じように肛門、膣、尿道を閉める動作をもっと早いテンポで行い、この「キュッ(締める)、パッ(緩める)」を1セットとして、10回繰り返します。
    慣れてきたらだんだんと回数を増やすとよいでしょう。
  4. 1~3を1日数回に分けて5セット以上行います。

※力んでしまうと逆効果になります。

 尿失禁のある利用者に、水分量を制限してはいけない

 尿失禁があると、利用者自身が失敗を恐れて水分摂取を控えようとしやすい。しかし、水分制限をすると、脱水になりやすく尿路感染症にもかかりやすくなるので、水分制限をしてはいけない。
 下痢を起こしている場合は、十分に水分補給し、おむつが汚れている場合は、皮膚のかぶれ、感染に注意し交換を行う。

 片麻痺のある人のおむつ交換は、麻痺側が下になる時間を短くする

 麻痺側はあらゆる感覚が鈍くなっているので、麻痺側が下になることで皮膚が痛んだりしても分からない恐れがある。できる限り麻痺側が下になる時間を短くする工夫が必要である。
 また、おむつ交換の際は、「失礼します」など、
声掛けをする配慮が望ましい。おむつ交換時は、陰部の洗浄を丁寧に行い、尿道から肛門の方向へ拭き取り、清潔にする。

 尿失禁が繰り返される場合も、安易におむつを使わない

 おむつの使用は、皮膚のかぶれ感染を起こしやすいだけでなく、利用者の自尊心を著しく傷つける。できる限りおむつを使用せず、排泄サインを察知して早めのトイレ誘導や、ポーダブルトイレの使用などによって排泄の自立を促す努力が必要である。

 おむつを装着する場合、腹部とおむつとの間に指2本程度の余裕をもつ

 おむつを使用する場合、紙おむつの腹部のテープは腰前面か所で止め、下段のテープは斜め上向きに、上段のテープは斜め下向きにとめて、左右対称になるようにすることなどに配慮する。
 また、布おむつを使用する際、女性の場合には
後ろ側を厚くし、男性の場合には前側を厚くすることが基本である。


 

 おむつ交換は、利用者のニーズに個別に対応する

 おむつ交換は施設や介護福祉職の都合ではなく、利用者それぞれの排尿・排便に応じて行わなければならない。また、紙おむつは、利用者の体型尿量にあわせて種類を選ぶ。
 おむつを着用する場合は、
利用者本人家族と十分に話し合い、本人の気持ちに配慮する。


 

 留置カテーテルを挿入している利用者は、尿道口周辺の清潔を心がける

 膀胱留置カテーテルを挿入している場合は、尿路感染症を起こしやすいので、尿道口周辺の清潔を保つよう注意する。また、十分に水分を摂取して尿量を確保し、自浄作用を促す。

 

 差し込み便器は、便意はあるがトイレへの移動が困難な場合などに、ベッド上で排便・排尿(女性の場合)をする用具である

 男女共に、差し込み便器を使用する場合は肛門部が便器の中央に来るように注意する。男性の場合は尿器を同時に準備する。
 ベッド上での排泄を説明し、了解を得ること、気兼ねなく1人で排泄できる環
境をつくることが大切である。

 利用者に排尿や排便障害がある場合は、医師や看護師と連携し、早期の対応する

 利用者に排尿や便意障害がある場合は、医師や看護師と連絡を密にし、疾患の発見治療につなげる。そして医療的な見地からのケアに関する留意点を開き、実践する。また、高齢者は便秘になりやすい傾向にあるため、食物繊維が豊富な食事の摂取、適度な運動などを行い、便秘の予防を図ることが大切である。
 そのためには、栄養士・調理師、介護支援専門とも十分な情報交換を行い、利用者に応じた食事・ケアプランを提供する。

 和式便器から洋式便器への変更は、介護保険の住宅改修費の対象外となる。

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 和式便器から洋式便器への変更は、介護保険の住宅改修費の対象となる。

 尿失禁が繰り返された場合には、早期におむつを着用させることが望ましい。

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 尿失禁が繰り返された場合には、トイレ誘導やポータブルトイレの設置などで対応する。出来る限りおむつへの使用は避ける。

 膀胱留置カテーテルを挿入している場合は、尿道口周辺の清拭や洗浄の必要はない。

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 尿路感染症を起こしやすいため、尿道口周辺の清潔を保つ必要がある。


