豚舎・設備のお悩み解決149「豚舎を安く作るには:離乳舎編」

ここ数年で豚舎の建築費は驚くほど上がってきました。豚舎の新築をあきらめて補修にとどめておく、という声もしばしば聞こえてきます。筆者は豚舎を安く作るためのノウハウもお客様に提供して喜ばれています。今月号ではその一例をご紹介します。

基本的姿勢としてなるべく地元の業者を使うということです。遠くの業者ですと交通費や宿泊費が高くなります。畜産建築大手の会社にお願いすれば安心ですが、大部分の工事は下請け業者が行うので割高になってしまいます。また、内部設備などは元請けに関係なく複数の好きなメーカーの製品を入れることができます。

 今回ご紹介する事例は母豚180頭一貫経営の離乳舎です。限られた敷地で最大限の出荷を行うため2-10(ツーテン)グループシステムを提案しました。

 なぜ4-5(フォーファイブ)にしなかったかというと、フォーファイブでは分娩舎が全部空になる週があります。その分ストール舎を大きくする必要があるからです。

 2-10ですと、分娩舎は半分ずつの回転になります。また、ウイークリーですと離乳舎は8室必要ですが、2-10なら4室でOKです。

 図1が離乳舎の平面図です。豚柵費用を節減するために大群飼育にしました。ドアを開けた時に、子豚が飛び出してこないように0.9m角の柵扉を付けました。 

図1

室内に柱が8本立っています。これは地元の大工さんに在来工法で建ててもらうために必要でした。プレカットのトラス構造にすれば室内に柱無しでOKでしたが、こちらの工法の方が安かったので、こちらを採用しました。

 柱の腰から下はステンレス板で巻いてありますので、長持ちします。

図2は給餌器と給餌ラインの配置図です。

図2

図3

 図3はピットの配置図です。

 写真4が工事中の写真です。工事費(生コン費用)を抑さえるためにピットの深さも通常より20cm浅い40cmにしました。また、ピット底面は水平です。

 プラスチックスノコの架台は支柱無しで直接コンクリート土台に載せるように、1室のピットは3列にしました。

 汚水排水口はサイフォン式にしました。汚水水面とプラスチックスノコのクリアランスは10cm確保しているので、汚水が溜まりすぎて床上浸水することは有りません。

 室内のピットから汚水抜き口につながる切り欠きの高さは10cmです。子豚を導入時はここが隠れるまで水をためてから豚を入れます。

 空調はウインドレスですが、入気方法を温暖期用の壁入気と寒冷期用の天井入気のツーウェイにしました。

 入気口の費用はかさみますが、夏は涼しく冬は暖かい、理想の空調ができますので、ここはケチらないようにしました。

写真4

写真5が換気制御盤です。費用を抑えるため、盤製作会社へは依頼せず、筆者が設計と組み立てをして納品しました。

 四季を通じてベストな空調を行うため、換気扇を3つの系統に分けています。

 40cmファンはインバーターで手動回転制御です。子豚の頭数や大きさに応じて必要な最低換気量を担うものです。

 60cmファン2台は温度調節器とインバーターにより温度比例制御をします。

 真ん中の60cmファンはインバーター制御の2台がMAX回転になった温度よりも1℃上がると回るON-OFF制御です。

 さて肝心の工事費ですが、最近の工事事例ですとウインドレス離乳舎は収容子豚1頭当たり税抜きで7~8万円かかります。

 この事例では、税抜き5.9万円でした(クーリングパドを含む)。クーリングパドのみ補助を受けました。

 工期は昨年10月から今年1月でした。

写真5