豚舎のお悩み解決136「管理棟のレイアウト」

今回は、読者様からの質問で「農場のシャワーアウトのあとの衣服を置く場所と洗濯機の動線」について寄せられました。そこで、防疫ルールを重視し、動線を意識したレイアウト例をいくつかご紹介します。全て筆者がレイアウト作成したものです。基本的なコンセプトとしては
①農場の衛生管理区域内へは衣服を全部脱いでシャワーを浴びた後に城内専用衣服を着用
②事務室はシャワーイン後の衛生管理区域内とする
③来客者とは窓越しで会話できるようにする
④豚舎内作業服は更衣室で着替えて、きれいな服で事務室に入る。
⑤洗濯機は更衣室内に設置する

図1

図1は、母豚350頭繁殖農場の管理棟レイアウトです。作業員は3名で男子のみなのでシャワー室は1個だけです。シャワーを浴びて中更衣室に入ると、そこにバスタオルや場内用下着と作業着が置いてあります。更衣室が狭いので、更衣室内には洗濯物入れカゴのみが置いてあり、洗濯機はホールに設置しました

図2

図2は母豚300頭一貫農場の管理棟レイアウトです。作業員は5名で、シャワー室は男子用4名、女子用が2名同時に利用出来る作りになっています。この例では、洗濯機を4台設置出来るようにしてあります。汚れの多いツナギ服やヤッケなどはホールにある洗濯機に入れます。下着やタオル類は更衣室内の洗濯機で洗います。洗濯物を干すスペースはありませんので、洗濯機の上に衣類乾燥機を設置して乾燥させます。事務室の中に物干し竿を設置して干すことも出来ます。女子更衣室は玄関ホールからの出入口のドアを開けたときにシャワー室の出入口が見えないようなレイアウトにしてプライバシーにも配慮しました。衛生管理区域の中と外の出入りは必ずシャワー室を通過する必要がありますので、防疫ルールを徹底させるためには良いレイアウトだと思います。

図3

図1、図2ともに補助事業を利用して建築した物なので、面積の制限があります。ですから、従業員の休憩室や来客との応接室はありません。図3は銀行融資のみで建設した例ですので、畳の休憩室や来客との応接室があります。この例では既存の建物の内部改装だけで作ったので、休憩室が更衣室と豚舎へ行く玄関の間にあって、廊下兼用になっています。また、殺菌棚は男女別々に更衣室内から取り出せるようにしてあります。例えば女性の来客があった場合に洗濯済みの下着を持参してもらい、殺菌棚を通してからシャワーを出た後にそれを取り出して着用できるようにしたものです。来客応接室にも大型の殺菌棚を設けました。宅配荷物や仕出し弁当などはこちらを通して事務室内に持ち込みます。
応接室と事務室の間はカウンターのような作りになっていて、窓越しに会話できるようにしてあります。農場規模は母豚200頭一貫で、男女2名ずつ4名勤務態勢です。洗濯物ですが、繋ぎ服は休憩室内に干します。タオルや下着は衣類乾燥機で乾燥させます。タオルやTシャツは自然乾燥よりも乾燥機を使った方がフワフワになるし、除菌もしっかり出来ますから、私はこの方法をお薦めします。筆者は仕事柄いろんな農場でシャワーを浴びますが、ゴワゴワでカビ臭いタオルが置いてある農場は嫌です。また、事務室や弁当を食べる部屋が汚いのも嫌です、綺麗にして糞臭のない状態にしておくことをお薦めします。このようなことも従業員満足度を上げるポイントです。

図3-B

最後に、『長靴の交換についても長靴にマジックなどでマークする形だとすぐ薄れてしまったりしてわかりにくい』、という相談についてのアドバイスです。長靴はそのものの色で分けましょう。例えば豚舎内は白長靴、舎外は黒長靴、と言う具合です。