家事

 家事には、家計管理も含まれる

 家事とは、生活するための衣(洗濯・アイロンかけ・裁縫等)・食(買い物・調理・片付け等)・住(整理整頓・掃除・ゴミ出し・修繕等)に必要な行為である。また、家計管理も家事の一部である。介護保険法における訪問介護のうちの生活援助や地域密着型共同生活介護のうち生活支援などの業務が家事にあたる。
 

 訪問介護では、生活援助として家事支援を提供している

 訪問介護の生活支援では、掃除、洗濯、ベッドメイク、衣類の整理、一般的な調理・配膳、買い物などの家事支援を提供する。
 
利用者以外の食事や行事食の調理、本人が使わない部屋の掃除、花木への水やり、ペットの世話や散歩などは、生活援助の範囲に含まれない。

 利用者のそれまでの生活の営みを継続する事ができるよう支援する

 家事の介護では、利用者の意思と個性を尊重するだけでなく、利用者の残存能力を活かして自立を支援する。介護従事者は、利用者の生活の仕方を知り、利用者の意思と個性を尊重した家事支援を行うよう努める。利用者の家事への参加は、利用者の能力を高め、生活の質(QOL)を高める。

 食の介護では、利用者が低栄養にならないように注意する

 高齢者は、日中の活動量が少ないため、食欲が低下しやすく食事量が減りやすい。また、咀嚼しにくい肉、魚類のたんぱく質が摂りにくくなる。低栄養は褥瘡の原因ともなるので注意する。

 高齢者の便秘を防ぐためには、食物繊維を摂取するとよい

 高齢者は、腸の機能(蠕動運動)が低下して便秘を起こしやくすなるため、食物繊維を多く含む食品を摂取して排便を促す。
 なお、そのほかの便秘予防には、規則正しく十分な食事量を摂ること、油脂類を摂ること、
適度な運動をすることなどが有効である。

 大腸の走行(上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸)に従って「の」の字に腹部マッサージをすると効果がある。

 野菜の調理法のうち、ビタミンCの損失が最も多いのは煮物である

 ビタミンCは加熱によって破壊される栄養素であるが、調理方法によって損失程度が異なる。損失程度の大きい順に並べると
煮るゆでる漬ける揚げる炒める蒸すとなる

 刺身などの生魚食では、腸炎ビブリオ菌による食中毒が発生しやすい

 魚介類とのその加工品では、腸炎部ビブリオ菌による食中毒が発生しやすい。症状としては、腹痛、下痢、発熱、嘔吐がみられる。
 予防方法は、生魚を調理したまな板や包丁で野菜などを調理しないこと、真水で洗うこと、調理後は速やかに食べることなど。

 加熱不十分な肉類では、サルモネラ菌などによる直中毒が起こりやすい

 加熱不十分な肉類による食中毒の原因細菌は、サルモネラ菌、病原性大腸菌、カンピロバクターなどがある。
 病原性大腸菌では、
出血性の下痢など症状が強烈なので注意する。

 ノロウイルスは、二枚貝に多く存在する

 ノロウイルスは、牡蠣などの二枚貝に多く存在し、生食によって感染性胃腸炎を引き起こすと、下痢や嘔吐などの激しい症状が現れる。
 調理の際は、中心部が85~90℃で90秒以上加熱する。

 洗濯の取扱い表示が「新JIS表示」に変更された

 2016(平成28)年12月より、衣類等の洗濯表示(取扱い表示)が「新JIS表示」に変更された。
◆新しい「取扱い表示」の記号と意味
消費者庁ホームページ

家庭用品品質表示法に基づく繊維製品品質表示規程の改正について-衣類等の洗濯表示が変わります-(平成28年11月4日) [PDF:593KB]

 還元型漂白剤は、すべての繊維の白物に使える

 漂白剤には、酸化型漂白剤と還元型漂白剤がある。酸化型漂白剤には塩素系漂白剤と酸素系漂白剤があり、どちらも毛や絹の漂白には使えないが、還元型漂白剤はすべての繊維に使える。

 塩素系漂白剤は、酸性の洗剤と混ぜると塩素ガスが発生して危険なので、混ぜてはいけない。

 ドライクリーニングした衣類は、ビニール袋をはずして保管する

 ドライクリーニングした衣類は、ビニール袋から出して風を通した後で保管するとカビが発生しにくい。また、毛(ウール)や絹は虫に食われやすいので、防虫剤を用いる。防虫剤には置くタイプや吊り下げるタイプなど様々な種類があるが、併用できないものも多いので、使用上の注意をよく読んで従うようにする。

