地球温暖化の影響なのか、近年は真夏日や猛暑日が多くなってきました。そこで、豚舎の暑熱対策もより一層の強化が必要になってきました。しかし、設備工事費も値上げが続き、どんな対策をすればよいかの判断が難しくなってきました。そこで今回は豚舎の構造別、予算別にアイディアをご紹介します。
暑熱対策は大きく分けて、①屋根、外壁、天井の断熱強化。②豚舎への入気温度を下げる。③豚舎内の通風量を多くする。④豚体を直接冷やす。などに大別されます。
まずは、自社の豚舎にはどの対策が最も有効かを見極めることが大切です。これによって費用対効果が変わってきます。
まず、カーテン豚舎で天井が無い場合ですが、最も低予算でできる方法はファンの追加とシャワー配管の設置です。
図1はファン追加のレイアウト例です。
豚舎の中の順送ファンは順送用メーターファン300Wタイプでしたら10m間隔で設置をお勧めします。また、排気ファンと入気ファンも付けると風の通りが良くなります。
入気ファンの設置方法は図2のように木枠でボックスを作りその中に排気ファンを逆向きに収めます。外壁をくり抜いて枠を取付け、外側に電動シャッターを取り付けます。
写真1、写真2は筆者がクライアント様農場でDIY製作した事例です。
シャワー(ミスト)配管とポンプは細霧システムと同じです。異なるのはノズルです。
細霧ノズルは字のごとく細かい霧状の水を噴射するノズルですが、シャワーノズル(ミストノズル)は目の粗い霧(小雨ぐらいの細かい水滴)を噴射するノズルです。これを各豚房にノズルを下向きに設置します。
ポンプは水圧よりも水量の多いタイプを選びます。これで豚に直接シャワーリングします。豚房がびしょ濡れになりますから、部分スノコの豚房ではスノコの上部にノズルを設置したほうが良いです。
園芸用品メーカー「いけうち」からはミスト噴霧キット COOLKIT-A(水道直圧タイプ)という製品出ています。これは水道直結タイプなのでポンプは不要ですが、いくつもの豚房で同時使用すると水圧が下がってしまいます。
そこで、電磁弁とタイマーで豚舎ごと順繰りに噴霧するシステムを作る必要があります。
もう少し予算が許すのであれば、シャワー(ミスト)よりもクーリングパドを設置してトンネル換気にすることです。
カーテン豚舎でもトンネル換気は可能ですが、カーテンは断熱材付き外壁材よりも断熱性能が劣りますので、入気側と排気側の温度差が大きくなりがちです。
この温度差を少なくするにはカーテンを2重にするか、又は断熱カーテンに交換することです。また冷却効果を最大にするためには、豚舎幅対豚舎長比は1:4が望ましいです。
これよりも豚舎長が長い場合は、図3のように豚舎脇に追加のパドを設置するのが望ましいです。
さらに予算が許せば断熱材付き屋根材の追加設置や断熱材天井の追加設置が効果的です。
現在の屋根下地材が重ね張りに耐えられるかどうかが心配な古い豚舎の場合は、建築業者と施工方法等をよく相談して見積もりをしてもらうことが重要です。
また、屋根の遮光と節電の兼用策として、屋根に自家使用型太陽光パネルを設置することも有効です。
東西に長い豚舎であれば、南側の屋根だけに設置すればOKです。南北に長い豚舎の場合は両側に設置が必要ですが、コストや重量を考えると、軒先側ではなく中央寄りに設置することをお勧めします(図4)。
積雪の多い地方では、パネル重量が加算されると豚舎の構造が耐えられない場合があります。そのような場合は、薄型軽量タイプのソーラーパネルを使うことで対応できます。
次世代型ペロブスカイトはまだ量産段階ではないですが、従来のシリコン結晶型でも、軽量なプラスチック基板タイプが出ています。
太陽光発電の工事業者の中には軽量タイプを取り扱っていないところがありますので、何社かを当たって検討してみてください。
また、従来の太陽光パネルはスレート屋根への施工が出来なかったのですが、静岡県にある「発電マン」という会社がスレート屋根への施工方法を開発したそうです。関東や中部地方の方は問い合わせてみてください。
現在、屋根設置の自家使用型太陽光発電設備のコストは1kwhあたり10円前後です。電力会社からの購入単価の約半分です。
しかし、太陽光発電は天気に左右されますし、夜間は発電しませんので、それを見込んだ需給バランスを、施工業者と打ち合わせて発電規模を決めることが必要です。
次にウインドレス豚舎の暑熱対策です。
基本的にカーテン豚舎と同じですが、クーリングパドを設置するときの風量計算は、より正確に実施することが重要です。パドを設置すると空気抵抗が増すので、最大換気量が減ります。ですから、換気扇も追加設置が必要になります。
図5は筆者が推奨する換気量とクーリングパドの面積です。
例えば、肥育豚舎で500頭収容なら、換気量は5.0×500=2,500㎥/分です。
これはフルタGS107ですと1台の換気量が450㎥/分(0Pa)ですので、20Pa時は約405㎥/分に落ちますので、2500÷405=6台となります。
他のメーカーの換気扇もカタログデータは静圧ゼロ(0Pa)時のものですので、その数字に0.9を掛けて20Pa時の風量として計算してください。
この例でのパド面積は0.042×500頭=21㎡です。高さ2.0m幅10.5mになります。
筆者が推奨するデータは、養豚機材メーカーが推奨するデータよりも大きいです。これは、最近の猛暑を勘案して多く設定しているからです。
パドの面積は通過風速が2m/秒で計算しています。換気扇が同じでもパド面積が狭いと空気抵抗が増しますので、換気量は減ります。
換気扇の台数もパド面積もどちらも大事ですので、メーカー任せにしないで、自分で計算してください。
また、ウインドレス豚舎では入気口が天井入気のみの豚舎があります。その場合は壁入気口の追加設置をお勧めします。
写真3が室外側、写真4が豚房側から見たものです。
この製品は風圧で自動開閉するので、風量調節の手間が省けます。
次にハウス豚舎での暑熱対策です。
ハウス内にファンを設置している農場は多いですが、たいていはハウスの中に設置されています。これもやはり外気を直接送り込むことで効果が増します。
図6のように入気ファンを取り付けます
取り付け方はカーテン豚舎の項で説明した通りです。ファンの前にミスト噴霧をすると冷房効果が増します。
ハウス豚舎の暑熱対策その2は、遮光シートを屋根に被せることです(図7)。
おすすめの遮光シートは表面と裏面がアルミシートで中間層がポリエチレン繊維のシートになっているものです。
遮光率100%で撥水性と耐久性のある製品です。周囲にハトメ(紐を通す穴)のあるタイプですと固定するのが楽です。
ネットでは「防暑暗幕シート」という商品名で販売されています。ちなみに楽天では10m✕15m物が¥14,380で販売されています。