豚舎のお悩み解決146『給水の問題と改善策』

 今年の夏も真夏日、猛暑日が多く厳しい暑さが続きました。暑熱対策として、クーリングパドや、細霧、屋根散水など、水の消費量も増えている事と思います。皆さんの農場では井戸水等の給水は足りていましたでしょうか。私の所にも「豚舎で水圧が低い」とか「水が足りなくて洗浄機が空回りする」などの相談が寄せられています。今月は井戸や給水に関するお悩み解決をお届けします。
一般に一貫経営農場で夏場にの日に必要な水量は、総飼養頭数×12~15リットルです。例えば母豚300頭で総飼養頭数が3,500頭の場合は1日42トン~52.5トンです。まずは井戸ポンプがこれ以上の能力があるかどうか。また、ポンプが十分でも井戸が渇水でポンプが止まったりしていないかの確認が必要です。ここで注意が必要なのは、1日の必要水量を単純に24時間で割った数字が時間あたりの必要水量ではないと言うことです。日中に使う水量が夜間の2倍くらいになるからです。例えば上記例の農場ですと1日の使用水量を52.5トンとして、夜間使用量17.5トン、日中使用量35トン。日中水量35トンを12時間で割り60分で割算すると、毎分48リットルになりますが、余裕を持ってその2倍の毎分100リットル以上汲み上げる井戸ポンプが必要です。また、1時間あたりの使用水量は変動するので、1日の使用水量の1/3の容量の受水槽が必要です。

図1

図2

 小規模農場で、浅井戸&受水槽が無い場合の水量が足りない場合(図1)は、井戸ポンプ自体を能力の大きいものに交換するか、または、受水槽と加圧ポンプを追加工事する必要があります(図2)。深井戸で水中井戸ポンプを使用している農場では、ポンプの経年劣化で吐水量が減っている事があります。ポンプが購入後10年以上経っている場合は、業者にお願いして点検してもらうことをお薦めします。
井戸が渇水状態になる場合は、井戸をもっと深くまで増し堀りするか、または別の場所にもう1本井戸を掘る必要があります。

図3

 また、井戸水の消毒目的でオキシリンクや塩素の添加器を取り付けたら水量が減ったという農場が有りました。この農場の井戸ポンプの吐出し配管の径は40ミリです。オキシリンク添加器の口径は25ミリでした。図3のように井戸ポンプ小屋内に取り付けたため、水道本管の径が小さくなり、ここがボトルネックとなってしまいました。対策としては、①添加器を口径の太い(水道本管と同じ)ものに交換する。②添加器を豚舎内部に移設し、各豚舎に設置する。ただし、この場合も各豚舎のメイン配管径と同じかそれ以上の口径の添加器を取り付けて下さい。

図4

次に井戸から遠い豚舎で水量が足りない場合は、まず受水槽ポンプまたは井戸ポンプから豚舎までの給水配管の径が小さい可能性が有ります。径が何ミリあれば良いかというのは使用水量だけではなく、ポンプの圧力や、ポンプから豚舎までの高低差などにも左右されますので、水道屋さんに現場を見てもらって相談することをお勧めします。

図5

図6

一部の豚舎が高い位置にある場合(図5)は、その豚舎用に加圧ポンプを増設すると改善します。高低差が大きい場合は段の上にも受水槽と加圧ポンプが必要となります(図6)

最後に井戸水が足りなくなった場合だけ、公共水道水を追加利用する方法を説明します。図7のように受水槽に井戸からの給水と公共水道からの給水の両方を入れられるように工事します。メインは井戸水を使うように、公共水道の電磁弁開閉用水位センサーは井戸ポンプのセンサーよりも低い位置に取り付けます。また、井戸水が公共水道に逆流しないように逆止弁も取り付けましょう。 

図7