 ドラム式の洗濯機は泡の立ちにくい洗剤がよい

 一般的には、洗濯石鹸は泡立ちがよい方が洗浄力が高いが、ドラム式の洗濯機はたたき洗いを応用したものなので、泡で洗浄力が落ちてしまうのを避けるため、泡の立ちにくい洗剤を選ぶ。

 しみ抜きは、しょうゆやジュースは水や温水を使い、口紅やチョコレートはベンジンを使う

◆しみの種類としみ抜き方法

 家の介護では、利用者の残存能力を活かして自立を支援する。


 利用者の家事への参加は、利用者の能力を高め、生活の質(QOL)を高める。

 刺身などの生魚食では、サルモネラ菌などによる食中毒が起こりやすい。

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 刺身などの生魚食では、腸炎ビブリオ菌などによる食中毒が起こりやすい。

 漂白剤には酸化型漂白剤と還元型漂白剤があり、酸化型漂白剤はすべての繊維に使用できる。

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 漂白剤には酸化型漂白剤と還元型漂白剤があり、還元型漂白剤はすべての繊維に使用できる。

 衣類についた口紅やチョコレートのしみは、ベンジンを使ってしみ抜きをすとよい。


 水溶性のしょうゆ・ソース、血液などは水で濡らしてしみ抜きをする。


睡眠

 より良い睡眠をとるためには、日中の活動を充実させることが有効である

◆安眠のための援助

・適度な室温を保つ
・静かで、適度に暗い環境を整える
・寝具を温かく、柔らかく軽いものにするなど、利用者の好みに応じて工夫する
・日中の活動を充実させる
・昼寝をし過ぎないように注意する
・就寝前に、入浴、歯磨き、洗面などを行い、身体が冷えないようにしておく
・空腹になり過ぎないように配慮する
・睡眠薬などはできるだけ使わないようにする

 マッサージは、末梢神経や筋肉の興奮を鎮静化する

 マッサージには、血行を良くして新陳代謝を高める効果がある。そのため、末梢神経の興奮が抑えられ痛みが軽減し、睡眠が促される。ただし、医学的に禁忌の場合もあるので注意する。
 
冷罨法温罨法も有効である。また、安楽な姿勢であっても同じ姿勢を長時間続けると疲れるので、定期的な体位変換が必要である。


終末期の介護

 終末期介護(ターミナルケア)では、個人の尊厳を重視することが必要である

 最期まで、個人の尊厳を重視し、主に苦痛を緩和するケアを行う。不治の病のために死期が近づいた利用者に対しては、医療職と密接に連携し、身体的苦痛だけでなく精神的・社会的、霊的な苦痛を緩和し、その人らしい最期を迎えられるよう支援することが大切である。

 終末期介護(ターミナルケア)では、利用者や家族の意向に沿った介護を行う

 終末期介護で、利用者や家族の意向に沿った介護を行うためには、利用者や家族と終末期の迎え方について話し合っておくことが必要である。なお、終末期の介護に移行する時期は介護福祉職ではなく、利用者家族医師と相談しながら決定する。

 可能な限り、食事を経口摂取できるように介助する

 尊厳に満ちた死を迎えられるように、終末期であっても、可能な限り、食事は経口摂取できるよう支援する。その際は、栄養量の確保よりも、楽しみに重点を置く。また、体調の良い時に、介護職と医療職、ひいては家族と連携しながら行うことが大切である。

 臨終期には、安心できる環境を提供するよう努める

 静で明るすぎず、暗すぎない、心地よい室内環境を整え、できるだけ利用者の家族が傍に居られるように配慮する。臨終期まで聴覚触覚は比較的に維持されているため、言葉かけや、体に触れることは最期まで続けるとよい。

 介護福祉職が利用者を亡くした家族と悲しみ(悲嘆)を共有するには、家族の話を傾聴する

 家族が利用者の死を受け入れるためには、利用者の死を十分に悲しむことも必要である。このような「喪の作業」をグリーフ・ワークという。
 利用者が亡くなってからも死者を悼むなど、遺族をケアする
グリーフケアも終末期の家族支援である。

 終末期には、医師との連携が不可欠である

 介護福祉職は、利用者が望む終末期とするために医師(主治医)、医療職と協働する。痛みの緩和や人工呼吸器を用いる場合は医師による処置が必要である。また、利用者の状態が急変した場合には家族、医師に速やかに連絡し、対処を依頼する。

 終末期介護(ターミナルケア)では、終末期の迎え方についての話には、触れないようにする。

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 終末期介護(ターミナルケア)では、利用者や家族の意向に沿った介護を行うため、利用者や家族と終末期の迎え方について話し合っておくことが必要である。