豚舎のお悩み解決142『従業員との情報共有』

今回も読者様からの質問にお答えしたいと思います。
会社内でのコミニケーションツールとしては、一般的にグループウェアが使われることが多いです。
大企業や営業拠点が複数ある企業ではたいていグループウェアを導入していることが多いです。有名なグループウェアとしては、マイクロソフト365や、グーグルワークスペース、サイボウズ、アマゾンワークスペース(AWS)、チャットワークなどがあります。

養豚企業でも、本社+農場3か所以上ある場合は、このようなグループウェアを導入することをお勧めします。グループウェアでできることは①メール(全社員一斉や個別送信)、②スケジュール管理(社員個人や部門別、全社)、ファイル共有(文書や農場成績データ等)③タスク管理(業務の進捗状況確認や日報など)④その他(掲示板、社内チャット、オンライン会議など、グループウェアにより有る機能、無い機能がある)グループウェアは利用人数が多ければ料金も高くなります。農場数も少なく、社員数も少ない農場では、できれば無料のサービスを使いたいところだと思います。

まず、農場が1か所だけで、社長も農場に入っているようなケースではグループLINEを使うのが手軽ではないかと思います。実際私のクライアント様で母豚400頭規模、従業員4名のところでは、仕事の指示や報告をグループLINEで行っています。
トラブルがあった時はその場の状況を写真又は動画に撮って社長へ報告するようになっています。
その写真や動画を使って私のところへアドバイスのリクエストも来る時があります。電話やメールだけではわからないことが多いので、写真や動画があると問題解決もやりやすくなります。

ただ、体系的に記録を残したい場合は、LINEで送られた情報をパソコンに保存しておく必要があります。月日または年月ごとのフォルダに、画像や動画をわかりやすい名前を付けて保存することがコツです。
わかりやすいタイトルを付けておくと後から検索して参照しやすくなるからです。
しかし、GoogleドライブならGoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントを無料で使えます。スマホやタブレットからでも読み書きが可能です。これらのファイルを社長が自分のPCに保存しておきたい場合は、Googleドライブからダウンロードするときにエクセル形式やワード形式を選択できます。

基本的にGoogleドライブはクラウド(インターネット)上に保存されますので、PCが壊れてもデータは失われません。
しかし、無料版のGoogleドライブはあくまでもパーソナル(個人)向けサービスです。
大人数や、多数の拠点から同時アクセスする仕様にはなっていません。同じファイルを2人が同時に開いて編集すると、先に保存した人のデータが失われ、後から保存した人のデータだけが残ることがありますので注意してください。

このようなケースが頻発して困る場合は有料版のグループウェアを使うことをお勧めします。
また、クラウドを過信せず、データのバックアップ(Googleドライブからのダウンロード)は最低でも1週間に1度は実施しましょう。
実際に私のクライアント農場様で無料版のGoogleドライブを10農場で共有して使っていたら、ある朝突然にGoogleドライブ内の全データが消えてしまったことがありました。この農場ではその後有料版のグーグルワークスペースに乗り換えて、問題なく運用されています。
冒頭から通信手段としてLINEをお勧めしていますが、そもそも農場内に携帯の電波が届かないとか、従業員が携帯電話料金を気にして使わない場合はどうすればよいでしょうか。

お勧めはWi-Fi電波を飛ばすことです。農場にインターネット回線を引いて、各豚舎までLANケーブルを配線します。
そして豚舎にWi-Fiルーターを設置します(図3)。農場事務所に置くWi-Fiルーターだけをルーターモードにして、豚舎に設置するWi-Fiルーターはアクセスポイントモードまたは自動モードにします。

そして、豚舎に設置するWi-FiルーターのSSIDとパスワードは農場事務所に置くWi-Fiルーターと同じに設定しましょう。そうすればスマホ側のWi-Fi設定は農場事務所で1度設定するだけで全豚舎でそのままつながります。
もし、山の中の農場で、光回線も引けないところには衛星インターネットのSTARLINK(スターリンク)をお勧めします。初期費用(機器代金)は数万円かかりますが、月々の利用料金は光インターネットとほぼ同じです。
次に農場が2~3か所あるケースです。このケースでも連絡等はグループLINEが便利でしょう。
農場内グループと全社グループの2つを作って使い分けするのが良いでしょう。
日報や成績データなどのやり取りは、各農場にPCを1台ずつ置いてグーグルドライブを使うのが便利です。

まずGoogle Chrome(クローム)をダウンロードしてPCにインストールします。

次に会社名等でGoogleアカウント(Gメールアドレス)を取ります(例:●●farm@gmail.com)。次に各農場のパソコンで同じGメールアドレスでGoogleにログインします。

Google Chrome(クローム)を開き右上のGoogleアプリアイコンをクリックし、「ドライブ」をクリックするとGoogleドライブのマイドライブが現れます(図1)。

ここに農場間で共有したい成績データファイルや文書ファイル、写真や動画を保存します(図2)。

これで、どの農場からも、ファイルの閲覧や書き込みができるようになります。Windows付属のOneDriveでも同じことができますが、エクセルやワードでデータや文書を保存するには各PCにマイクロソフトOfficeを購入してインストールしなければなりません。

図1

図2

図3